【保存版】水処理とは?水質と環境を守る|COD・BOD・SSから技術・装置・コスト削減まで

私たちの生活や産業を支える「水処理」。飲料水の安全確保から工場排水や下水処理、環境保護に至るまで、その役割は計り知れません。しかし「COD・BOD・SSって何?」「水処理技術はどう進化しているの?」といった疑問を抱く方も多いはず。
本記事では、水処理の基礎から最新技術、コスト削減の工夫までを【保存版】としてわかりやすく解説します。
👉 この記事でわかること
- 水処理の基礎知識:定義や目的、水質・健康・環境との関わり、法規制の背景
- 水処理の方法:物理・化学・生物学的処理の違いと特徴
- 重要な水質指標:COD・BOD・SS・DOの意味
- 用途と水処理技術:飲料水、工場排水、下水処理場、災害対応などの処理方法
- 現場の課題と解決策:不純物除去、COD低減、安定稼働、コスト削減、災害対応への技術や装置の導入事例
水処理とは?水質・環境・健康を守る役割
水処理の定義と目的
水処理とは、水に含まれる不純物や有害物質を取り除き、生活用水や産業用水として安全に使える状態に整えることを指します。その目的は、安全な飲料水の確保から、工場や下水処理場での排水処理まで幅広く、私たちの暮らしと社会基盤に欠かせないものです。特に産業分野では、製造工程で必要となる純水や特定の水質を確保するために重要な役割を果たします。
水質と健康・環境の関係
水処理は単にきれいな水をつくるだけではなく、水質を維持・改善することで人の健康を守り、自然環境を保全するための重要な取り組みでもあります。生活排水や工場排水をそのまま流すと、水質悪化や環境負荷の増大につながり、生態系や私たちの生活にも悪影響を及ぼします。そのため、水処理の必要性はますます高まっています。
法規制と社会的意義
日本では「水質汚濁防止法」などの環境関連法規によって排水基準が定められており、企業や自治体はそれを守る責任があります。適切な処理は義務であると同時に、企業の社会的責任や持続可能な社会づくりに直結する取り組みでもあります。
水処理の種類と方法
物理的処理

物理的処理は、水に含まれる浮遊物や沈殿しやすい不純物を物理的な手法で取り除く方法です。代表的なものに「沈殿」「ろ過」があり、大きな粒子や固形物を効率よく除去できます。特に下水処理場や工場排水の初期段階では、まず物理的処理で大きな浮遊物を取り除くことが重要です。
化学的処理
生物学的処理

