鉱さいとは?発生原因・環境影響とリサイクル方法を解説!仮設水処理の事例も紹介

現場で突然「鉱さいの処理をお願いしたい」と言われ、どう対応すべきか迷っていませんか?
鉱さいは法律で「産業廃棄物」として厳しく定められており、適切な処理には専門的な知識と正しい判断が欠かせません。誤った対応は、余計なコストの発生や法令違反といったリスクにつながります。
本記事では、産廃コンサルタントである私が 鉱さいの基礎知識から安全な処理方法、コスト削減につながるリサイクルの実践法 までを体系的に解説します。「現場で即役立つ知識」をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
「鉱さい」とは?定義と種類を3分で理解する
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鉱さいとは、鉱石から金属を精錬する際に出る副産物で、法律上は「産業廃棄物」の一つに位置づけられています。高炉スラグや製鋼スラグなど種類ごとに性質が異なり、活用方法も変わります。

鉱さいの正体:法律(廃棄物処理法)上の定義
結論から言うと、「鉱さい」は法律で定められた産業廃棄物の一種です。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」の施行令では、産業廃棄物を分類しており、その中の第八号が「鉱さい」とされています。
このように、法律で明確に定義されているため、処理の際には決められたルールに従うことが必須です。
よくある混同:「スラグ」「がれき類」との違い
現場では、「鉱さい」と似た言葉に混乱するケースが少なくありません。特によく聞くのが「スラグ」と「がれき類」です。
- スラグ
鉱さいとほぼ同じものを指します。
違いは、鉱さいが法律上の正式な用語であるのに対し、スラグは製造工程で使われる技術的な呼び方だという点です。 - がれき類
鉱さいとは全く別物です。建物の新築や解体で発生するコンクリート片などの廃材を指します。
つまり、「鉱さい」と「がれき類」では、発生する工程そのものが根本的に違います。

主な鉱さいの種類:高炉スラグと製鋼スラグ
鉱さいの中でも特に多く発生するのが「鉄鋼スラグ」です。鉄をつくる過程で生じるもので、大きく次の2種類があります。

【高炉スラグ】 鉄鉱石から鉄を取り出す高炉で発生。冷まし方によって分かれます。用途はセメント原料(水砕スラグ)や道路の路盤材(徐冷スラグ)として幅広く使われます。

【製鋼スラグ】 鉄の純度を高める「製鋼」の過程で発生。転炉系や電気炉系などがあり、道路や土木資材として再利用されています。
【コンプライアンス】産業廃棄物としての鉱さい|法律と安全性
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鉱さいは産業廃棄物として廃棄物処理法に基づく適正処理が必須です。排出事業者にはマニフェスト管理などの義務があり、安全性は土壌環境基準やJIS規格で担保されています。
排出事業者責任:知らなかったでは済まされない3つの義務
産業廃棄物は「排出した事業者」が最後まで責任を負います。委託しても免責にはなりません。違反すれば罰則の可能性もあるため、確実な対応が求められます。主な義務は次の3つです。
- 委託基準の遵守:許可を持つ処理業者へ委託すること
- マニフェスト管理:廃棄物の流れを記録・保管すること
- 最終処分の確認:適正に処理されたかを確認すること
有害性はないの?土壌環境基準とJIS規格による安全性の担保
鉱さいには重金属が含まれる場合もありますが、リサイクル製品として流通する鉄鋼スラグは環境基準をクリアしています。
さらに、JIS(例:JIS A 5015「道路用鉄鋼スラグ」)で化学成分や溶出量の基準が定められており、基準を満たした製品なら公的に安全性が保証されています。
【コスト削減】鉱さいのリサイクル用途とメリット
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鉱さいは廃棄物ではなく価値ある資源です。路盤材やセメント原料などにリサイクルすることで、処分コスト削減と環境貢献を両立できます。
鉱さいは「宝の山」?主要なリサイクル製品トップ3
鉱さいは適切に処理されれば、社会を支える資材に生まれ変わります。代表例は以下の3つです。
- 道路の路盤材:強度が高く、高速道路や空港滑走路などで活躍
- セメント原料:水砕スラグを粉砕し、CO₂削減にも寄与
- コンクリート骨材:砂や砂利の代替資材として利用

