フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機の違いを比較|処理能力・コスト・設置性から選び方を解説

前回の記事では、フィルタープレスの基本的な特徴とデカンタ型遠心分離機の基本的な特徴について解説しました。どちらも汚泥処理や水処理で使われる代表的な脱水機ですが、得意な処理条件や適した現場は同じではありません。
実際には、処理量、汚泥の性状、設置スペース、運転管理のしやすさ、コストなどによって、選ぶべき機器は変わります。機器の特徴だけを見て判断すると、処理効率が上がらない、運用負担が大きい、想定以上にコストがかかるといった問題につながることもあります。
そこで今回は、フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機を比較し、それぞれの長所・短所、処理能力、水質改善効果、運転管理、コストの違いをわかりやすく整理します。どのような現場にどちらが向いているのか、選定時に押さえたいポイントとあわせて解説します。
目次
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機の違い
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機は、どちらも汚泥処理や水処理で使われる代表的な脱水機ですが、得意な条件は異なります。大切なのは、どちらが優れているかではなく、処理する汚泥の性状、必要な処理量、設置条件、運用期間に合っているかです。
フィルタープレスは、固形分をしっかり分離し、含水率を低く抑えたい場面で力を発揮します。一方、デカンタ型遠心分離機は、連続処理のしやすさや設置・移動のしやすさに強みがあり、短期対応や現場対応力が求められる場面に向いています。選定を誤ると、処理が進まない、運用負担が大きい、コストが想定以上にかかるといった課題につながるため、現場条件に合った見極めが重要です。
フィルタープレスが向いているケース
フィルタープレスは、固液分離性能の高さが大きな特長です。汚泥から水分をしっかり分離し、脱水ケーキとして回収しやすいため、汚泥を減容化したい場合に向いています。特に、工場の産業排水処理や無機汚泥の処理では、有力な選択肢になることがあります。
向いているのは、たとえば次のようなケースです。
- 脱水後の含水率をできるだけ下げたい
- 固形分をしっかり回収したい
- 長期的に安定した脱水処理を行いたい

その分、ろ布の管理や洗浄、脱水ケーキの剥離工程が必要になるため、処理スピードよりも脱水性能を重視する現場に適した装置といえます。
デカンタ型遠心分離機が向いているケース

デカンタ型遠心分離機は、連続処理しやすく、現場対応力が高いことが特長です。ろ布を使わず、遠心力で固体と液体を分離するため、処理を止めずに進めやすく、短期間で処理を立ち上げたい場合にも使いやすい装置です。
また、コンパクトな機種もあり、設置スペースが限られる現場にも対応しやすい点が強みです。工事現場や災害時など、機動力が求められる場面でも使いやすく、汚泥の種類や発生量に応じて柔軟に対応しやすい方式です。仮設水処理との相性も良いため、応急対応や一時的な処理が必要な現場では特に選ばれやすくなります。
選定前に確認したいポイント
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機のどちらを選ぶかを判断するには、まず現場条件を整理することが大切です。機器の性能だけで決めるのではなく、処理対象や運用方法まで含めて考える必要があります。
特に確認したいのは、次のポイントです。
- 処理する汚泥は無機汚泥か、有機汚泥か
- どれくらいの量を、どのくらいの期間処理するのか
- どの程度まで含水率を下げたいか
- 設置スペースや搬入条件に問題がないか
- 現場でどこまで運転・管理できるか
長期的にしっかり脱水したいのか、短期間で素早く対応したいのかによって、適した装置は変わります。機器の特徴だけで判断せず、自社の現場に合うのはどちらかという視点で選ぶことが、失敗しない機器選定につながります。
処理能力・水質改善効果の違い
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機は、処理の進め方や得意な役割が異なります。ここでは、処理速度、対応できる汚泥の種類、水質改善への考え方、現場での使いやすさの違いを見ていきます。

処理能力と処理速度の違い
フィルタープレスは、固形物の除去に優れ、大量の汚泥をしっかり脱水したい場合に向いています。脱水後の含水率を低く抑えやすく、長期的に安定した処理を行いたい現場で使われやすい方式です。
一方で、ろ布の管理や洗浄、脱水ケーキの剥離工程が必要になるため、処理には時間がかかります。処理量が多くても、速さより脱水性能を重視する現場向きです。
これに対してデカンタ型遠心分離機は、遠心力で固体と液体を連続的に分離するため、処理速度に強みがあります。設置から稼働までが比較的早く、短期間で処理を始めたい場合にも適しています。汚泥量や性状に応じて複数台で運用できるため、短時間で多くの汚泥を処理しやすい点も特長です。

