セイスイ工業株式会社

水処理コラム

COLUMN

下水処理

日本の下水処理場を支える活性汚泥法

日本の下水処理場を支える活性汚泥法

日本の下水処理技術は、地球環境の保護と持続可能な社会において重要な役割を果たしています。セイスイ工業も仮設水処理システムの技術で水質改善と衛生向上に貢献しており、下水処理は、生活環境と自然環境を守るために不可欠なプロセスです。セイスイ工業の仮設水処理システムでは、デカンタ型遠心分離機を用いることで、迅速かつ効率的な泥水処理が可能です。

一方、日本全体の下水処理方法としては標準活性汚泥法膜分離活性汚泥法が広く採用され、河川や東京湾の水質維持に寄与しています。これらの技術は有機物や微生物を除去し、再利用可能な水を生み出します。

これまでの記事で「下水処理とは」や「下水処理の4つのプロセス」など、下水処理の基礎知識を学んできました。本記事では、日本における下水処理技術についてさらに詳しく掘り下げていきます。

日本における下水処理技術

日本における下水処理技術は、環境保護と持続可能な社会を目指して、日々進化を続けています。最新技術の導入により、従来よりも効率的で環境に優しい処理が可能になっています。本セクションでは、こうした日本の下水処理技術の代表例について詳しく解説します。

標準活性汚泥法

標準活性汚泥法は、下水処理で最も広く採用されている手法です。下水と活性汚泥を混合し、活性汚泥に含まれる微生物が下水中の有機物を分解して浄化を行います。このプロセスでは、曝気装置を用いて酸素を供給し、微生物の活発な働きを促進します。柔軟な対応力とコストの低さから、多くの下水処理施設で利用されています。

具体的には、まず下水を反応タンクに送り、活性汚泥と混合します。微生物が有機物を分解し、その後、沈殿した活性汚泥と処理水を分離します。一部の活性汚泥は再利用され、余剰汚泥は排出されます。処理水は消毒され、基準を満たせば河川や海に放流されます。また、余剰汚泥は脱水後、焼却堆肥化され、エネルギー源や肥料として再利用されます。

標準活性汚泥法はコスト効率と柔軟性に優れている一方、曝気のエネルギー消費が大きく、微生物の活動が環境条件に左右される課題もあります。それでも、幅広い処理条件に対応できるため、今後も利用され続ける技術です。

標準活性汚泥法

オキシデーションディッチ法(OD法)

オキシデーションディッチ法は、活性汚泥法の一種です。特徴的なのは、最初沈殿池を設けずに、曝気装置のある水路を反応タンクとする点です。「ディッチ」と呼ばれる環状の水路を使い、下水を循環させながら酸素を供給することで、微生物が有機物を分解します。シンプルな構造と安定した処理能力を持ち、小規模や地方の下水処理場で広く採用されています。

具体的には、下水をディッチ内でゆっくり循環させながら曝気を行い、活性汚泥の主体である微生物が有機物を分解して活性汚泥が生成されます。活性汚泥は後で分離され、処理された水が排出されます。長時間の反応によって高い処理効率が得られ、曝気による酸素供給と混合が同時に行われるため、効率的な処理が可能です。

オキシデーションディッチ法は、管理が容易で、気候や水質の変動にも強い点が利点です。一方、滞留時間が長いため大規模施設には不向きで、処理スピードも他の先進的な方法より遅い場合がありますが、コストの低さと安定性から多くの地域で採用されています。

東芝との業務提携により、2025年初旬からセイスイ工業がレンタルを開始する「Habuki」は、オキシデーションディッチ法の前処理として使用可能です。この装置を使用することで、コンパクトで低動力ながらも高い処理能力を発揮し、従来のOD法と比較して水処理にかかる時間を短縮することができます。

Habuki

長時間エアレーション法

長時間エアレーション法は、活性汚泥法の一種で、微生物に長時間酸素を供給し有機物を分解・汚泥を安定化させる方法です。標準活性汚泥法に比べ、曝気槽を2~3倍に拡大し、曝気時間も長くすることで処理効率を向上させています。長時間の曝気により微生物が自己酸化を起こし、余剰汚泥の発生が抑えられる点が特徴です。

具体的には、下水を反応タンクに送り、活性汚泥と混合して長時間にわたって曝気を行います。これにより、微生物が持続的に活動し、活性汚泥の分解と安定化が進むため、処理後の余剰汚泥の量が少なくなります。

この方法は、特に小規模の下水処理場で採用されており、汚泥処理コストの削減や処理の安定性が利点です。ただし、長時間の曝気が必要なためエネルギー消費が増え、大規模施設では効率が低下することが課題です。それでも、運用が容易で、汚泥生成量を減らせる点で有効な手法として広く利用されています。

長時間エアレーション

回分式活性汚泥法(BS法)

回分式活性汚泥法は、活性汚泥法の一種で、下水処理をバッチ方式で行う方法です。同じ反応タンク内で、下水の浄化、汚泥の沈殿、処理水の排出を順に行う「反応→沈殿→排水→休止」というサイクルを繰り返し、一定量の下水を処理します。各処理が完了すると処理水が排出され、次のサイクルが始まる仕組みです。

具体的には、下水を反応タンクに導入し、活性汚泥と混合して有機物を分解します。次に沈殿段階で汚泥を分離し、処理水を排出します。休止期間を設けることで、処理槽をリセットして次のサイクルに備えます。この方式は小規模施設や負荷が一定でない場所に向いており、柔軟性と運用の簡便さが特徴です。

回分式活性汚泥法は、小規模処理場や変動する処理負荷に対応しやすく、設備がコンパクトでも効率的な処理が可能です。しかし、大規模施設ではサイクルごとの停止により処理能力が低下することが課題となるため、適用範囲が限られますが、小規模施設では多く利用されています。

回分式活性汚泥法

膜分離活性汚泥法(MBR)

膜分離活性汚泥法は、活性汚泥法に膜ろ過を組み合わせた下水処理技術で、微生物による有機物の分解と膜による固液分離を同時に行います。通常の活性汚泥法に比べ、膜を使うことでより高い処理効率と水質改善が可能です。

具体的には、反応タンク内で活性汚泥の微生物が有機物を分解し、膜を使って汚泥や微生物を分離します。膜により微生物がタンク内に留まるため、活性汚泥を高濃度で保持でき、これにより設備のコンパクト化が可能になります。また、微生物の高濃度維持により、処理能力も向上します。

この方法は、大規模施設や水質基準が厳しい地域で利用されており、高品質の処理水を得られる、施設がコンパクトになるといった利点があります。一方、膜の汚れ(ファウリング)の清掃や交換にコストがかかることが課題です。それでも、膜技術の進化に伴い、広く採用され続けています。

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