し渣(しさ)とは?意味・発生原因・処理方法から汚泥との違いまで、わかりやすく解説
下水処理場やし尿処理施設、設備仕様書の中で「し渣」「スクリーンかす」「汚泥し渣」といった言葉を見かけたものの、そもそもし渣とは何なのか、汚泥や沈砂とどう違うのか、なぜ現場でトラブルやコスト増の原因になるのかが、曖昧なままになっている人は少なくありません。
実は、し渣は水処理工程の中でも最初に発生し、しかも現場トラブルに直結しやすい重要な存在です。
そこで本記事では、し渣の意味・読み方、発生する場所と原因、一般的な処理方法、汚泥・沈砂との明確な違いを、専門知識がなくても理解できるように、わかりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、「し渣とは何か」を自分の言葉で説明できる状態になります。
👉 この記事でわかること
- し渣とは何か、汚泥や沈砂との違い
- し渣が発生する原因と、トラブルやコスト増につながる理由
- し渣の一般的な処理方法と、減らすための考え方
【結論】し渣とは「処理工程で最初に除去される“混入ごみ”」
し渣(しさ)とは、下水やし尿などを処理する際、スクリーン等で最初に除去される固形の混入物(ごみ)のことです。現場では「スクリーンかす」とも呼ばれ、紙類・髪の毛・繊維・ビニール片などが主成分です。
一見地味な存在ですが、し渣の管理が不十分だと設備トラブル・処理コスト増・悪臭問題など、施設全体の安定運転に大きな影響を与えます。
し渣とは何か?
し渣の読み方と意味
- 読み方:しさ
- 意味:水処理工程の初期段階でスクリーンにより除去される固形物
専門用語のため一般には馴染みが薄いですが、水処理・下水道分野では基本用語のひとつです。
し渣に含まれる代表的なもの
し渣には、次のようなものが含まれます。共通点は「水にほぐれにくい」「絡まりやすい」ことです。
- ティッシュ・溶けきらなかったトイレットペーパー
- 髪の毛・布・繊維くず
- 食品残渣(生ごみ)
- ビニール・プラスチック片
- 紙おむつの破片 など

し渣はどこで発生するのか?
し渣は、排水処理のいちばん最初の工程で発生するものです。
下水処理場やし尿処理施設、浄化槽汚泥処理施設などでは、流入してきた原水はまずスクリーン(目の細かい金属柵)を通過します。これは後段の設備を守るための工程で、水だけを通し、紙くずや繊維、ゴミなどの固形物を最初に取り除きます。このとき、スクリーンに引っかかって分離される固形物が「し渣」です。
し渣を放置すると起きる3つのリスク
し渣は「少量でも放置すると、現場を一気に不安定にする存在」です。ここでは、具体的に、3つのリスクを紹介します。
①設備トラブルが頻発する

- ポンプや撹拌機に絡まる
- 配管や脱水機が詰まる
- 結果として設備停止・緊急対応が発生
②処理コストが増大する

- 運搬回数の増加
- 焼却・外部委託費の上昇
- 人件費・保全工数の増加
③臭気・衛生問題につながる

- 高含水のまま放置→腐敗
- 夏場は特に悪臭・害虫の原因に
し渣の一般的な処理方法
し渣は、処理工程で発生したあとそのまま廃棄されるわけではありません。多くの施設では、性状を安定させ、処分コストや衛生リスクを抑えるため、一定の処理フローを経て最終処分されます。
基本フローはこの4ステップ
一般的なし渣処理は、次の流れで行われます。
- 回収(スクリーンで除去):流入水をスクリーンに通し、水に溶けない固形物を物理的に分離。この段階のし渣は、汚水や汚泥が多く付着した不安定な状態。
- 洗浄(汚水・汚泥分を落とす):付着した汚水や汚泥分を洗い落とす。洗浄の有無や程度は、後段の脱水効率や処分費用に大きく影響する。
- 脱水(含水率を下げる):脱水機などを用いて水分を除去し、重量と体積を削減。含水率が高いと、運搬・焼却コストが増加。
- 焼却・処分:脱水後のし渣は、焼却施設へ搬出されるのが一般的。条件によっては、外部委託処分となる場合も。

