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水処理コラム

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水処理に関する用語

BODが下がらない原因と下げる方法|現場でできるチェックポイントと改善策

bod 下げる方法

「BODが下がらない」「原因が特定できない」——

この課題を放置すれば、基準超過や操業停止など重大なトラブルに直結します。しかし実際には、BODが下がらない理由の多くは いくつかの典型的なパターンに分類できます。原因さえ正しく押さえれば、現場で改善できるケースは少なくありません。

この記事では、基礎知識は別記事にゆずり、「どうやってBODを下げるか」に特化して解説。明日からの運転改善にそのまま使えるチェックポイントと、設備強化が必要になる判断基準までまとめて紹介します。


👉 この記事でわかること

  • BODが下がらない主な原因の分類と、現場での切り分け方
  • 今日からできる「運転・管理」の改善ポイント
  • 設備強化や外部支援が必要なケースの見極め方

目次

BODが下がらないときにまず確認すべきこと

BOD高止まりの原因は、分析値そのものではなく、プロセス全体の「条件不一致」にあることが大半です。まずは以下をセットで確認してください。

「分析値」だけでなく、運転条件もセットで見る

BOD値は単体で見ても正しい判断ができません。次の運転条件と合わせてチェックすることで、問題の方向性がわかりやすくなります。

  • 流入負荷(流量×原水BOD):瞬間的な負荷増大が処理能力を超えていないか。
  • 貯留時間・滞留時間(HRT):水量が多すぎて、微生物が分解する時間が不足していないか。
  • MLSS、返送汚泥量:微生物量が不足していないか、逆に過多で酸素不足になっていないか。

ありがちな“見落としポイント”

数値が改善しない場合、以下のような「隠れた原因」を疑います。

  • ピーク負荷の隠れ:1日全体の平均値ではなく、数時間だけ負荷が跳ね上がる「ピーク時」がないか。
  • サンプリングの偏り:沈殿物が多い場所や撹拌不足の箇所で採水すると、実態より高く出ることも。採水場所と時間は適切か。
  • 潜在的な設備トラブル:ブロワの送風不足、撹拌機の不調、配管詰まりなど、機器の不具合が微生物の活性を下げていないか。

原因別:BODが高くなる典型パターン

BODが下がらないとき、原因は大きく 「流入側」「生物処理槽」「設備・運転管理」 の3つに分類できます。

①流入側の問題

処理設備そのものに問題がなくても、入ってくる水が限界を超えているケースです。

  • 流入BODの急増:製造ラインの稼働増、洗浄水の増加などで有機物負荷が一気に増え、処理が追いつかない。
  • 濃度の見かけ上昇:負荷量(kg)は同じでも、希釈水が減って濃度(mg/L)だけ上がっている場合。負荷増か濃度増かの切り分けが必要。
  • 毒性・阻害物質の流入:重金属、洗剤(QACs)、急激な塩分変動などが、微生物活性を停止させるリスクがある。
BOD上昇_流入側の問題

②生物処理(曝気槽)の問題

BOD上昇_生物処理(曝気槽)の問題


微生物が正常に働いていない状態です。

  • 曝気DO不足:溶存酸素(DO)が1mg/L以下では分解が進みません。
  • MLSSの不適正:少なすぎれば処理能力不足、多すぎれば酸素欠乏を招き、どちらもBOD悪化の原因になります。
  • 環境変化(温度・pH:急激な水温低下や、酸・アルカリの流入によるpH変動で、微生物の活性が低下しています。

③設備・運転管理の問題



  • SRT(汚泥滞留時間)のズレ:汚泥を引き抜くペースが悪く、微生物が育っていないか、老化汚泥が溜まりすぎています。
  • 容量不足:設計当時の条件より生産量が増えており、物理的にキャパシティを超えている状態です。
  • メンテ不足:散気管の目詰まりや沈殿槽の堆積物が性能を落としています。
BOD上昇_設備・運転管理の問題

現場で実践できる「BODを下げる方法」チェックリスト

コストの低い順に「運転改善→小規模対策→根本改善」と検討するのが鉄則です。

Step①:すぐに取り組める運転改善

  • 曝気量の調整(DO管理):DO値1.0〜2.0mg/Lを目安に調整。低すぎは論外ですが、3.0mg/Lを超える過剰曝気はフロック解体(ピンフロック)を招き、透視度悪化を招きます。
  • 汚泥引き抜き量の最適化:MLSSとSRTのバランスを整えます。BOD急上昇時は、まず汚泥管理を見直してください。
  • 流入の平準化:調整槽やポンプタイマーを活用し、高負荷排水を時間差で流して「濃度の波」を均します。