なぜリサイクルがお得?処分費用との比較
処分すれば運搬費や処分費がかかりますが、リサイクルすればコスト削減につながり、場合によっては有価物として売却できる可能性もあります。
企業にとってのコストメリットだけでなく、最終処分場の延命や天然資源の保護にもつながる、社会的に有意義な取り組みです。
【実践編】鉱さいの適正な処分方法と費用相場
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鉱さいの処分は許可業者への委託が必須。費用は1トンあたり3,000~10,000円が目安ですが、種類や地域で大きく変動します。コストを抑えるには複数社からの見積もりが鉄則です。
処分の流れ|4つのステップ
鉱さい処分は、以下の流れで進めるのが基本です。この流れを守ることが、コンプライアンス対応の第一歩です。
- 業者選定:鉱さいを扱える許可業者を探す
- 委託契約:必ず書面で契約締結
- マニフェスト交付:引渡し時に管理票を発行
- 最終処分確認:返送された管理票で処理完了を確認

気になる処分費用の料金相場
費用は「運搬費+処分費」で構成され、一般的には 1トンあたり3,000~10,000円。
リサイクルできるかどうかで費用は大きく変わるため、必ず複数業者で見積もり比較しましょう。
業者選びで失敗しない3つのポイント
どの業者に委託するかは、適正処理の成否を分ける最も重要な決定です。業者選定の際は、最低でも以下の3点を必ず確認してください。
- 許可証の確認: 自治体が発行した産業廃棄物処理業の許可証を確認します。その際、取り扱い品目に「鉱さい」が含まれているかを必ず自分の目でチェックしてください。
- 処理フローの明確さ: あなたが排出した鉱さいが、どのような施設で、どのように処理・リサイクルされるのか、その流れを明確に説明できる業者を選びましょう。
- 過去の実績と評判: 同様の鉱さいの取り扱い実績が豊富か、業界での評判はどうか、といった点も重要な判断材料になります。
✍️ 筆者からの一言アドバイス
コストだけで業者を選び、鉱さいの「出自情報」を伝えないのは大きな失敗です。実際、情報不足で処理施設に受け入れを拒否され、工期が大幅に遅れた事例もあります。わずかな手間を惜しむと、結果的に大きな損失につながりかねません。
セイスイ工業の取り組み事例
実際にセイスイ工業では、金属製錬工場や製鉄所、鋳物工場などで排水処理の実績があります。
たとえば、鉱さい(スラグ)を含む排水の緊急対応では、仮設水処理プラントを導入し、作業を止めることなく安全かつ迅速に処理を完了しました。
このように 「鉱さい処理 × 仮設水処理」 をワンストップで提供できることが、結果としてコスト削減と工期順守を同時に実現する強みとなっています。
まとめ:鉱さい処理で明日からあなたがすべきこと
鉱さいは産業廃棄物として厳格なルールのもとで取り扱う必要がありますが、適切に処理・リサイクルすればコスト削減と環境貢献を両立できる価値ある資源です。
一方で、実務では「どこに頼めばいいのか分からない」「処分費が高すぎる」「急な対応に追われている」といった悩みを抱える担当者の方が少なくありません。
セイスイ工業では、金属製錬工場や製鉄所などでの実績を活かし、鉱さい処理と仮設水処理をワンストップで提供しています。これにより、緊急時でも現場を止めることなく、安全かつ効率的に対応することが可能です。
鉱さいを「ただの廃棄物」として扱うのではなく、適正処理とリサイクルを通じて価値ある資源に変える。排水処理・対策でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください!