水処理に関する用語
pH(Potential Hydrogen:水素イオン指数) ぴーえいち、ぺーはー
pH(ピーエイチ)とは、「水素イオン濃度指数(potential of Hydrogen)」の略で、水溶液が酸性かアルカリ性かを示す代表的な水質指標です。
水溶液中に存在する水素イオン(H⁺)の濃度のマイナス対数(-log[H⁺])で定義され、一般的に0〜14の数値で表されます。
pHの数値と意味(酸性・中性・アルカリ性の目安)
- 0~6.9:酸性:レモン果汁(pH2〜3)、胃液(pH1〜2)
- 7.0:中性:蒸留水(純水)
- 7.1~14:アルカリ性:石けん水(pH9〜10)、漂白剤(pH11〜13)
なぜpHは重要か?
pHは水質管理や環境保全、工業プロセスにおける基本指標です。適切なpH管理は以下のような分野で不可欠です。
- 工場排水や用水処理:法令で業種ごとのpH排水基準(例:pH5.8〜8.6)が定められており、遵守が義務化
- 農業・養殖業:植物の栄養吸収効率や魚類の生育に影響
- 化学・製薬分野:反応条件としてのpH制御が重要
- 半導体・電子産業:超純水のpH調整は品質管理に直結
自然環境におけるpHの役割
河川や湖沼などの自然水域では、pHは水生生物の生存環境を左右する重要因子です。
一般に、魚類や水生昆虫が生育できるpHは6.5〜8.5の範囲とされています。これを逸脱すると、酸欠や重金属溶出のリスクが高まります。
pHの測定方法
pHの測定には以下のような手法があります。
ガラス電極式(水素イオン濃度計)
- 最も一般的な方法で、ガラス電極と参照電極の電位差を計測してpHを求める
- 校正には標準液(pH4.01、7.00、10.01など)を使用
試験紙・比色法
- 簡易測定に適しており、色の変化でpHを判定
- 精度は劣るが、現場での確認に有効
pH管理における注意点
- 温度補正:pHは水温に影響されるため、自動温度補正機能付きのpHメーターが推奨
- 定期校正:標準液による日常的な校正を行わないと、測定値に誤差が生じる可能性あり
- 電極の保守:乾燥や汚れが原因で正確な測定ができなくなることがあります。保管液の使用と定期メンテナンスが必須
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