Step②:比較的手軽なハード対策

既存設備の能力を底上げする「プチ増強」です。

  • 前処理(スクリーン等)の強化:固形物を前段で取り除くだけで、生物処理の負担は激減します。
  • 撹拌機の増設・配置変更:槽内の「淀み」をなくし、DOや微生物を均一化させます。
  • 小規模ユニットの追加:簡易曝気槽の追加や、接触材(バイオコード等)の投入で生物膜を強化します。

Step③:根本改善(プロセス見直し)

負荷が恒常的に高く、Step1・2で解消しない場合の選択肢です。

  • 生物的処理方式の変更:固定床、回転円板、担体投入など、負荷変動に強い方式へ改造します。
  • 化学的処理凝集沈殿)の併用:生物処理の前段に凝集沈殿を入れ、BOD・SSを物理的に大幅カットします。ただし、溶解性BODには効果が限定的なため、注意が必要です。
  • 膜処理(MBR)の導入:設備の限界を超えている場合、膜ろ過(MBR)などの高度処理導入が最も確実です。ただし、コストが高額になるので、注意が必要です。
BODを下げる方法

排水処理のBOD対策:短期と長期の使い分け

BOD対策は、「今すぐ基準をクリアする(短期)」のか、「将来にわたって安定させる(長期)」のかによって、打つべき手が異なります。現状に合わせて最適な対策を選びましょう。

比較項目

🔴 短期対策
とりあえず基準をクリアしたい

🟢 長期対策
安定した運転・安心を目指したい

目的

「凌ぐ」ための応急処置緊急時の基準超過を回避する

「根本」からの改善毎日同じ水質・処理能力を維持する

こんな時に

  • 繁忙期だけ負荷が跳ね上がる
  • 基準超過が目前に迫っている
  • 恒常的に負荷が高い・設備が老朽化している
  • 担当者の管理負担を減らしたい

設備面でのアクション

【ピーク時だけの仮設投入】
設備を止めずに負荷を逃がす

  • 仮設曝気槽の追加
  • 簡易凝集ユニットの導入

【設備の更新・増設計画】
処理プロセス自体を見直す

  • 曝気槽の増設
  • 前処理(スクリーン等)の強化
  • 生物膜法やMBRへの更新

運用面でのアクション

【濃度の平準化・希釈】
濃度の波を物理的に弱める

  • 希釈水で濃度をならす
  • 調整槽で一時貯留・時間差排水

【維持管理の仕組み化】
現状把握とルール作り

  • 流入負荷(流量・BOD)の可視化
  • 日常点検ルールの整備
  • トラブル対応手順の教育

仮設プラントを活用した「第3の選択肢」

「大規模な増設」か「今の設備で我慢」かの二択ではありません。必要な期間・能力だけ仮設水処理プラント(レンタル)」を利用する方法があります。

👉 こんな場面で活躍します。

  • 本設更新中の「代替処理」:工事期間中も工場を止めずに排水処理が可能。
  • 繁忙期・増産対応:キャンペーン時など、一時的に負荷が跳ね上がる期間だけ能力を補強。
  • 緊急時の応急処理:故障や災害時の「命綱」として、復旧までの処理を担います。

セイスイ工業の活用イメージ

「生物処理」+「凝集沈殿」のハイブリッド

高濃度BOD排水に対し、微生物分解と薬品処理を組み合わせることで、単独方式では対応が難しい高負荷排水も確実に浄化します。

【導入事例】実働現場で高負荷排水を克服

設備故障で処理が停止した現場に、仮設水処理プラントHabukiを導入。貯留タンクで受けつつ、前処理+凝集沈殿を組んだ仮設ラインを構築し、放流基準を満たす水質まで回復。限られた敷地でも安定処理を実現しました。

まとめ:BOD改善は「原因の特定」と「現状に合った対策選び」がカギ

BODトラブルは、闇雲な対策では解決しません。まずは冷静に「なぜ下がらないのか(原因)」と「いつまでに解決したいのか(期間)」を整理しましょう。

  1. 現状分析:分析値だけでなく、流入負荷・DOなどの「運転条件」から原因箇所(流入・生物・設備)を特定する。
  2. 段階的対策:運転調整(コスト小)から始め、小規模補強、プロセス変更へと進める。
  3. 緊急対応:「今すぐ」の課題には、仮設プラントのレンタルが有効。

原因が特定できない、あるいは緊急で対策が必要な場合は、豊富な実績を持つ専門家へご相談ください。現場ごとの条件に合わせた最適なプランをご提案します。

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Habuki™は、東芝が開発した回転繊維体を用いたコンパクトなOD法向けの水処理装置です。低コスト・省スペースで様々なケースに対応いたします。各種工場・製鉄所・発電所向けのご提案書です。

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