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鉱さい こうさい
鉱さい(こうさい)とは、鉱石を製錬・加工・焼却する際に目的成分以外として発生する副産物(スラグ)のことを指します。英語ではslag(スラグ)と呼ばれ、鉄・ニッケル・クロム・銅などの金属を精錬する工程で多く発生します。
また、焼却灰の溶融処理によって生じる産廃物や、鋳造時に使用された鋳物砂なども広義の鉱さいに分類され、いずれも産業廃棄物として適切な処理・管理が必要です。
鉱さいが発生する場面
鉱さいは以下のような産業・プロセスで発生します。
- 金属製錬工程(高炉スラグ、転炉スラグなど)
- 焼却施設でのごみ処理(溶融スラグ)
- 鋳造業における鋳物砂の再利用残渣
- 採石・鉱山開発による岩石破砕残渣
鉱さいは長期間の保管による環境リスク(重金属の溶出など)もあるため、排出後の管理が環境基準で求められています。
鉱さいの環境リスクと法的管理
鉱さいには、鉛・ヒ素・カドミウムなどの有害重金属が含まれる可能性があり、土壌汚染や水質汚濁への対策が必要です。そのため、「廃棄物処理法」や「土壌汚染対策法」に基づき、安定型最終処分場への適切な処理が求められます。
鉱さいのリサイクル・再利用動向
近年は、鉱さいを建設資材やセメント原料として再利用する動きが加速しています。以下は代表的な再資源化の例です。
- コンクリート骨材:高炉スラグを細骨材として利用
- 路盤材・埋戻し材:土木工事における埋設資材として活用
- セメント原料:アルカリ性を活かして混合材として再活用
- 環境保全材:重金属吸着材などとして再利用される例もあり
また、ICTやビッグデータ解析技術の進化により、鉱さい中に残存するレアメタルや有価成分の回収も可能となりつつあり、「都市鉱山(Urban Mine)」として注目されています。
鉱さいのサステナビリティとSDGsとの関係
鉱さいの再資源化は、持続可能な鉱業や製造業を実現するうえで不可欠です。とくに、以下のSDGs目標との関連が深いとされています。
- 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
- 目標12:つくる責任・つかう責任(廃棄物の抑制と再利用)
- 目標13:気候変動に具体的な対策を
鉱さいは“ただの廃棄物”ではなく、活かし方次第で資源にもなる副産物です。
適切な処理と活用によって、循環型社会に貢献できる重要な存在となります。
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