下水処理場の浚渫(汚泥引抜き)の重要性 - 浚渫のプロセスと技術 -
下水処理場は、家庭や産業からの下水を浄化し、環境への影響を最小限に抑える重要な施設です。しかし、処理中に発生する汚泥が蓄積すると、設備の効率が低下し、環境に悪影響を与える可能性があります。定期的な浚渫工事を行い、汚泥を除去することで、設備の性能向上と長寿命化が可能になります。本記事では、浚渫工事の重要性とその効果について解説します。
目次
下水処理場のしくみ
下水処理の基本プロセスと役割
下水処理には4つの主要なプロセスがあります。まず「物理的処理」で、スクリーンや沈砂池を使って土砂や異物を除去し、次に1次処理で固形物を沈殿させます。続いて「生物的処理」で微生物が有機物を分解し、最後に3次処理で「化学的処理」を行い、化学薬品で有害物質を除去します。これらのプロセスを効率よく進めるためには、定期的な浚渫が不可欠であり、汚泥の除去により設備の正常な機能と長寿命化が維持されます。
下水処理の基本や詳細な処理プロセスについては、別の記事で詳しく紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
汚泥の蓄積と浚渫の必要性
下水処理場での汚泥蓄積は、設備の性能低下や環境汚染の原因となります。蓄積が進むと処理効率が低下し、異臭や腐食を引き起こすため、定期的な浚渫工事が必要です。浚渫で汚泥を除去し、設備を清潔に保つことで、処理効率を維持し寿命を延ばせます。定期的なメンテナンスは異常発生を防ぎ、処理場の安定した運営に必要不可欠です。
浚渫の基本知識
浚渫の定義と目的
浚渫(しゅんせつ)とは、貯水池や下水処理場の設備に堆積した汚泥や異物を除去し、設備の性能低下を防ぐための重要な工事です。汚泥が蓄積すると、ポンプや配管が詰まり、処理能力が低下するため、定期的な浚渫でこれを防ぎ、安定した運転を維持します。また、浚渫を怠ると長期的に修理や交換費用が増加し、公共下水道全体の効率が低下するリスクがあります。
浚渫のプロセスと技術
浚渫工事は、下水処理場の効率を維持し、設備の長寿命化を実現するために不可欠なプロセスです。事前調査では、工事対象の地質や環境条件を詳しく把握し、最適な浚渫方法を選定します。浚渫には主に「機械式」と「吸引式」の2つの方法があります。機械式浚渫は、ショベル等で汚泥や固形物を掘り取り、特に硬化した汚泥や大量の物質の除去に適しており、側溝や下水道管でよく使用されます。吸引式浚渫は、強力な吸引装置で細かい汚泥や難処理物を吸い取る方法で、騒音や振動が少ないため都市部での工事に向いています。
浚渫後の汚泥処理では、脱水によって体積を減らし、効率的な処理が行われます。フィルタープレスや遠心分離機を使用し、汚泥は脱水後に焼却、埋立、リサイクルされ、環境負荷の軽減とコスト削減します。
セイスイ工業の下水処理場浚渫事例
下水処理場浚渫事例①沈殿槽に堆積した汚泥を浚渫
この事例では、下水処理場の沈殿槽に蓄積した汚泥を除去するために仮設下水処理が導入されました。長期間の汚泥蓄積は処理効率の低下と設備への負荷増加を招いていましたが、仮設下水処理によって汚泥の体積が大幅に削減され、設備の運転効率を回復させました。
工事は段階的に行われ、まず沈殿槽の汚泥の状況を詳しく調査し、適切な処理方法を選定しました。仮設下水処理を用いた浚渫により、汚泥の重量と体積が大幅に削減され、処理場の運転負荷が軽減されました。
さらに、この浚渫工事により手作業で行われる危険な工事も大幅に削減され、安全性が向上、施設全体のメンテナンスコストも削減され、長期的な運用効率が向上しました。
下水処理場浚渫事例②消化槽に堆積した汚泥を浚渫
下水処理場の消化槽に蓄積した汚泥を効率的に除去するため、仮設下水処理が導入されました。長期間蓄積した汚泥は処理効率の低下と設備劣化の原因となりますが、この浚渫工事により汚泥の体積を大幅に減少させ、設備の運転効率を回復させました。
工事は段階的に進められ、まず消化槽内の汚泥の状況を詳細に調査し、適切な処理方法を選定しました。仮設下水処理で効率的に汚泥を除去し、汚泥の重量と体積を大幅に削減。これにより処理場の運転負荷が軽減し、最終的に脱水された汚泥は、環境に配慮した方法で適切に処理され、処理コストの削減と環境保護に貢献しました。