水処理に関する用語
溶存酸素(DO:Dissolved Oxygen) ようぞんさんそ
溶存酸素(DO: Dissolved Oxygen)とは、水中に溶解している酸素のことであり、魚類や水生生物の生息・生育に欠かせない重要な要素です。水質管理においても、溶存酸素は非常に重要な指標となっています。自然界では、大気中の酸素が水中に溶解し、その量は大気中の酸素分圧に比例して決まります。溶存酸素量は通常、mg/Lの単位で表されます。
溶存酸素量は水温と密接な関係があり、水温が高くなるほど水中に溶け込む酸素の量は減少します。また、有機物の分解過程で酸素が消費されたり、水流の停滞による酸素供給不足が発生すると、溶存酸素量が低下します。たとえば、エタノールが水中に存在すると、有機物として分解される際に酸素が消費されるため、溶存酸素量の低下につながります。また、濁度が高い水では、微生物の活動が活発になり、酸素消費が増えることもあります。
溶存酸素量が高い水は、水質が良好で、水中の生物が生息しやすい環境とされます。逆に、溶存酸素量が低い水は、水質が悪化し、水生生物が生息しづらい、またはできない環境を示します。工場や下水処理場からの排水が原因で溶存酸素が不足すると、河川や湖沼で魚介類が酸欠状態となり、死滅するリスクが高まります。特に、有機物が多く含まれる水域では、微生物が増殖し、BOD(生物化学的酸素要求量)が増加することで、さらに溶存酸素が減少し、水中の生物が生息しにくくなります。
水質汚濁を防止し、水生生物を保護するためには、適切な溶存酸素量を維持することが不可欠です。純水装置などを用いて、水中の不純物を除去し、酸素供給が十分に行われるようにすることが、特に半導体製造や精密機器の製造など、水質の純度が重要な産業では重要です。また、排水処理や曝気装置を用いた酸素供給による水質管理が必要です。環境基準では、清浄な水域では溶存酸素量が8mg/L以上であることが望ましいとされています。
溶存酸素の測定方法には、隔膜電極法、ウインクラー法、比色法などがあり、これらの方法を用いて正確に水質を評価し、適切な管理を行うことが求められます。これにより、溶存酸素を適切に管理し、濁度やエタノールなどの影響を最小限に抑えることで、良好な水質環境が保たれます。
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