生物学的処理は、微生物や細菌の働きを利用して水中の有機物を分解する方法です。自然界の浄化作用を応用したもので、下水処理や食品工場の排水処理などで広く使われています。微生物が有機物を分解することで、水のBODやCODといった汚染指標を大幅に低減でき、環境負荷の少ない方法として注目されています。
水処理で重要な水質指標
水処理では、水の状態を数値で把握する「水質指標」が欠かせません。代表的なものにCOD(化学的酸素要求量)、BOD(生物化学的酸素要求量)、SS(懸濁固形物)があり、さらに水中の酸素量を示す溶存酸素(DO)も重要です。これらの指標を適切に管理することが、水質改善や環境負荷の低減につながります。
COD(化学的酸素要求量)とは
CODは、水中の有機物や還元性物質を化学的に分解するのに必要な酸素量を示す指標です。CODが高い水は不純物が多く、水質悪化や環境への影響が懸念されます。特に産業排水や生活排水の処理において、CODの削減は重要な課題です。
BOD(生物化学的酸素要求量)とは
BODは、水中の有機物を微生物が分解する際に消費される酸素量を表す指標です。BODが高いと水中の酸素が不足し、生物の生存環境に悪影響を及ぼします。下水処理場や食品工場の排水処理では、BODの低減が特に重視されます。
SS(懸濁固形物)とは
SSは、水中に浮遊している微細な固形物の濃度を示します。SSが多いと水が濁り、水質の悪化や処理装置の負荷増大につながります。沈殿やろ過、凝集沈殿などの物理的処理によってSSを効率的に除去することができます。
溶存酸素(DO)との関係
溶存酸素(DO)は、水中に溶けている酸素の量を示す指標です。CODやBODが高い水では酸素が消費されやすく、DOが低下して水生生物の生息環境が悪化します。水処理では、COD・BOD・SSの除去とDOの確保がセットで行われることで、水質改善と環境負荷の軽減が実現できます。
水処理の用途と対象水
水処理は「どんな水を使うか」「どんな水を排出するか」によって、必要とされる処理方法が大きく変わります。ここでは代表的な用途と、それぞれに求められる処理について整理します。
飲料水・純水(家庭用・産業用)
飲料水は、濁度や細菌、有害物質を除去し、安全性を確保することが第一の目的です。塩素消毒、ろ過、活性炭処理などが用いられます。一方、半導体や医薬品製造に使う純水・超純水では、わずかなイオンや有機物まで除去する必要があり、逆浸透膜(RO膜)やイオン交換樹脂などの高度処理が欠かせません。
工場・下水処理場・発電所
工場では重金属や有機溶剤などの有害物質を含む排水が発生するため、凝集沈殿や中和処理、活性炭吸着といった工程が必要です。下水処理場ではCODやBODを下げるために生物処理が中心となり、発電所の冷却水ではスケールや腐食防止のための薬品処理が求められます。
災害時・緊急対応
災害で水処理施設が停止した場合、排水や泥水を放置すると環境負荷が急増し、衛生面でも深刻な問題が発生します。そこで活躍するのが仮設水処理プラントです。短期間で設置でき、油分・有害物・濁質を現場でその場で連続処理できるため、復旧活動や工場再稼働を支える即効性があります。
産業用水・地下水・放流水
産業用水では安定した水質が製品品質に直結するため、ろ過や軟化処理が必要です。地下水は鉄やマンガンなどの成分を除去する処理が求められることがあります。さらに、放流水は環境基準を満たすためにCOD・BOD・SS・窒素・リンなどの除去が必要で、河川や海への影響を最小限に抑えることが目的です。
水処理の課題とそれを解決する技術・装置
水処理の現場では、CODやBOD、SSの低減、安定運転、コスト削減など多くの課題が存在します。ここでは代表的な課題と、それに対応する技術や装置をあわせて紹介します。
①微細な不純物・有害物の残留

排水には油分や金属、有機化合物などが含まれる場合があり、通常の沈殿やろ過だけでは除去が不十分です。これが環境負荷や健康リスクにつながります。
解決策:凝集沈殿・膜処理
凝集剤を用いることで微細な粒子をフロック化し、効率的に沈殿・除去できます。さらに膜処理を組み合わせると、微細な不純物までろ過可能で、SSやCODの大幅低減につながります。
②難分解性有機物によるCOD低減の困難さ

食品工場や化学工場では、難分解性有機物の存在によってBODは下がってもCODが残るケースがあります。処理水の数値が基準を満たさず、放流が難しくなる現場も少なくありません。
解決策:活性炭フィルター・高度処理・Habuki
活性炭フィルターで有機物や臭気を吸着し、水質を改善します。さらに高度処理技術を導入することで、難分解性物質にも対応可能です。また、東芝が開発した「Habuki」はBODを最大70%、T-Nを25%削減でき、CODの低減にも効果的です。
③装置の安定稼働とメンテナンス

多くの下水処理場や工場の設備は更新時期を迎えており、曝気不足や滞留時間不足など運転条件の乱れが処理効率を下げています。設備更新の工期中に処理を維持するのも大きな課題です。
解決策:水処理システムの最適設計・制御技術・仮設水処理プラント
現場条件に合わせたシステム設計と、IoTやAIを活用した運転管理により、処理の安定性を維持することが可能です。さらに定期点検や遠隔監視を組み合わせることで、長期にわたり安定した水質を確保できます。
加えて、一時的に処理能力を増強する必要がある場合には、セイスイ工業の仮設水処理プラントが有効な選択肢となります。実際の導入事例でも、仮設プラントを短期間活用することで水質改善と安定稼働を両立し、現場の課題解決に大きく貢献しました。
④コストと効率のバランス

