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水処理コラム

COLUMN

水処理に関する用語

水処理とは?種類・仕組み・処理方法・設備の選び方をわかりやすく解説

水処理とは

水処理とは、水に含まれる固形物、有機物、油分、金属、微生物などを除去・分解し、利用目的や放流条件に適した水質へ整えることです。安全な水をつくる浄水、工場で使用する用水処理、使用後の水を処理する排水処理、処理水の再利用など、目的に応じてさまざまな方法があります。

適切な処理方法は、原水に含まれる物質、処理後に求める水質、1日当たりの処理量、設置スペース、運転期間などによって異なります。本記事では、水処理の種類や基本的な仕組み、処理工程、水質指標、主な設備、処理方法の選び方を、工場排水、下水処理、土木工事で発生する泥水などの現場を想定して解説します。


👉 この記事でわかること

  • 水処理とは何か、浄水・用水処理・排水処理・再利用の違い
  • 水処理の基本的な仕組みと、処理が進む流れ
  • 物理的処理・化学的処理・生物的処理・膜処理などの種類と特徴
  • pH・BOD・COD・SSなど、水処理で確認する主な水質指標
  • 原水・処理量・目標水質などから、適切な処理方法や設備を選ぶポイント

目次

水処理とは

水処理は、単に「汚れた水をきれいにすること」だけを意味するものではありません。水の使用目的や放流先に応じて、不要な物質を取り除いたり、成分や性質を調整したりする一連の技術です。ここでは、水処理の定義、目的、処理対象による違いを整理します。

水処理の定義

水処理とは、水中に含まれる土砂や浮遊物、有機物、油分、溶解物質、金属、微生物などを除去・分離・分解・無害化し、目的に適した水質へ調整する技術の総称です。

処理対象は、河川水や地下水からつくる上水、工場で使用する用水、家庭や事業所から発生する排水だけではありません。水処理の過程で発生する汚泥や、一度使用した水を再び利用するための再利用水も含まれます。必要な処理は、対象となる水の性質と、処理後の用途によって変わります。水処理では複数の工程や技術を組み合わせるのが一般的です。

水処理とは

水処理を行う目的

水処理を行う目的は、処理対象や用途によって異なります。飲料水や生活用水では、人が安全に使用できる水質を確保することが重要です。工場では、製品品質の安定、配管やボイラーなどの設備保護、製造工程に適した水質の確保が求められます。

01安全性の確保

飲料水や生活用水を、安全に使用できる状態へ整えます。

02安定操業と設備保護

製品品質を維持し、配管・ボイラー・製造設備への影響を抑えます。

03環境負荷の低減

排水基準に適合させ、河川や海域への汚濁負荷を抑えます。

04水資源の再利用

処理水を洗浄水や冷却水として再利用し、水使用量を抑えます。

適切な水処理は、排水基準の超過や河川・海域の水質悪化を防ぐだけでなく、設備故障や操業停止、製造品質への影響、汚泥の運搬・処分費増加を抑えるうえでも重要です。また、処理水の再利用は水使用量・排水量の削減や水不足への備えにつながります。水処理は、安全性、操業、環境保全、資源循環を支えるために行われます。

水処理を行わないことで生じる主なリスク
  • 河川や海域の水質悪化
  • 排水基準の超過
  • 設備の故障や操業停止
  • 製造品質への悪影響
  • 汚泥運搬・処分費の増加
  • 水不足や資源利用効率の悪化

浄水・用水処理・排水処理・再利用の違い

水処理は、処理する水の状態と処理後の利用目的によって、浄水、用水処理、排水処理、再利用に分けられます。

浄水は、河川水や地下水などを飲料・生活用途に適した水へ整える処理です。用水処理は、工場の製造、洗浄、冷却、ボイラーなどに必要な水質をつくる処理を指します。排水処理は、使用後の水から汚染物質を除去し、放流や再利用が可能な状態へ整える処理です。再利用では、一度使用した水を目的に応じて処理し、再び工程用水などとして活用します。

区分

処理前の水

主な目的

処理後の利用先

代表的な処理方法

浄水

河川水、湖沼水、地下水など

飲用・生活利用に適した水質にする

水道、生活用水

沈殿、ろ過、消毒など

用水処理

水道水、工業用水、地下水など

製造工程に必要な水質に調整する

洗浄、冷却、ボイラー、製造工程

ろ過、軟化、膜処理、イオン交換など

排水処理

工場排水、生活排水、工事排水など

汚染物質を除去し、放流・再利用可能にする

河川、下水道、再利用設備

凝集沈殿、生物処理、膜処理、脱水など

再利用

処理済みの排水や工程排水

水使用量・排水量を抑える

洗浄水、冷却水、散水、工程用水など

ろ過、活性炭、膜処理、消毒など

水処理の基本的な仕組みと処理プロセス

水処理は、一つの装置や処理方法だけで完結するものではありません。原水の状態を調べたうえで、大きな異物の除去、汚染物質の分離・分解、汚泥処理、仕上げ処理を順に行います。必要な工程は、処理対象や目標水質によって異なります。

水処理の基本フロー
01原水分析

水質・流量を把握

02前処理

大きな異物・油分を除去

03主処理

汚染物質を分解・分離

04固液分離・汚泥処理

固形物を濃縮・脱水

05高度処理・消毒

仕上げ処理を実施

06水質確認・放流/再利用

目標水質を確認

※すべての工程を必ず採用するわけではありません。原水・処理量・用途に応じて必要な工程を組み合わせます。

原水を分析して目標水質を設定する

水処理を計画する際は、最初に処理前の水である「原水」の状態を確認します。主な確認項目は、pH、SS、BOD、COD、油分、重金属、窒素、りん、水温、1時間・1日当たりの処理量などです。平均値だけでなく、時間帯や季節、製造工程による水質・流量の変動も把握する必要があります。  次に、河川や下水道へ放流するのか、洗浄水や冷却水として再利用するのかなど、処理後の用途から目標水質を設定します。原水分析をせずに設備を選ぶと、必要な性能が不足したり、反対に過剰な設備となって費用が増えたりするおそれがあります。

CHECK 01水質

pH、SS、BOD、COD、油分、金属など

CHECK 02水量と変動

時間流量、日量、季節・工程による変化

CHECK 03処理後の用途

放流、下水道排除、洗浄・冷却への再利用

前処理で大きな固形物や油分を除去する

前処理は、後段の処理設備に水を送る前に、大きなごみ、砂、土砂、粗い固形物、浮遊油などを取り除く工程です。スクリーンでごみやし渣を除去し、沈砂池や沈殿槽で比重の大きい砂・泥を沈め、油水分離装置で浮上した油分を分離します。必要に応じて粗ろ過も行います。  前処理を適切に行うことで、配管やポンプの詰まり、撹拌機の損傷、ろ材の目詰まり、膜の汚染などを抑えられます。主処理の負荷を軽減し、設備の処理性能を安定させるためにも重要な工程です。

REMOVE大きな異物

ごみ、し渣、砂、土砂など

PROTECT後段設備

配管・ポンプ・膜の詰まりや損傷を予防

STABILIZE処理性能

主処理へ流入する負荷を安定化

前処理設備を詳しく確認する

主処理で汚染物質を分離・分解する

主処理は、水質を大きく改善する中心的な工程です。水中のSSや微細粒子には、沈殿、ろ過、凝集沈殿などを用います。有機物の濃度を下げる場合は、微生物を利用した活性汚泥法や生物膜法が選択肢になります。塩類や微細な溶解物質を除去する場合には、膜処理などを組み合わせます。  原水には複数の汚染物質が含まれることが多いため、一つの方式だけですべてを処理できるとは限りません。例えば、凝集処理で微細な粒子をまとめた後に固液分離を行い、残った有機物を生物処理で分解するなど、物理的・化学的・生物的処理を段階的に組み合わせます。

PHYSICAL物理的処理

沈殿、ろ過、固液分離など

CHEMICAL化学的処理

凝集、中和、酸化還元など

BIOLOGICAL生物的処理

活性汚泥法、生物膜法など

固液分離と汚泥処理を行う

主処理によって集められた固形物や、微生物処理によって増えた汚泥は、処理水から分離する必要があります。沈殿槽、遠心分離機、フィルタープレスなどを用いて固体と液体を分け、分離した汚泥を濃縮・脱水して体積や重量を減らします。  水処理と汚泥処理は設備上は別の工程ですが、コスト面では一体として設計することが重要です。処理水の水質を改善できても、含水率の高い汚泥が大量に残れば、運搬費や産業廃棄物処分費が増加します。処理方法を検討するときは、発生する汚泥量、脱水後の含水率、保管・搬出方法まで確認します。

SEPARATE固液分離

処理水と汚泥・固形物を分ける

DEWATER濃縮・脱水

汚泥に含まれる水分を減らす

REDUCE処分量を削減

運搬量と産廃処分費を抑える

高度処理・消毒を経て放流または再利用する

主処理後の水が目標水質に達していない場合は、高度処理や消毒を行います。活性炭は臭気や一部の有機物を吸着し、膜処理は微細粒子や微生物、溶解性物質を分離します。イオン交換は水中の特定のイオンを除去・交換する方法です。  また、オゾン、紫外線、塩素などを用いて微生物を不活化し、用途に応じた安全性を確保します。処理後はpH、SS、BOD、CODなどを測定し、放流基準や再利用に必要な水質を満たしていることを確認してから、河川への放流や工程用水としての再利用を行います。

POLISH高度処理

活性炭、膜、イオン交換など

DISINFECT消毒

オゾン、紫外線、塩素など

VERIFY水質確認

基準・用途を満たしてから放流・再利用

工程は「全部入り」ではなく、原水と目標水質から逆算して選ぶ

処理工程を増やせば必ず良い水質になるわけではありません。必要以上の処理は設備費・薬品費・電力費を増やすため、分析結果と用途をもとに必要な工程だけを組み合わせます。

水処理方法の種類と特徴

水処理では、物理的化学的生物的な原理を利用して、水中の汚染物質を除去します。さらに、必要な水質に応じて膜処理や高度処理を組み合わせます。実際の現場では、原水の状態や処理量、目標水質に合わせて、複数の方法を選定するのが一般的です。

基本となる3つの処理原理

01

物理的処理

大きさ・比重・遠心力などを利用して分離

02

化学的処理

薬品反応によって除去しやすい状態に変える

03

生物的処理

微生物の働きを利用して有機物などを分解

目的に応じて組み合わせる処理技術

04

膜処理

膜の分離性能を利用して微細な不純物を除去

物理的処理の代表技術
05

高度処理

主処理で残った成分を除去し、より高い水質へ仕上げる

吸着・イオン交換・消毒など

※膜処理は物理的処理に含まれる分離技術ですが、膜の種類によって除去対象や用途が大きく異なるため、ここでは独立して表示しています。

物理的処理

仕組み

物理的処理は、粒子の大きさ、比重、浮力、遠心力などの違いを利用して、水と固形物を分離する方法です。沈殿では比重の大きい粒子を重力で沈め、浮上分離では油分や軽いフロックを水面に浮かせます。ろ過ではろ材やフィルターで粒子を捕捉し、遠心分離では高速回転による力で固液を分けます。また、膜処理では、膜の孔径や選択透過性を利用して、水と微粒子、微生物、溶解物質などを分離します。

除去対象
SS、砂、土砂、汚泥、凝集フロック、浮遊油、微粒子、微生物などです。使用する膜の種類によっては、一部の溶解物質やイオン、塩類なども除去できます。
適した用途・代表設備
濁水、土木泥水、汚泥処理、前処理、再利用水、純水・脱塩処理などに適し、沈殿槽、スクリーン、ろ過装置、浮上分離装置、遠心分離機、膜処理装置などを使用します。
長所
仕組みが比較的分かりやすく、大量の固形物を効率よく除去できます。膜処理を用いることで、より微細な物質にも対応できます。
短所
一般的な沈殿やろ過だけでは、水に溶けている塩類や低分子の有機物を除去しにくい点が課題です。また、膜処理では膜の汚染や目詰まりへの対策が必要です。

化学的処理

仕組み

化学的処理は、薬品を加えて水中の物質を反応させ、除去しやすい状態へ変える方法です。凝集では微細な粒子の電気的な反発を弱め、大きなフロックにまとめます。中和では酸性・アルカリ性の水に薬品を加えてpHを調整し、薬品沈殿では溶解している金属などを不溶性の物質に変えて分離します。酸化還元処理は、対象物質の化学的な性質を変えるために用いられます。

除去対象
微細なSS、コロイド、重金属、りん、色度、一部の有害物質などです。
適した用途・代表設備
工場排水、濁水、金属を含む排水、pH調整などに用い、薬注装置、撹拌槽、凝集槽、中和槽、凝集沈殿槽などを使用します。
長所
物理処理では除去しにくい微粒子や溶解性物質にも対応できます。
短所
水質に合わない薬品や注入量を選ぶと処理性能が安定せず、薬品費や汚泥発生量が増える可能性があります。

生物的処理

仕組み

生物的処理は、微生物の働きを利用して、水中の有機物や窒素などを分解・除去する方法です。活性汚泥法では、曝気槽に酸素を送りながら微生物と排水を接触させ、有機物を分解します。生物膜法では、ろ材や担体の表面に付着した微生物によって処理します。

除去対象
主にBOD成分、生分解しやすい有機物、アンモニア性窒素などです。
適した用途・代表設備
下水、生活排水、有機性工場排水に適し、曝気槽、活性汚泥槽、生物膜槽、沈殿槽、MBRなどを使用します。
長所
有機物を含む大量の排水を継続的に処理しやすく、下水・生活排水・食品工場排水などで広く利用できます。
短所
微生物の状態が処理性能に影響するため、水温、pH、溶存酸素、流入負荷を管理する必要があります。毒性物質の流入や急激な負荷変動によって、処理性能が低下することもあります。

膜処理(物理的処理の代表的技術)

仕組み

膜処理は、物理的処理に含まれる代表的な分離技術です。特定の大きさや性質の物質を通しにくい膜を利用して、水と不純物を分離します。MF、UF、NF、ROの順に、一般的にはより細かな物質まで分離できるようになります。

除去対象
MF・UFは主に微粒子や微生物、NF・ROは一部の溶解性物質やイオン、塩類などの除去に用いられます。
適した用途・代表設備
高度なSS除去、微生物除去、再利用水、純水・脱塩処理などに用い、膜モジュール、加圧ポンプ、洗浄設備などで構成します。
長所
小さな設置面積でも安定した処理水質を得やすく、再利用水や純水の製造にも対応できます。
短所
膜表面に汚れが付着するファウリングが起こるため、適切な前処理、定期的な洗浄、膜交換が必要です。ROでは圧力をかけるため、電力費も考慮します。

膜処理の種類

膜の種類

主な除去対象

主な用途

注意点

MF(精密ろ過膜)

SS、比較的大きな微粒子、細菌など

前処理、除濁、固液分離

微細な溶解物質は通過しやすい

UF(限外ろ過膜)

コロイド、微粒子、微生物など

再利用水、膜分離活性汚泥法

前処理や定期洗浄が必要

NF(ナノろ過膜)

一部の低分子有機物、多価イオンなど

軟化、色度・有機物低減

水質によって除去性能が異なる

RO(逆浸透膜)

イオン、塩類、微細な溶解物質など

純水、脱塩、再利用水

高圧運転、濃縮水、膜汚染への対応が必要

※実際の除去性能は、膜の材質、原水、水温、圧力、運転条件によって異なります。

高度処理(吸着・イオン交換・消毒など)

仕組み

高度処理は、物理的処理、化学的処理、生物的処理などの主処理で除去しきれなかった成分を減らし、より高い水質へ仕上げる工程です。活性炭吸着は、活性炭の細かな孔に有機物や臭気成分などを吸着させます。イオン交換は、樹脂が持つイオンと水中のイオンを交換し、硬度成分や特定のイオンを除去します。オゾンは酸化力を利用して有機物や臭気成分を分解し、紫外線や塩素は微生物の不活化・消毒に用いられます。