実務で差が出るポイント
し渣処理は「やっているかどうか」ではなく、「どこまで管理できているか」で差が出ます。設備トラブル防止やコスト管理、衛生管理を支える重要な工程です。
- 含水率管理
し渣は重量課金で処分されることが多く、水分が多いほど運搬費・焼却費が増加。脱水効率を安定させることは、コスト削減に直結。 - 洗浄の有無と程度
汚泥が多く付着した「汚泥し渣」の状態のままでは、産業廃棄物の「汚泥」として扱われ、処分区分や費用が高額になることも。 - 保管期間と管理方法
長期保管は腐敗を招き、悪臭や害虫発生の原因に。特に夏場は、回収頻度や保管環境の管理が重要。
汚泥・沈砂との違い【混同注意】
し渣は、汚泥や沈砂と混同されやすい用語のひとつです。いずれも水処理工程で発生しますが、発生する場所・性質・役割はまったく異なります。ここを正しく理解していないと、説明ミスや処理方針の誤解につながりやすくなります。
し渣・沈砂・汚泥は「発生する工程」が違う
- し渣:スクリーンで除去される固形の混入ごみ
- 沈砂:沈砂池などで沈む、砂や小石などの重い無機物
- 汚泥:処理過程で沈殿・濃縮された微細な有機物
し渣は「引っかかるもの」、沈砂は「沈むもの」、汚泥は「水中に分散していたものが集まったもの」という違いがあります。
性状と処理対象としての違い
- し渣:繊維質やごみが多く、絡まりやすい
- 沈砂:砂・土砂が中心で摩耗や堆積の原因になる
- 汚泥:有機物が主体で、生物的処理や脱水の対象となる
このため、し渣は「ごみ処理」、沈砂は「砂の除去」、汚泥は「処理対象物」として、それぞれ役割が異なります。

し渣が増える主な原因
し渣の量は、自然に一定になるものではありません。流入状況や設備条件、運転管理の違いによって、大きく増減する性質があります。
原因①流入ごみの増加
近年、し渣増加の大きな要因となっているのが、流入ごみの変化です。水に溶けにくく、し渣として回収されるため、量の増加に直結します。
- ウェットティッシュの使用増加
- 紙おむつや衛生用品の誤投入
原因②スクリーン目幅の不適合
し渣量だけでなく、設備トラブルとのバランスを考えた設定が必要です。スクリーンの目幅設定も、し渣量に大きく影響します。
- 細かすぎる場合:本来後段で処理できるものまで回収され、し渣量が増える
- 粗すぎる場合:後段設備で絡まりや詰まりが発生しやすくなる
原因③運転・保全管理の不足
設備そのものに問題がなくても、運転管理が不十分だとし渣は増えやすくなります。
- 洗浄不足による汚泥付着の増加
- 回収頻度不足による滞留・腐敗

し渣を減らすための実践的対策
し渣は、発生源・設備・運用のどこに原因があるかによって有効な対策が異なります。そのため、いずれか一つに偏らず、段階ごとに対策を重ねることが重要です。
対策①発生源対策

・住民向け啓発(流さないでください表示) ・受入基準の明確化
対策②設備対策

・スクリーン更新・目幅見直し ・自動洗浄機能の導入
対策③運用対策

・回収頻度の最適化 ・含水率・臭気の定期チェック
し渣除去・処理の事例【セイスイ工業の取り組み】
し渣は「発生してから処理するもの」と考えられがちですが、設備選定や運用設計によって、量や処理負荷を改善できる領域でもあります。
例えば、セイスイ工業では、下水処理場やし尿処理施設において、現場条件に合わせた仮設水処理プラントの構成・運用を最適化することで、し渣に関するさまざまな課題解決に取り組んできました。
し渣は、流入条件や設置スペース、求められる管理レベルが施設ごとに異なるため、画一的な方法ではなく、現場に即した設計・運用が重要になります。
具体的な設備構成や導入効果については事例として紹介されていますので、自施設での改善を検討する際の参考として確認してみてください。
まとめ:し渣を正しく理解すると、現場が安定する
し渣は、下水やし尿などの水処理工程で最初に発生する固形の混入ごみです。スクリーンで除去されますが、管理が不十分だと設備トラブルや処理コスト増、臭気問題の原因になりやすいという特徴があります。
本記事の要点は、次の4点に集約されます。
- し渣とは:スクリーンで除去される水に溶けない固形物
- 注意点:放置すると詰まりや設備停止、運搬・焼却コスト増につながる
- 処理と違い:回収・洗浄・脱水・焼却が基本で、汚泥や沈砂とは性質が異なる
- 改善の考え方:発生源・設備・運用を切り分けて総合的に管理することが重要
し渣は目立たない存在ですが、向き合い方次第で施設全体の安定性や維持管理コストを大きく左右します。し渣の除去や処理方法について検討を進めたい場合は、セイスイ工業にお気軽にお問い合わせください。
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