従来のバキューム処理や薬品使用に頼った運転は、運搬費・薬剤費が膨らみやすいのが難点です。特に汚泥処理は量に比例してコストが跳ね上がり、経済性を圧迫します。
解決策:遠心分離機・省エネ型設備・仮設水処理プラント
デカンタ型遠心分離機を活用することで、汚泥の含水率を大幅に低下させ、減容化によって輸送や処分にかかるコストを削減できます。
さらに、省エネ型装置の導入によってランニングコストを抑えられるほか、一時的なニーズに応じて仮設水処理プラントを導入する方法も有効です。実際に仮設水処理を採用した現場では、処理費用を最大90%削減できた事例もあり、コスト面で大きな効果を発揮しています。
⑤設備更新や災害時の処理継続

地震や豪雨災害時、処理施設が停止すると排水処理が滞り、生活や産業に深刻な影響を及ぼします。緊急時でも安定処理を継続できる柔軟な仕組みが求められ、水処理の継続が課題となります。
解決策:仮設水処理プラント・Habuki
セイスイ工業の仮設水処理プラントは、短期間で設置可能で、更新工事中や緊急時でも安定処理を継続できます。柔軟性と機動力を兼ね備えた新しい選択肢です。
水処理とコスト削減
水処理の現場で最も多く寄せられる課題の一つが「コスト」です。特に排水や汚泥の処理は、適切な方法を選ばなければ輸送費や処分費が積み重なり、長期的には大きな負担となります。
従来工法(バキューム処理)の課題
バキューム処理はシンプルで導入しやすい反面、汚泥を減容化できないため処理量がそのままコストに直結します。大規模工事や下水処理場などでは、廃棄物の増加に比例して費用が膨らみやすく、継続的な運用には不利となります。
仮設水処理プラント・土木泥水再利用システムのメリット
一方で、セイスイ工業が提供する仮設水処理プラントや土木泥水再利用システムは、現場で汚泥を減容化できるため、産廃量を大幅に削減可能です。処理費用を抑えるだけでなく、現場条件に合わせて短期・長期どちらにも柔軟に対応できる点も大きな強みです。
節水と資源循環による経済性
さらに、処理後の水を現場で再利用することで水道使用量を削減でき、ランニングコストの抑制にも直結します。単なるコスト削減にとどまらず、資源を循環させる仕組みを構築することで、環境負荷の軽減にも寄与します。
コスト削減の鍵は「仮設水処理」
このように、仮設水処理は従来工法に比べて高い経済性を持つだけでなく、現場ごとの課題解決や持続可能な運用にもつながります。コスト削減と環境対策を同時に実現できる、実効性の高い選択肢です。
セイスイ工業の仮設水処理事例
水処理の課題は現場ごとに異なります。セイスイ工業では、現場条件に合わせて仮設水処理プラントを柔軟に構築し、効率的かつ経済的な処理を実現しています。ここでは代表的な事例を3つご紹介します。
まとめ:水処理の重要性とセイスイ工業の解決力
水処理は、私たちの生活や産業を支えるだけでなく、水質改善・環境保護・健康維持に欠かせない取り組みです。COD・BOD・SSといった水質指標の管理から、物理・化学・生物学的な処理方法の選択、最新の水処理技術や装置の導入まで、現場ごとに適切な解決策が求められます。
特にコスト削減や効率性を両立させるには、従来の方法に代わる柔軟な仕組みが不可欠です。セイスイ工業の仮設水処理プラントは、排水や汚泥を現場で減容化し、コストを大幅に抑えながら安定した処理を実現します。下水処理場・工場・発電所・道路工事など、幅広い現場で成果を上げてきた実績は、その有効性を証明しています。
水処理の課題に直面している方は、ぜひ「従来の延長線ではない、新しい選択肢」として仮設水処理を検討してみてください。環境にもコストにも優しい解決策が、現場に大きな変化をもたらします。
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