対応できる汚泥の種類と水質改善効果
固形分の分離を重視するならフィルタープレス、複数工程と組み合わせて柔軟に水質改善したいならデカンタ型遠心分離機が向いています。水質改善効果を高めるには、汚染物質の特性と目標水質に合った機器選定が重要です。
連続処理のしやすさと現場対応力
連続処理のしやすさという点では、デカンタ型遠心分離機に強みがあります。フィルタープレスは高い脱水性能を持つ一方で、ろ布管理や洗浄、ケーキ剥離といった工程が必要になるため、連続的に処理を流し続ける運用には向きにくい面があります。また、同じ処理量で比べると、設置面積が大きくなる傾向もあります。
その点、デカンタ型遠心分離機はコンパクトな機種もあり、狭い場所や仮設現場にも設置しやすいのが特長です。移動や立ち上げがしやすいため、工事現場や災害時、短期間の施工現場など、現場対応力が求められる場面でも活躍します。
特に違いが出やすいのは、次のような場面です。
- 長期運用でしっかり脱水したい → フィルタープレス
- 短期対応や応急対応で素早く動かしたい → デカンタ型遠心分離機
このように、両者の違いは性能の優劣というより、どの現場条件に合っているかにあります。処理能力だけでなく、連続運転のしやすさや設置条件まで含めて考えることが、適切な機器選定につながります。

運転管理・設置性・コストの違い
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機は、運転のしやすさ、設置のしやすさ、コストの考え方に違いがあります。ここでは、現場で使うときに気になりやすいポイントを比較します。
運転管理の難易度とメンテナンス性
フィルタープレスは、構造が比較的シンプルで、操作そのものはわかりやすい装置です。日常的な扱いやすさがあり、専門的な知識がなくても対応しやすい点はメリットです。ただし、安定して使い続けるには、フィルターの清掃や交換を定期的に行う必要があります。長く運用する場合は、部品交換や保守対応も前提になります。
一方、セイスイ工業が提供する仮設水処理プラントのデカンタ型遠心分離機は、セイスイ工業が機械整備、プラント設置、利用方法のレクチャーまで行ったうえで貸し出すため、現場では比較的スムーズに使い始めやすいのが特長です。実際の操作は現場で行いますが、緊急時にはセイスイ工業の担当が対応するため、安心して利用しやすい体制があります。メンテナンス負担も比較的軽く、短期利用や応急対応との相性が良い方式です。

設置面積と現場への導入しやすさ
設置性にも違いがあります。フィルタープレスは一般的に大型で、ある程度の設置スペースと固定場所が必要です。そのため、長期運用を前提とした現場には向いていますが、狭い場所や仮設対応では制約が出やすくなります。
これに対して、デカンタ型遠心分離機は運搬しやすい設計のものが多く、狭小スペースにも設置しやすいのが強みです。小規模な工事現場や、すぐに処理を始めたい応急対応の場面でも導入しやすく、設置や移動も比較的スピーディーに行えます。
初期費用と維持管理コストの比較
コスト面では、フィルタープレスは初期費用が高くなりやすい傾向があります。高圧に耐える構造や精密な部品が必要なため、装置価格が上がりやすく、レンタルであっても長期利用を前提とした設定で比較的高額になることがあります。また、長期運用では部品交換や専門技術者の手配が必要になる場合があり、維持管理コストも高くなりやすい点に注意が必要です。

一方、セイスイ工業が提供する仮設水処理プラントのデカンタ型遠心分離機は、短期間からのレンタル利用が可能です。セイスイ工業がメンテナンスした機器を貸し出すため、故障時の対応も含めて現場側の負担を抑えやすく、特別な技術者を常駐させなくても運用しやすいメリットがあります。
コストの考え方は、利用目的によって変わります。
- 長期・固定運用を前提にする → フィルタープレスが候補
- 短期・仮設・初期費用を抑えたい → デカンタ型遠心分離機が候補
まとめ:フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機は現場条件で選ぶことが重要
フィルタープレスとデカンタ型遠心分離機は、どちらも汚泥処理や水処理に使われる代表的な脱水機ですが、得意な条件は異なります。フィルタープレスは、固液分離性能が高く、しっかり脱水して汚泥を減容化したい場合に向いています。一方、デカンタ型遠心分離機は、連続処理のしやすさや設置・移動のしやすさに優れており、短期利用や緊急対応、仮設現場で使いやすい方式です。
そのため、どちらが優れているかで判断するのではなく、処理する汚泥の性状、必要な処理量、設置条件、運用期間、コストの考え方に合っているかを見極めることが重要です。自社の現場に合った機器を選ぶことで、処理効率の向上だけでなく、運用負担やコストの最適化にもつながります。機器選定に迷ったら、セイスイ工業にお問い合わせください。
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