除去対象
残留有機物、臭気、色度、硬度成分、特定イオン、微生物などです。
適した用途・代表設備
再利用水、純水、臭気・色度対策、消毒などに用い、活性炭塔、イオン交換塔、オゾン発生装置、紫外線装置、塩素注入設備などを使用します。
長所
主処理だけでは達成しにくい厳しい目標水質や、再利用に必要な水質に対応できます。
短所
吸着材や樹脂の交換・再生、薬品や電力、消毒副生成物などを考慮する必要があります。

水処理方法の比較表

※膜処理は物理的処理に含まれますが、膜の種類によって除去対象や用途が大きく異なるため、比較表では独立して掲載しています。

処理方法・技術

主な対象物質

長所

注意点

主な用途

物理的処理

SS、砂、汚泥、浮遊油

大量の固形物を比較的効率よく除去できる

一般的な沈殿やろ過では溶解性物質を除去しにくい

前処理、濁水、泥水、汚泥処理

化学的処理

微粒子、重金属、りん、pH

微細粒子や特定物質に対応しやすい

薬品費、条件調整、汚泥増加

工場排水、凝集、中和、金属処理

生物的処理

BOD成分、有機物、窒素

大量の有機性排水を継続処理しやすい

水温、負荷、微生物の管理が必要

下水、生活排水、食品系排水

膜処理

微粒子、微生物、溶解物質、イオン

高い処理水質を得やすい

膜汚染、洗浄、交換、電力費

再利用水、純水、脱塩、高度な固液分離

高度処理

臭気、色度、特定イオン、微生物

特定成分の除去や仕上げ処理に有効

交換・再生費用、薬品、電力、運転管理が必要

純水、再利用水、消毒、仕上げ処理

対象となる水・用途別の水処理

水処理に必要な設備や工程は、処理する水の性質と、処理後の利用目的によって変わります。飲料水、工業用水、工場排水、下水、土木泥水では、含まれる物質も求められる水質も異なるため、それぞれに適した処理方法を選ぶ必要があります。

01
飲料水・生活用水

安全性・味・におい・透明度を確保

02
工業用水・純水

製造・洗浄・冷却など用途別に調整

03
工場排水

業種・工程ごとの汚染物質へ対応

04
下水・生活排水

有機物・SS・窒素・りんを処理

05
地下水・土木泥水

濁質・土砂・粘土・セメント成分を分離

06
災害時・緊急時

常設設備の代替・能力補完として対応

飲料水・生活用水

飲料水・生活用水の処理では、河川水や湖沼水、地下水などの原水から、土砂や濁り、微生物、臭気成分などを除去し、安全に利用できる水質へ整えます。一般的には、沈殿やろ過で浮遊物を除去し、活性炭で臭気成分などを低減したうえで、塩素、紫外線、オゾンなどによる消毒を行います。

飲料水には安全性だけでなく、味やにおい、透明度なども求められます。そのため、原水の状態に合わせて複数の処理工程を組み合わせ、処理後も水質を継続的に確認することが重要です。

飲料水・生活用水

工業用水・純水・超純水

工場では、製造、洗浄、冷却、ボイラー給水など、用途に応じた水質が求められます。冷却水ではスケールや腐食を防ぐ管理が必要であり、洗浄水では製品に汚れや成分を残さない水質が重要です。

純水は、イオンや微粒子などの不純物を取り除いた水です。さらに高い純度が求められる超純水は、半導体や医薬品などの精密な製造工程で使用されます。ただし、水は純度が高いほど常に適しているわけではありません。必要以上に高い水質を設定すると設備費や運転費が増えるため、用途に合った純度を決める必要があります。

工業用水・純水・超純水

工場排水

工場排水に含まれる物質は、製造する製品や使用する原料・薬品によって異なります。食品工場では有機物や油分、金属加工工場では金属や研磨くず、化学工場では酸・アルカリや特定の化学物質などが含まれる場合があります。そのため、業種名だけで処理方法を決めず、実際の排水を分析することが必要です。

工場排水処理の目的は、排水基準に適合させることだけではありません。処理設備の安定運転、設備停止リスクの低減、汚泥量の削減、運搬・処分費の低減も重要です。排水量や濃度が時間帯や製造工程によって変動する場合は、最大負荷を想定した設備設計や、一時貯留による負荷の平準化も検討します。

工場排水

下水・生活排水

下水や生活排水には、し尿、台所、風呂、洗濯などから発生する有機物、SS、窒素、りんなどが含まれます。一般的な下水処理では、スクリーンや沈殿によって大きなごみや固形物を除去し、活性汚泥法などの生物処理によって有機物を分解します。

生物処理後は、微生物を含む汚泥と処理水を分離し、処理水は消毒などを経て放流します。分離された汚泥は、濃縮・脱水・減容化して処分または有効利用します。したがって、下水処理では処理水の水質だけでなく、余剰汚泥の量や脱水性能まで含めた管理が必要です。

下水・生活排水

地下水・土木泥水

地下水には、地域や地質によって鉄、マンガン、硬度成分、濁質などが含まれる場合があります。一方、道路、トンネル、基礎工事などで発生する土木泥水には、砂、粘土、シルト、セメント由来の成分などが混ざり、SS濃度が高くなることがあります。

土木泥水の処理では、凝集剤を使用して微細な粒子を大きなフロックにまとめ、沈殿や遠心分離によって水と固形物を分けます。分離した汚泥は脱水して処分量を減らし、処理水は水質を確認したうえで放流または工事用水として再利用します。処理量、粒径、pH、設置スペースによって、必要な設備構成は異なります。

地下水・土木泥水

災害時・緊急時

豪雨や洪水による浸水、設備故障、事故による排水流入などが発生すると、常設設備の処理能力を超えたり、設備そのものが使用できなくなったりすることがあります。未処理の排水や汚泥を現場に滞留させれば、操業や復旧作業にも影響します。

このような状況では、一時貯留、バキューム搬出、仮設水処理設備などを組み合わせて対応します。仮設水処理プラントは、必要な処理量や水質に合わせて装置を構成し、常設設備の代替または能力補完として利用できます。ただし、搬入経路、電源、配管、設置スペース、放流条件を事前に確認する必要があります。

災害時・緊急時

水処理で確認する主な水質指標

水処理設備は、水の見た目や濁りだけで選定するものではありません。pHBODCODSSDO、窒素、りんなどの数値を確認し、除去対象や目標水質を明確にします。適切な設備選定と安定運転には、複数の指標を組み合わせた判断が必要です。

pH
酸性・アルカリ性

薬品反応・生物処理・腐食へ影響

BOD/COD
有機物負荷

生物分解性・酸化負荷を把握

SS
浮遊固形物

沈殿・ろ過・回収工程へ影響

DO/T-N/T-P
酸素・栄養塩

生物処理・富栄養化対策に関係

OIL/METAL
油分・有害物質

物質ごとの個別処理が必要

pH・濁度

指標の意味

pHは、水が酸性・中性・アルカリ性のどの状態にあるかを示す指標です。pHは、凝集剤の反応、生物処理における微生物の働き、配管の腐食などに影響します。

濁度は、水の濁りの程度を光学的に示す指標です。土砂や微粒子が多い水では濁度が高くなります。ただし、濁度とSSは同じ指標ではないため、濁りの原因や粒子の性状を確認し、必要に応じて両方を測定します。

処理への影響
凝集・中和条件

薬品反応はpH条件に左右されます。

運転への影響
微生物・腐食管理

生物処理と設備保護の両方に関係します。

確認のポイント
濁度とSSを分けて確認

見た目だけで固形物量を判断しません。

BODとCOD

指標の意味

BODとCODは、どちらも水中の有機物などによる汚濁の程度を把握するために用いられる指標です。BODは、微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量を示し、生物によって分解されやすい有機物の評価に使われます。

CODは、酸化剤によって水中の物質を酸化するときに消費される酸素量を示します。BODとCODは測定原理や対象となる物質が異なるため、同じ水でも数値が一致するとは限りません。処理方式の選定では、一方だけでなく、排水の性状や測定目的に応じて両方を確認します。

BOD
生物分解されやすい負荷

活性汚泥法などの設計・運転へ影響。

COD
化学的な酸化負荷

凝集・酸化・吸着などの検討材料。

注意点
数値は一致しない

測定原理と対象物質が異なります。

SS

指標の意味

SSは「浮遊物質量」とも呼ばれ、水中に浮遊している固形物の量を示す指標です。土砂、汚泥、微生物のかたまり、凝集フロックなどが対象になります。

SS濃度や粒子の大きさ、沈みやすさによって、沈殿、凝集、ろ過、浮上分離、遠心分離などの適切な処理方法が変わります。SSが高い水をそのまま後段の膜設備などへ送ると、目詰まりや処理性能低下の原因になるため、前処理での除去が重要です。

対象
土砂・汚泥・フロック

水中に浮遊する固形物を示します。

設備選定
沈殿・ろ過・遠心分離

粒径や沈降性によって方式を選びます。

前処理
膜設備の保護

目詰まりや性能低下を防ぎます。

DO・全窒素・全りん

指標の意味

DOは、水中に溶けている酸素の量を示します。活性汚泥法などの好気性生物処理では、微生物が有機物を分解するために酸素が必要なため、DOは重要な運転管理指標です。ただし、脱窒工程では酸素が少ない環境が必要になるため、工程ごとに適したDO管理が求められます。

全窒素と全りんは、水中に含まれる窒素・りん成分の総量を示す指標です。これらが多い状態で水域へ流入すると、富栄養化につながる可能性があります。除去には、硝化脱窒、生物学的脱りん、薬品沈殿など、対象物質に応じた処理が必要です。

DO
曝気・生物処理管理

好気・無酸素工程で適正値が異なります。

全窒素
硝化脱窒

窒素形態と工程条件を確認します。

全りん
生物・薬品除去

富栄養化対策として管理します。

油分・重金属・有害物質

対象物質と処理

油分、重金属、PFASなどの有害物質は、一般的な沈殿や生物処理だけでは十分に除去できない場合があります。油分には油水分離や浮上分離、重金属にはpH調整や薬品沈殿、対象物質によっては活性炭吸着、イオン交換、膜処理などを検討します。

同じ「工場排水」でも、含まれる物質の種類、濃度、溶解状態によって必要な処理は異なります。まず対象物質を分析し、処理試験によって除去性能、薬品量、発生汚泥量を確認したうえで設備を選定することが重要です。

油分
油水分離・浮上分離

乳化状態によって処理を変えます。

重金属
pH調整・薬品沈殿

金属種と溶解状態を確認します。

PFAS等
吸着・膜・個別処理

対象物質ごとの技術選定が必要です。

水質分析で確認したい主な項目

水質項目

確認できること

設備・運転への主な影響

pH

酸性・アルカリ性の状態

中和、凝集、生物処理、腐食管理

濁度

水の見た目の濁り

凝集、沈殿、ろ過の必要性

SS

浮遊する固形物の量

沈殿、ろ過、遠心分離、膜の前処理

BOD

生物分解されやすい有機物の負荷

生物処理の能力・運転条件

COD

化学的に酸化される物質の負荷

凝集、酸化、吸着、生物処理の検討

DO

水中の溶存酸素量

曝気量、硝化、脱窒、生物処理管理

全窒素

窒素成分の総量

硝化脱窒などの窒素除去

全りん

りん成分の総量

生物学的・化学的りん除去

油分

鉱物油・動植物油など

油水分離、浮上分離、吸着

重金属

鉛、六価クロム、カドミウムなど

pH調整、薬品沈殿、吸着

流量

単位時間当たりの水量

設備容量、滞留時間、ピーク負荷

水温

水の温度

生物反応、薬品反応、膜性能

数値だけで設備を決定せず、日内変動、季節変動、製造工程の切り替え時なども含めて、複数回の測定結果を確認します。

水処理方法を選ぶときの判断基準

水処理では、特定の方式や設備がすべての現場に適しているわけではありません。原水に含まれる物質、処理後に求める水質、処理量、設置条件、運転体制、費用などを総合的に確認し、必要に応じて複数の処理方法を組み合わせて選定します。

01
原水・汚染物質

何が、どの程度含まれるか

02
目標水質

放流・再利用・製造用途を逆算

03
処理量・変動

平均値ではなく最大負荷も確認

04
設置条件・期間

スペース・搬入・電源・工期

05
運転・保守

人員・自動化・薬品・清掃

06
総コスト

初期費用とランニングを比較

07
処理試験

実液で性能と汚泥量を確認

水処理方法は、除去したい物質だけを見て決めるのではなく、目標水質、処理量、設置条件、運転体制、費用を順番に整理して選定します。候補となる設備を絞り込んだ後は、実際の原水を使用した処理試験を行い、処理水質、薬品使用量、発生する汚泥量、運転の安定性を確認します。

机上の計算や過去の実績だけでは、原水特有の性質を完全には判断できません。特に水質変動が大きい排水や、特殊な薬品・油分・金属を含む排水では、試験結果をもとに設備構成や運転条件を調整することが重要です。

水処理方法の選定フロー
01原水を分析

水質・流量・変動

02除去対象を特定

固形物・有機物・金属等

03目標水質を設定

放流・再利用・製造用途

04処理量を確認

平均・最大・変動

05設置条件を確認

スペース・電源・搬入

06管理体制を確認

人員・保守・汚泥搬出

07総コストを比較

初期・運転・処分費

08設備候補を選ぶ

処理方式・設備構成

09実液試験

水質・薬品・汚泥量

10仕様を確定

設備能力・運転条件

主な水処理設備・装置

水処理設備は、名称だけで選ぶのではなく、「処理工程のどこで使うか」「何を除去するか」を確認することが重要です。原水の状態と目標水質に応じて、沈殿、ろ過、薬品処理、生物処理、膜処理、汚泥脱水などの設備を組み合わせます。

沈殿槽・浮上分離装置

沈殿槽は、水より比重が大きい固形物や凝集フロックを、重力によって槽の底へ沈める設備です。砂、汚泥、比較的沈みやすいSSの分離に用いられます。十分な沈降時間と、槽内の流れを乱さない設計が必要です。

一方、浮上分離装置は、微細な気泡を粒子や油分に付着させ、水面へ浮かせて回収します。油分や比重の軽い固形物、沈みにくいフロックの除去に適しています。対象物質の比重、粒径、浮上・沈降性を確認し、沈殿と浮上を使い分けます。

沈殿槽・浮上分離装置

ろ過装置・活性炭フィルター

ろ過装置は、砂、ろ布、カートリッジなどに水を通し、粒子を物理的に捕捉する設備です。前処理後に残った細かなSSの除去や、膜設備へ送る前の水質安定化に利用します。粒子の大きさや濃度に応じて、ろ材や目の細かさを選定します。

活性炭フィルターは、表面にある微細な孔へ有機物や臭気成分などを吸着させる設備です。粒子をこし取る通常のろ過とは役割が異なります。吸着できる量には限界があるため、原水濃度、通水量、交換・再生時期を管理する必要があります。

ろ過装置・活性炭フィルター

凝集・中和・薬注設備

凝集・中和・薬注設備は、処理対象に応じた薬品を一定量投入し、水中の物質を除去しやすい状態へ変える設備です。凝集剤は微細な粒子をフロックにまとめ、pH調整剤は酸性・アルカリ性を適切な範囲へ調整します。酸化剤や還元剤は、対象物質の化学的な状態を変えるために使用します。

処理性能は薬品の種類や注入量だけでなく、pH、撹拌速度、反応時間、薬品を投入する順序にも左右されます。実際の原水で試験を行い、処理効果と汚泥発生量を確認して条件を設定します。

凝集・中和・薬注設備

生物処理槽・曝気設備

生物処理槽は、微生物を利用して排水中の有機物や窒素成分を分解する設備です。代表的な活性汚泥法では、曝気槽へ空気を送り、微生物が活動できる環境をつくります。微生物が有機物を取り込んだ後、沈殿槽で処理水と汚泥を分離します。

安定運転には、流入するBOD負荷、水温、pH、DO、汚泥濃度、返送汚泥量などの管理が必要です。曝気不足は処理性能低下につながりますが、過剰な曝気は電力消費を増やします。必要な酸素量と槽内の撹拌状態を確認し、曝気設備を選定・調整します。

生物処理槽・曝気設備

膜処理装置

膜処理装置は、膜の細かな孔や分離性能を利用して、水中の粒子、微生物、溶解性物質、イオンなどを分離する設備です。MFやUFは主に微粒子や微生物の除去に、ROは塩類やイオンを含む溶解性物質の低減に利用されます。

安定して運転するには、膜へ送る前にSSや油分を取り除く前処理が重要です。膜表面へ汚れが付着すると、処理量の低下や圧力上昇が起こるため、定期的な洗浄と差圧管理、膜交換が必要になります。また、ROでは処理水とともに濃縮水が発生するため、その処理方法も検討します。

膜処理装置

遠心分離機・脱水機

遠心分離機や脱水機は、水処理で発生した汚泥を固形物と液体に分け、汚泥の体積や重量を減らす設備です。デカンタ型遠心分離機は、高速回転による遠心力を利用して固液を連続的に分離します。フィルタープレスは、ろ布を通して水分を抜き、固形物をケーキ状にします。

設備ごとに、連続運転のしやすさ、脱水後の含水率、処理能力、設置面積、洗浄水、電力、薬品条件が異なります。汚泥の種類や粒径、粘性、油分、処理量を確認し、実液試験を行って方式を選定します。脱水性能を改善できれば、運搬量や産業廃棄物処分費の削減につながります。

遠心分離機・脱水機

仮設水処理プラント

仮設水処理プラントは、原水や汚泥の性状、必要な処理量、使用期間に応じて、タンク、薬注設備、反応槽、ポンプ、遠心分離機、膜設備などを組み合わせ、一時的に設置する水処理設備です。

既存設備の更新・故障時、工事期間中、災害復旧、一時的な処理量増加など、常設設備だけでは対応できない場面で利用できます。必要な期間だけ導入しやすい一方、搬入経路、設置スペース、電源、配管、放流条件などの現場確認が欠かせません。仮設であっても、原水分析と処理試験を行い、必要な水質を満たす設備構成を決めます。

仮設水処理プラント

主な水処理設備・装置の比較

設備

主な工程

主な除去・処理対象

選定時の確認事項

沈殿槽

前処理・固液分離

沈みやすいSS、砂、凝集フロック

沈降性、滞留時間、設置面積

浮上分離装置

前処理・主処理

油分、軽いフロック、浮遊物

浮上性、薬品条件、回収方法

ろ過装置

前処理・仕上げ

細かなSS、粒子

粒径、ろ材、逆洗・交換頻度

活性炭フィルター

高度処理

臭気、一部の有機物、色度

吸着容量、交換・再生時期

薬注設備

化学処理

微粒子、pH、金属など

薬品種類、注入量、反応時間

生物処理槽・曝気設備

主処理

BOD成分、有機物、窒素

水温、DO、負荷、汚泥管理

膜処理装置

主処理・高度処理

微粒子、微生物、塩類、イオン

前処理、差圧、洗浄、濃縮水

遠心分離機・脱水機

汚泥処理

汚泥、固形物

汚泥性状、含水率、処理能力

仮設水処理プラント

全工程

現場条件に応じて構成

期間、搬入、電源、配管、処理試験

水処理で起こりやすい課題と対策

水処理の不調には、水質変動、設備能力、薬品条件、運転管理など複数の要因が関係します。症状だけを見て薬品量や設備を変更すると、別の問題を生むことがあります。まず原因を切り分け、原水・処理水・運転データを確認してから対策を選ぶことが重要です。

01
濁度・SSが下がらない

凝集・沈降・設備負荷を確認

02
BOD・CODが下がらない

有機物負荷・生物処理を確認

03
油分・金属・栄養塩が残る

対象物質ごとに処理を選択

04
汚泥・処分費が増える

薬品・含水率・脱水性能を確認

05
処理能力が不足

流量・負荷・ボトルネックを確認

06
設備停止中も処理が必要

バイパス・仮設水処理プラントで代替

07
豪雨・災害で負荷急増

貯留・仮設・緊急搬出を検討

濁度やSSが下がらない

主な原因
粒子・凝集・沈降条件の不一致

粒子が細かく自然沈降しにくい、pHと凝集剤が合っていない、薬品量や撹拌条件が不適切、沈降時間が不足しているなどが考えられます。設備負荷超過や浮泥再浮上も原因になります。

確認項目
濁度・SS・pH・流量・凝集条件

原水と処理水の濁度・SS、pH、流量、凝集剤の種類と注入量、撹拌時間、フロックの大きさ、沈殿槽の滞留時間と汚泥界面を確認します。

対策候補
ジャーテストと工程改善

pH、薬品量、投入順序、撹拌強度を見直し、凝集助剤の併用、沈殿槽の運転改善、ろ過装置や遠心分離機の追加を検討します。

注意点
薬品の増量だけでは解決しない

過剰添加は薬品費と汚泥量を増やします。凝集性能はpH、水温、撹拌、投入順にも左右されるため、実液試験で確認します。

BODやCODが基準値まで下がらない

主な原因
有機物負荷・滞留時間・微生物状態

有機物負荷の増加、滞留時間不足、曝気量やDO不足、微生物状態の悪化、水温・pH変化、毒性物質、難分解性有機物などが考えられます。

確認項目
BOD・COD・DO・MLSS・滞留時間

流入水・処理水のBODとCOD、流量、pH、水温、DO、MLSS、曝気状況、滞留時間、汚泥の沈降状態を確認します。

対策候補
負荷平準化・生物処理改善・高度処理

流量調整槽、曝気条件・返送汚泥量の調整、生物処理容量の増強を行い、難分解性物質には凝集、酸化、活性炭、膜処理を組み合わせます。

注意点
BODとCODは同じ方法で下がるとは限らない

測定原理と対象物質が異なります。負荷上昇と運転不調を切り分け、対象有機物に合う対策を選びます。

油分・重金属・窒素・りんが残る

主な原因
対象物質に対して処理方式が合っていない

油分の乳化、金属の溶解状態、硝化・脱窒条件不足、りん除去の薬品条件不一致などが考えられます。

確認項目
種類・濃度・溶解状態・pH

対象物質の種類と濃度、溶解・浮遊状態、pH、油分の乳化状態、アンモニア型窒素・硝酸性窒素・全窒素、全りんを確認します。

対策候補
油水分離・薬品沈殿・硝化脱窒

浮遊油は油水分離、乳化油は凝集、重金属はpH調整と薬品沈殿、窒素は硝化脱窒、りんは生物・薬品処理を検討します。

注意点
大分類だけで設備を選ばない

対象物質ごとの分析と処理試験を行い、除去性能、薬品量、発生汚泥量まで確認します。

汚泥の発生量や処分費が増えている

主な原因
薬品過多・濃縮不足・脱水性能低下

凝集剤の過剰添加、凝集条件不適合、汚泥濃縮不足、脱水機の能力低下などにより、含水率や搬出量が増えている可能性があります。

確認項目
汚泥量・含水率・薬品量・処分単価

脱水前後の含水率、固形物回収率、薬品使用量、脱水機処理量、搬出頻度、処分単価を確認します。

対策候補
薬品最適化・濃縮・脱水方式の見直し

ジャーテスト、汚泥濃縮、脱水機の運転条件改善を行い、フィルタープレス、スクリュープレス、遠心分離機を比較します。

注意点
含水率だけで最適化しない

薬品、電力、洗浄水、人員、保守費まで含む総コストで判断し、実液試験で性能を確認します。

設備の処理能力が不足している

主な原因
流量増加・負荷上昇・設備老朽化

生産量増加、排水集中、水質負荷上昇、設備老朽化、工程変更などで設計能力を超えている可能性があります。

確認項目
日量・最大流量・各工程の能力

流量、濃度、滞留時間、ポンプ能力、曝気量、沈殿・脱水設備の処理量を確認します。

対策候補
負荷平準化・前処理追加・増設・仮設補完

流量調整槽、発生源対策、前処理追加、恒常的な増設、一時的な仮設水処理プラントによる並列処理を検討します。

注意点
ボトルネックは主処理とは限らない

前処理、沈殿、汚泥引き抜き、脱水工程の能力不足も処理系全体を不安定にします。

設備故障や更新工事中も処理を止められない

主な原因
故障・補修・更新・定期修繕

脱水機、ポンプ、槽、配管などの停止中も排水や汚泥の発生が続き、既設系列が一時的に使用できない状態です。

確認項目
停止期間・処理量・接続・搬入条件

停止設備と期間、原水・汚泥性状、接続位置、貯留量、搬入経路、電源、配管、放流条件を確認します。

対策候補
別系列・バイパス・貯留・仮設代替

別系列への切り替え、仮設配管、貯留、仮設水処理・脱水設備による代替処理を検討します。

注意点
事前試験と切り替え計画が必要

仮設水処理プラントだけ搬入しても稼働できません。接続、処理条件、緊急搬出まで事前に計画します。

豪雨・災害で処理負荷が急増した

主な原因
雨水流入・浸水・土砂混入・設備損傷

流量、濁度、SS、汚泥量が短時間で増加し、電源・ポンプ停止で通常処理を維持できない場合があります。

確認項目
ピーク流量・貯留・水質・インフラ

流入量、貯留容量、濁度・SS、有害物質、設備状態、搬入経路、電源、放流先を確認します。

対策候補
応急貯留・仮設処理・脱水・緊急搬出

流入経路を分け、仮設沈殿、凝集、遠心分離、脱水を組み合わせ、必要に応じて緊急搬出します。

注意点
処理性能より安全を優先

設備固定、漏えい・感電防止、作業員安全を優先し、平時から電源・搬入経路・連絡体制を整理します。

水処理にかかる費用とコスト削減

水処理の費用は、設備の購入価格だけでは判断できません。設置工事、薬品、電力、運転人員、保守、分析、汚泥処分など、導入後に継続して発生する費用を含めて比較する必要があります。処理水1㎥当たりの費用や、利用期間全体の総コストで評価します。

01
費用の内訳

設備・工事・運転・保守・処分

02
高コストの原因

過剰設計・薬品過多・高含水率

03
削減方法

薬品・電力・脱水条件を最適化

04
導入方式の比較

購入・外部委託・レンタル

05
再利用

処理水・固形物の再利用を検討

水処理費用の主な内訳

水処理費用は、設備を導入するまでの初期費用と、稼働後に発生する運転・維持管理費に分けられます。さらに、処理によって発生する汚泥の運搬・処分費も無視できません。特に汚泥量が多い現場では、設備価格よりも長期的な処分費の方が大きくなることがあります。

費用区分

主な内容

設備費

タンク、ポンプ、薬注設備、ろ過・膜設備、脱水機、制御盤

設置工事費

基礎、搬入、配管、電気、架台、試運転

薬品費

凝集剤、中和剤、酸化剤、洗浄薬品

電力費

ポンプ、ブロワ、撹拌機、膜設備、脱水機

人件費

運転監視、薬品補充、清掃、分析、汚泥搬出

保守・消耗品費

ろ材、膜、ろ布、部品、潤滑油、定期点検

水質分析費

原水・処理水の採水、外部分析、計測機器の校正

汚泥処分費

脱水、保管、収集運搬、中間処理、最終処分

初期費用
設備・設計・施工

導入時に一度発生する費用。

運転費
薬品・電力・人員

処理量や負荷に応じて継続発生。

処分費
汚泥量・含水率・搬出

長期では設備費を上回る場合もあります。

水処理コストが高くなる原因

水処理コストが高くなる代表的な原因は、設備の過剰設計、薬品の過剰添加、ポンプやブロワの非効率運転、膜やろ材の目詰まり、汚泥の高含水率などです。原水の流量・水質が変わっているにもかかわらず、導入時と同じ条件で運転を続けると、薬品や電力を余分に消費する可能性があります。

また、汚泥の濃縮・脱水が不十分なまま外部搬出すると、水分を含む重量に対して運搬・処分費がかかります。処理水側だけでなく、発生汚泥量、含水率、搬出回数、処分単価まで確認する必要があります。汚泥を現場で固液分離・減容化することは、搬出量と処理費の削減につながる場合があります。

設備
過剰設計・効率低下

必要以上の能力や老朽化設備。

運転
薬品過多・非効率運転

原水変化に条件が追随していない。

汚泥
高含水率・搬出量増加

水分を含む重量×処分費が発生。

薬品・電力・汚泥処分費を削減する方法

薬品費を見直す場合は、ジャーテストで凝集剤の種類、注入量、pH、撹拌条件を調整します。過剰添加を避けることで、薬品費だけでなく発生汚泥量を抑えられる可能性があります。

電力費については、流量や負荷に合わせたポンプ・ブロワの運転、間欠運転、インバーター制御、高効率機器への更新などを検討します。ただし、生物処理の曝気量を下げすぎると水質が悪化するため、DOなどを確認しながら調整します。

汚泥処分費を下げるには、濃縮と脱水の改善が重要です。汚泥に適した薬品条件と脱水方式を選び、含水率と搬出量を削減します。費用評価では、薬品・電力・洗浄水・人員・処分費をまとめて比較します。脱水機は方式名だけで判断せず、汚泥性状と前処理条件を含めた評価が必要です。

薬品費
ジャーテストで最適化

種類・量・pH・撹拌を調整。

電力費
負荷連動運転

インバーター・間欠・高効率化。

処分費
濃縮・脱水を改善

含水率と搬出量を削減。

設備購入・外部委託・レンタルの違い

設備購入は、長期間にわたり安定した水量・水質を処理する場合に向いています。一方、短期間の工事、設備更新、災害対応、処理量の一時的増加では、仮設水処理プラントやレンタルの方が初期投資と保有リスクを抑えやすい場合があります。

外部委託は自社で設備を運転する必要がない反面、排水・汚泥量が多い場合は、運搬費と処理費が継続的に発生します。利用期間、処理量、緊急性、設置条件、運転人員をもとに比較します。

選択肢

適しているケース

主なメリット

主な注意点

設備購入

長期・定常的な処理

自社設備として継続運転できる

初期投資、保守、更新が必要

外部委託

少量・不定期の発生

設備や運転者を持たずに済む

搬出量に応じて費用が増える

仮設・レンタル

短期、緊急、能力補完

必要な期間・能力で構成しやすい

搬入、配管、電源、運転条件の確認が必要

水や汚泥の再利用によるコスト削減

処理水を洗浄水、散水、冷却水、工事用水などに再利用できれば、上水・工業用水の使用量と排水量を抑えられる可能性があります。再利用の可否は、用途ごとに必要な水質、配管、貯留設備、衛生管理、法令・社内基準を確認して判断します。

固液分離した固形物も、成分と品質によっては原料や資材として再利用できる場合があります。再利用できない場合でも、脱水によって産業廃棄物量を減らせれば、運搬・処分費の削減につながります。

ただし、再利用設備の追加費用や管理負担も発生します。水購入費・排水費・処分費の削減額と、設備費・薬品費・電力費を比較し、回収期間を見積もることが重要です。セイスイ工業は、水の再利用と汚泥減容化を環境負荷・コストの両面から扱っています。

水再利用
上水・工業用水を削減

洗浄・冷却・散水・工事用水へ。

汚泥減容
運搬・処分費を削減

脱水により搬出量を減らします。

投資回収
削減額と追加費用を比較

設備・薬品・電力・管理を含めます。

水処理に関係する法規制と水質管理

水処理に関係する基準は、業種、施設、所在地、排水量、排水先によって異なります。国が定める一律排水基準だけでなく、自治体の上乗せ基準、下水道への排除基準、施設ごとの管理条件を確認し、適用される規制に合わせて設備を運転・管理する必要があります。

01
水質汚濁防止法

公共用水域への排出と排水基準

02
上乗せ基準

自治体条例による追加・強化基準

03
排水先別基準

河川・海域・下水道・再利用

04
測定・記録

採水・測定頻度・運転記録

05
設備変更

届出・事前相談の要否を確認

水質汚濁防止法と排水基準

水質汚濁防止法は、工場や事業場から公共用水域へ排出される水などを規制し、人の健康の保護と生活環境の保全を図る法律です。対象となる特定施設を設置する事業場では、排出水を適用される排水基準に適合させる必要があります。

排水基準には、カドミウムや水銀などの有害物質に関する項目と、pH、BOD、COD、SSなど生活環境に関する項目があります。ただし、項目によって適用条件が異なり、生活環境項目には排水量などによる適用範囲もあります。具体的な数値は、環境省やe-Govの最新情報で確認してください。

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特定施設か

施設区分と届出対象を確認。

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適用項目

有害物質・生活環境項目を確認。

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適用条件

排水量・排出先・施設条件を確認。

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最新情報

現行条文・省令・行政案内を確認。

自治体の上乗せ排水基準

水質汚濁防止法に基づく一律排水基準とは別に、都道府県などが条例によって、より厳しい上乗せ排水基準を定めている場合があります。対象となる地域、水域、業種、施設、排水量によって、適用される項目や数値が変わることがあります。

そのため、全国共通の排水基準を満たしているだけで、必ず放流できるとは限りません。設備の設計・変更や放流を行う前に、事業場が所在する都道府県、市区町村、所管行政機関の条例と案内を確認します。(環境省)

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所在地

都道府県・市区町村を確認。

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対象水域

河川・湖沼・海域等を確認。

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業種・施設

対象業種・施設区分を確認。

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一律基準との差

項目・数値・適用条件を比較。

業種や排水先によって異なる基準

排水を河川、湖沼、海域などの公共用水域へ直接放流する場合と、公共下水道へ排除する場合では、確認すべき法令や基準が異なります。公共用水域への排出では水質汚濁防止法や自治体条例を確認し、下水道への排除では下水道法、自治体の下水道条例、下水道管理者が定める排除基準などを確認します。

処理水を工場内で再利用する場合も、用途に応じた品質、衛生、設備保護、製品への影響を確認する必要があります。排水先や再利用先を決めてから、その条件を満たす目標水質を設定することが重要です。(国土交通省)

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公共用水域

水質汚濁防止法・条例を確認。

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公共下水道

下水道法・排除基準を確認。

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再利用

用途別品質・衛生・社内基準を確認。

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業種別条件

工程・使用物質・施設条件を確認。

水質測定・記録・定期確認

水質管理では、処理水を一度測定して終わりにせず、原水の変動や設備の運転状況と合わせて継続的に確認します。採水位置が適切でなければ、実際の放流水質や設備性能を正しく把握できません。排水口、処理工程の前後、負荷変動が起きる時間帯など、目的に合った場所と時期を設定します。

測定項目や頻度は、適用法令、条例、届出内容、行政指導、排水先の条件などによって異なります。測定結果は、流量、薬品使用量、pH、DO、設備異常、汚泥引き抜きなどの運転記録と照合し、異常の早期発見と原因分析に利用します。水質汚濁防止法には、対象事業者の排出水の測定・記録に関する規定があります。(e-Gov 法令検索)

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採水位置

排水口・工程直後・変動時間帯。

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測定頻度

法令・条例・届出・行政指導。

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記録保存

測定値と運転条件を紐付け。

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異常分析

流量・薬品・設備状態と照合。

設備変更時に確認すべき事項

水処理設備の処理方式、施設構造、排水量、使用薬品、排水経路、汚泥処理方法などを変更する場合は、既存の届出内容や適用基準に影響しないか確認します。変更内容によっては、法令や条例に基づく事前相談、変更届、使用開始に関する手続きなどが必要になる場合があります。

ただし、すべての設備変更に一律で同じ届出が必要なわけではありません。対象施設、変更内容、所在地、排水先によって判断が異なります。設計や工事を確定する前に、社内の環境管理担当者と所管行政機関へ確認し、必要な手続きと提出時期を整理してください。(e-Gov 法令検索)

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変更内容

方式・構造・排水量・薬品・経路。

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既存届出

届出内容との差分を確認。

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手続き要否

事前相談・変更届・使用開始。

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提出時期

設計・工事確定前に整理。

法規制セクションの公的確認先

確認内容

公的確認先

現行条文

水質汚濁防止法(e-Gov法令検索)

排水基準省令

排水基準を定める省令(e-Gov法令検索)

一般排水基準

環境省 一般排水基準

上乗せ基準

事業場所在地の都道府県・市区町村サイト

下水道排除基準

所管する下水道管理者・自治体の条例

仮設水処理が適しているケース

仮設水処理は、常設設備をそのまま置き換える万能な方法ではありません。設備の停止期間、処理量の一時的な増加、工事期間、災害など、必要な期間や負荷が限定される現場で特に有効です。原水と現場条件に合わせて機器を組み合わせ、処理後に撤去できる点が特徴です。

01
設備更新・故障時

停止工程を一時的に代替

02
一時的な能力増強

増産・季節変動・集中排水へ対応

03
災害・緊急対応

豪雨・浸水・設備破損時に搬入

04
土木工事

工期中だけ濁水・泥水を処理

05
実証試験

本設備導入前に実液で検証

06
適さない条件

長期・定常・設置制約などを確認

07
導入フロー

調査・試験・搬入・試運転・撤去

既存設備の更新・故障時

脱水機、ポンプ、曝気設備、沈殿槽などの更新・修理中でも、排水や汚泥の発生を止められない現場があります。このような場合は、仮設のタンク、ポンプ、薬注設備、固液分離機などを既設設備の前後へ接続し、停止する工程を一時的に代替します。

ただし、既設配管へ機器を接続するだけでは安定した処理はできません。必要処理量、原水・汚泥の性状、目標水質、貯留可能量、接続位置、切り替え手順を確認し、可能な限り実液による処理試験を行います。更新工事の開始前に搬入・設置まで完了させ、試運転で処理性能を確認しておくことが重要です。セイスイ工業では、点検・更新・トラブル時の代替処理を仮設水処理の主な用途として案内しています。

既存設備の更新・故障時

一時的に処理能力を増強したい場合

増産、季節的な生産量の増加、イベントや清掃作業による集中排水などにより、一定期間だけ既設設備の処理能力を超えることがあります。設備全体を恒久的に増設すると、負荷が下がった後に余剰設備となる可能性があります。

期間と増加分が明確な場合は、ボトルネックとなっている工程に仮設水処理プラントを追加し、処理能力を補完できます。例えば、凝集設備、沈殿・固液分離設備、脱水機などを並列に設置する方法です。導入前には、平均流量だけでなくピーク流量、水質の変動幅、既設設備との分担範囲を整理します。仮設水処理プラントは、一時的な増強や高濃度汚泥の処理などに適した選択肢です。

一時的に処理能力を増強したい場合

災害・緊急対応が必要な場合

豪雨、洪水、浸水、地震、設備破損などによって、排水量や濁度、汚泥量が急増したり、常設設備が停止したりすることがあります。このような場合は、まず流入の遮断や応急貯留、安全確保を行ったうえで、現場条件に合った仮設水処理プラントを搬入します。

処理対象に応じて、ポンプ、タンク、薬注設備、凝集設備、遠心分離機、ろ過設備などを組み合わせます。緊急時でも、未処理水をそのまま放流するのではなく、適用基準と放流先を確認する必要があります。平時から設置候補場所、電源、搬入経路、接続位置、緊急連絡体制を整理しておくと、対応を早めやすくなります。セイスイ工業では、水害時の排水・汚泥処理を想定した仮設水処理プラントもご提案可能です。

災害・緊急対応が必要な場合

土木工事など期間限定の水処理

道路、トンネル、橋梁、基礎、推進、浚渫などの工事では、工期中に土砂、粘土、セメント成分などを含む濁水・泥水が発生します。工事が終了すれば処理自体も不要になるため、常設設備を新設するより、工期に合わせて仮設水処理プラントを設置する方が適する場合があります。

一般的には、原水槽、凝集設備、沈殿・固液分離設備、遠心分離機などを組み合わせます。処理水を工事用水として再利用できれば、給水量や排水量を抑えられる可能性もあります。工事終了後に設備を撤去できる一方、工事工程に合わせた処理能力、搬入経路、泥水の性状、処理後の固形物の扱いを事前に確認する必要があります。セイスイ工業では、土木泥水を現場処理し、処理水を再利用した事例を多数公開しています。

土木工事など期間限定の水処理

仮設水処理が適さないケース

処理量と水質が長期にわたり安定し、今後も継続的な処理が必要な現場では、仮設水処理プラントを長期間借り続けるより、常設設備を導入した方が総コストを抑えられる場合があります。また、搬入経路や設置スペースが確保できない、必要な電源・給排水・配管を準備できない場合は、仮設水処理プラントを設置できません。

特殊な有害物質を含み、利用可能な機器では目標水質を達成できない場合や、発生する濃縮水・汚泥の処分方法を確保できない場合も適用が難しくなります。さらに、緊急性が高くても原水情報が不足していると、設備を正しく構成できません。

仮設か常設かは、利用期間、処理量、原水、必要設備、運転人員、搬入・撤去費、レンタル費、保守費を含む総コストで比較します。仮設水処理プラントもすべての汚泥や現場に同じ構成で対応できるわけではありません。

仮設水処理が適さない可能性が高い条件
  • 長期・定常的な処理が前提
  • 常設設備の方が総コストで有利
  • 搬入経路・設置スペースがない
  • 電源・配管・給排水を確保できない
  • 特殊物質へ利用可能機器が対応できない
  • 濃縮水・汚泥の処分先を確保できない
  • 原水情報が不足している
  • 安全条件を満たせない

相談から設置・稼働までの流れ

仮設水処理では、最初に処理対象、処理量、目標水質、希望期間を確認します。その後、必要に応じて水質分析や処理試験を行い、使用するタンク、薬注設備、ポンプ、固液分離機などを選定します。

設備構成を決めた後は、現地で搬入経路、設置スペース、電源、配管、放流先、安全条件を確認します。搬入・接続後に試運転を行い、処理水質と運転状態を確認してから本稼働へ移行します。運転期間中は、水質や設備状態を監視し、原水の変化に応じて薬品量や運転条件を調整します。処理終了後は設備を停止・撤去し、必要に応じて原状復旧を行います。セイスイ工業は、現場状況や原水濃度をヒアリングしたうえで、機器の組み合わせとプラントを提案しています。

仮設水処理の導入フロー
01課題をヒアリング

処理対象・希望期間

02水質・処理量を確認

原水・汚泥・目標水質

03実液試験

水質・薬品・汚泥量

04設備を選定

方式・能力・機器構成

05現地調査

搬入・電源・配管・放流先

06搬入・接続

組立・配管・安全確認

07試運転

水質・運転状態を確認

08本稼働・管理

監視・条件調整

09停止・撤去

処理終了・原状復旧

仮設水処理をご検討の方へ

現場条件に合わせて
水処理設備を検討します

原水の水質、処理量、設置スペース、希望期間などをもとに、必要な設備構成を整理します。

水質データなしでも相談可短期・長期どちらも対応汚泥処理も相談可能
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処理方法が決まっていない段階でもご相談いただけます。

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セイスイ工業の水処理・汚泥処理事例

水処理設備は、原水や汚泥の性状、処理量、設置条件によって適切な構成が異なります。ここでは、設備更新中の代替処理、発電所の堆積汚泥処理、土木工事での泥水再利用について、採用した設備と処理結果を紹介します。

し尿処理場脱水機更新中の代替処理

既設設備の更新期間中に、仮設脱水設備で処理を継続。

約1/17に減容
火力発電所石炭スラッジの減容化

デカンタ型遠心分離機2台で、高濃度汚泥を連続処理。

約1/5に減容
高速道路工事高濃度泥水の処理と再利用

限られたスペースで連続固液分離し、処理水を再利用。

処理費を約3/10に

し尿処理場|脱水機更新工事中の代替処理

し尿処理場の脱水機更新中に仮設水処理プラントを導入した事例
し尿処理場の脱水機更新中に仮設水処理プラントを導入した事例事例の詳細を見る
事例概要

既設脱水機の更新期間中も汚泥処理を継続するため、仮設水処理プラントを2カ月間導入し、汚泥の脱水・減容化を行いました。

※事例数値は当該現場での結果です
更新工事中の代替処理では、停止期間、汚泥性状、必要処理量、既設配管との接続方法を事前に確認する必要があります。

現場・業種
し尿処理場

既設脱水機の更新工事が行われる現場。

課題
更新期間中も処理を止められない

未処理汚泥の外部搬出では、運搬量と費用が増える状態でした。

処理対象・採用方式
仮設プラントによる脱水・減容化

既設設備から汚泥を引き抜き、仮設設備で処理。

選定理由
必要期間だけ既設設備相当の能力を確保

常設設備を新設せず、工事期間中の処理を継続。

導入期間
2カ月間

既設設備の復旧まで仮設設備を代替機として稼働。

運転条件
原汚泥濃度 約1.2%

脱水後の汚泥は含水率80%。

処理前1,500㎥

原汚泥量

処理後90㎥

脱水後汚泥量

費用効果約1/2.5

未処理汚泥の場外搬出との比較

火力発電所|石炭スラッジの減容化

石炭火力発電所の石炭汚泥を仮設プラントで処理した事例
石炭火力発電所の石炭汚泥を仮設プラントで効率処理、産廃量を1/5に削減事例の詳細を見る
事例概要

雨水貯槽に堆積した石炭汚泥を、ポンプ浚渫とデカンタ型遠心分離機2台で連続処理し、外部搬出量を削減しました。

※薬品量・処理能力は汚泥性状で変わります
石炭汚泥の濃度、粒径、比重、凝集性によって必要条件は異なります。公開数値は当該現場での結果です。

現場・業種
石炭火力発電所

雨水貯槽に石炭汚泥が堆積していた現場。

課題
バキューム搬出では産廃量と費用が増大

既設設備だけでは高濃度汚泥を処理しにくい状態。

採用設備
HS-500MW 2台

高分子凝集剤を加え、デカンタ型遠心分離機で固液分離。

選定理由
高濃度汚泥を連続処理

現場で水分を分離し、外部搬出量を削減。

稼働条件
1日7時間

現場条件に合わせて仮設水処理プラントを稼働。

処理水
既設水処理設備へ返送

脱水後の固形物はダンプへ排出。

処理前1,850㎥

堆積汚泥量

処理後370㎥

脱水後汚泥量

処理性能回収率97%以上

脱水ケーキ含水率47%

高速道路工事|高濃度泥水の処理と再利用

高速道路工事の鋼管圧入工事で土木泥水再利用システムを導入した事例
高速道路工事の鋼管圧入工事で土木泥水再利用システムを導入した事例事例の詳細を見る
事例概要

狭い土木現場で発生する高濃度泥水を連続的に固液分離し、処理水を鋼管圧入工事へ再利用しました。

※再利用には用途ごとの水質確認が必要です
処理能力や減容率は、泥水濃度、粒径、薬品条件、工事工程によって変わります。

現場・業種
高速道路の鋼管圧入工事

高濃度泥水が発生する土木現場。

課題
狭い現場で沈殿槽を複数置けない

外部搬出では産廃量と水道費も増える状態。

採用設備
HS-500MW+薬品自動溶解装置

凝集剤を加えた泥水を連続固液分離。

選定理由
沈殿待ち不要・省スペース

高濃度泥水を連続処理できるため。

稼働条件
9㎥/h・1日8時間

現場条件に合わせて連続処理。

処理水
鋼管圧入工事へ再利用

水道使用量の削減にもつながりました。

処理前4,118㎥

泥水量

処理後1,030㎥

約1/4に減容

費用効果約3/10

約1.4億円 → 4,300万円

この記事の監修者

井本 謙一

セイスイ工業株式会社 代表取締役

水処理業界に長年携わり、仮設水処理設備の提案・運用支援・現場対応を統括。浄水場、下水処理場、工場排水処理、汚泥処理など幅広い案件に関わる。本記事では技術内容および業界情報の監修を担当。

1974年
創立
水処理専門企業
2,650件
達成
豊富な現場経験
2009年
代表就任
業績好調

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