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水処理コラム

COLUMN

下水処理

下水道更新工事を止めずに進めるには?全国特別重点調査後に考えたい仮設水処理の活用

下水道 老朽化 対策

道路陥没は、突然起きた事故のように見えます。しかしその背景には、道路の下で進行してきた下水道インフラの老朽化があります。

八潮市の道路陥没事故を受け、国土交通省は地方公共団体に対して下水道管路の全国特別重点調査を要請し、老朽管の更新や複線化、リダンダンシー確保に向けた動きが進んでいます。下水道インフラの老朽化対策は、もはや「いつか対応するもの」ではなく、具体的に計画・実行する段階に入っています。

一方で、下水処理や排水処理は、更新工事中でも簡単には止められません。生活排水や工場排水は日々発生するため、処理を止めずに工事を進める方法が必要です。そこで注目されるのが、仮設水処理を活用した「止めない更新工事」です。

本記事では、全国特別重点調査後に進む下水道インフラ更新の流れを踏まえ、「処理を止められない問題」と、仮設水処理・バイパス処理の活用について解説します。


👉 この記事でわかること

  • 全国特別重点調査で見えた下水道管路更新の必要性
  • 更新工事で課題となる「処理を止められない問題」
  • 仮設水処理・バイパス処理を活用した“止めない更新工事”の考え方

全国特別重点調査で見えた、下水道管路更新の必要性

道路の下に張り巡らされた下水道管は、暮らしや産業活動を支える重要なインフラです。しかし老朽化が進むと、地中に空洞が生じ、道路陥没などの事故につながるおそれがあります。

八潮市の道路陥没事故を受け、国土交通省は下水道管路の全国特別重点調査を実施しました。この調査で何がわかり、なぜ今、更新が急がれているのでしょうか。

八潮道路陥没を受けて実施された全国特別重点調査

全国特別重点調査は、令和7年1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて実施されました。

対象は、管径2m以上かつ、平成6年度以前に設置された下水道管路などです。大口径の管路は、破損や陥没時の影響が大きいため、優先的な確認が求められました。

この調査は、全国の自治体が管理する下水道管路のリスクを把握し、更新・補修につなげるための取り組みです。

八潮 道路陥没事故

対策が必要な管路・空洞が確認され、更新は“検討段階”から“実行段階”へ

更新は“検討段階”から“実行段階”へ

全国特別重点調査では、目視調査やテレビカメラ調査、道路上から地中の空洞を調べる調査などが行われました。調査対象は全国535団体、延長5,332kmの下水道管路です。令和8年(2026年)2月末時点で、対策が必要な延長は748km、地盤中の空洞は96箇所確認されています。なお、確認された空洞は現時点で全て対策済みとされています。

また、対策が必要な延長のうち、原則1年以内に対応が必要な「緊急度1」は201km、応急措置を行ったうえで5年以内の対策が必要な「緊急度2」は547kmとされています。これらの結果は、下水道管路の老朽化対策が、具体的に更新・補修を進める段階に入っていることを示しています。

下水道インフラ老朽化対策は、事故対応から予防的な更新へ

これまでの下水道管路対策は、異常が見つかった場所や事故が起きた場所への対応が中心になりがちでした。

しかし、道路陥没のような事故は、発生後では周辺交通や住民生活、事業活動に大きな影響を与えます。だからこそ、これからは「壊れてから直す」対応ではなく、「事故が起きる前に更新する」予防的な対策が重要です。

一方で、下水道管や処理設備は簡単に止められません。下水道インフラの更新では、古い設備をどう直すかだけでなく、工事中の水をどう処理し続けるかまで考える必要があります。

下水道更新工事で課題になる「処理を止められない」問題

下水道管路や処理設備の更新が必要でも、すぐに工事へ進めるとは限りません。大きな理由は、工事中も下水処理・排水処理を止められないことです。生活排水や工場排水は日々発生するため、古い設備の改修と並行して、工事期間中の水処理をどう確保するかまで計画に含める必要があります。

補助制度があっても、工事中の処理継続が課題になる

国の支援制度や補助制度が整っても、それだけで工事が進むわけではありません。現場では予算や制度に加え、工事期間中の処理機能の確保が課題になります。

管路や設備を一部停止しても汚水や排水は流れ続けるため、処理ルートがなければ工事計画を立てにくくなります。だからこそ、早い段階から処理継続の方法を検討することが重要です。

下水処理・排水処理を止められない現場では、代替処理計画が必要

下水処理や排水処理は、地域の暮らしや事業活動を支えるインフラです。工事中に処理を止めると、衛生環境や周辺環境、施設稼働に影響するおそれがあります。そのため、既設設備を止める前に、一時的に水を受ける場所、流すルート、処理する設備を決めておく必要があります。これが代替処理計画です。

代替処理計画では、流量、水質、工事期間、設置スペース、搬入経路、放流条件などを事前に整理することで、工事中のトラブルを防ぎやすくなります。

更新工事と同時に考えたい、バイパス処理を含む仮設水処理

処理を止めずに更新工事を進めるには、バイパス処理の考え方を取り入れた仮設水処理が有効です。

バイパス処理とは、工事対象の管路や設備を避けるために、水の流れを一時的に切り替える考え方です。仮設水処理では、この考え方を取り入れながら、仮設のポンプ・配管・処理設備などを組み合わせ、工事期間中の処理を継続します。

仮設水処理は、災害時や設備トラブル時の応急対応というイメージが強い手法です。しかし、老朽化設備の更新、処理施設の改修、管路切り替えなど、平時の計画工事でも活用できます。既設設備の一部停止による点検・補修や、管路切り替え時の一時的な処理ルート確保にも有効です。つまり、仮設水処理・バイパス処理は「緊急時の最後の手段」ではなく、止めない更新工事の計画的な選択肢です。

活用にあたっては、事前計画が重要です。管路や設備の状態、流量、水質、工事期間を確認し、水の流れ、設置場所、必要な処理能力を整理します。その後、仮設設備の設置、配管・ポンプ接続、試運転を行い、処理が安定してから本設工事に入ります。

  1. 事前調査・条件整理
  2. 仮設水処理・バイパスルートの設計
  3. 仮設設備の設置・試運転
  4. 本設設備・管路の更新工事
  5. 復旧・仮設設備の撤去

なお、流量が大きい現場ではポンプ能力や処理能力、水質によっては沈殿、ろ過、薬剤処理、脱水などの検討が必要です。設置スペース、搬入経路、放流条件も現場ごとに異なるため、条件整理が不十分だと処理量不足や水質の不安定化が起きる可能性があります。早い段階で現場条件を確認し、工事計画と処理計画をセットで検討することが重要です。

活用にあたっては、事前計画が重要です。管路や設備の状態、流量、水質、工事期間を確認し、水の流れ、設置場所、必要な処理能力を整理します。その後、仮設設備の設置、配管・ポンプ接続、試運転を行い、処理が安定してから本設工事に入ります。

  1. 事前調査・条件整理
  2. 仮設水処理・バイパスルートの設計
  3. 仮設設備の設置・試運転
  4. 本設設備・管路の更新工事
  5. 復旧・仮設設備の撤去

なお、流量が大きい現場ではポンプ能力や処理能力、水質によっては沈殿、ろ過、薬剤処理、脱水などの検討が必要です。設置スペース、搬入経路、放流条件も現場ごとに異なるため、条件整理が不十分だと処理量不足や水質の不安定化が起きる可能性があります。早い段階で現場条件を確認し、工事計画と処理計画をセットで検討することが重要です。

計画的な水処理設備の更新フロー

補助制度・更新計画と仮設水処理を組み合わせるために

下水道インフラの老朽化対策では、補助制度や更新計画に加え、工事中の処理継続まで考える必要があります。バイパスルートを含む仮設水処理は、早い段階からの検討が重要です。

更新工事は、本設工事と仮設水処理をセットで考える

本設の管路や設備に目が向きがちですが、前述の通り工事中も処理を止めることはできません。管路切り替えや設備改修の計画段階から、仮設水処理をセットで組み込むことが重要です。

本設工事と仮設水処理をセットで考えることで、処理を止めずに進めやすくなります。

早期に代替処理を検討することで、工事計画の選択肢が広がる

代替処理は、工事直前ではなく計画初期から検討します。早期に検討すれば、処理能力、設置スペース、搬入経路、工事中の水の流れを整理しやすく、仮設設備の配置やバイパスルートも検討できるため、工事計画の自由度が高まります。

一方で検討が遅れると、設置場所の不足、処理能力不足、工程調整の難航などが起きる可能性があります。円滑に進めるには、工事計画と同時に処理計画を考えることが大切です。

自治体の下水道更新計画に“止めない更新”の視点を

全国特別重点調査をきっかけに、今後は各自治体で下水道管路の更新・補修・更生工事が進むと考えられます。そこで重要なのが、下水道インフラを止めずに更新する視点です。

工事中に処理機能を維持できなければ、住民生活や事業活動に影響が出る可能性があります。だからこそ更新計画では、仮設水処理やバイパス処理を含めた「止めない更新」の考え方が重要です。

仮設水処理は平時のインフラ更新を支える手段にもなり、補助制度や更新計画と組み合わせることで、老朽化対策をより現実的に進めやすくなります。

インフラを止めない下水道更新計画

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