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水処理コラム

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水処理に関する用語

活性汚泥の微生物とは?種類・役割・顕微鏡でわかる状態診断とトラブル対策まで徹底解説

活性汚泥 微生物

「沈殿が悪い」「泡が消えない」「硝化が急に止まった」——

活性汚泥法の現場でこうしたトラブルが起きたとき、多くの担当者が一度は「微生物はどうなっているのかと考えるのではないでしょうか。

しかし実際には、微生物の種類だけを知っても、問題は解決しません。

活性汚泥中の微生物は、ばっ気槽の状態を映す結果であり、DO・MLSS・SVI・F/M・SRTといった運転条件とセットで見て初めて、原因と対策が見えてきます。

この記事では、「活性汚泥の微生物とは何か」から「顕微鏡観察で何が分かるのか」、さらに「トラブル別の原因の考え方と運転での改善ポイント」までを、現場でそのまま使える形で整理しました。

読み終えた頃には、「なぜ今この微生物相なのか」「次にどこを触るべきか」を自分の言葉で説明できる状態になるはずです。


👉この記事でわかること

  • 活性汚泥中の微生物の役割と、状態診断の考え方
  • 顕微鏡観察からトラブル原因を読み取るポイント
  • 沈殿不良・泡・硝化不良を改善する運転調整のヒント

目次

活性汚泥にいる微生物の全体像:まずは“地図”を持つ

活性汚泥中の微生物は、細菌・原生動物・後生動物の3グループで捉えると理解しやすくなります。細かい種類を覚える必要はなく、それぞれが何を示しているかを知ることが重要です。

主役は細菌:有機物分解とフロック形成の担い手

    細菌

    活性汚泥の中心は細菌です。排水中の有機物を分解し、粘着物質(EPS)によって集まりフロックを形成します。このフロックの締まり具合が、沈殿性や処理水SSの良否を左右します。

原生動物:処理の「安定度」を教えてくれる存在

    原生動物

    繊毛虫・べん毛虫・アメーバなどの原生動物は細菌を捕食し、ばっ気槽内の生態系バランスを反映します。繊毛虫が多い状態は比較的安定、べん毛虫やアメーバが目立つ場合は負荷変動や立ち上げ期と読むのが基本です。

後生動物:汚泥が“成熟しすぎていないか”のサイン

    後生動物

    ワムシなどの後生動物が多い場合、SRTが長く汚泥がやや過熟している可能性があります。硝化は安定しやすい一方、沈殿性悪化やSS流出のリスクもあるため注意が必要です。

微生物が働く仕組み:フロックと処理性能の関係

フロックが崩れると、処理は一気に不安定に

良好な活性汚泥では、細菌が集まってできるフロックが安定した構造を保っています。このフロックの状態が、沈殿性や処理水質を大きく左右します。良好なフロックには、次のような特徴があります。このバランスが保たれていれば、沈殿槽での汚泥分離は安定します。

  • 適度な大きさで、ばらけにくい
  • 表面が締まっており、沈みやすい
  • 糸状性細菌が補強材として内部に適量存在している
フロック

一方で、運転条件が崩れるとフロック構造は一気に弱くなります。特に影響が大きいのは、次のようなケースです。

  • DO不足が続いている
  • 有機物負荷が急激に変動した
  • 栄養バランスが崩れている

このような状態では糸状性細菌が優勢になりやすく、フロックが広がってバルキングや沈殿不良につながります。

糸状性細菌=悪、ではない

糸状細菌

ここで誤解されやすいのが、「糸状性細菌は悪者」という考え方です。

実際には、糸状性細菌は少量であればフロックの骨組みとして機能し、活性汚泥にとって必要な存在でもあります。重要なのは、以下の点です。

  • 量が多すぎないか
  • フロックの外に突出していないか
  • 他の微生物とのバランスが崩れていないか

顕微鏡で糸状性細菌が目立った場合でも、「多い=即対策」ではなく、なぜ増えたのかを運転条件から考えることが、遠回りに見えて最も確実な改善方法になります。

顕微鏡観察で何が分かる?現場診断の基本ステップ

顕微鏡観察は、活性汚泥の状態を感覚ではなく根拠を持って判断するためのツールです。ただし、やみくもにのぞいても意味はなく、見る順番を決めて観察することが重要です。

観察はこの順番で見る

まず最初に確認すべきなのは、微生物の種類ではなくフロックの状態です。そのうえで、次の順番で全体をチェックしていきます。

  1. フロックの形状(締まり具合、大きさ、ばらけやすさ)
  2. 糸状性細菌の量と位置(内部か、外に突出しているか)
  3. 原生動物の種類と動き(繊毛虫、べん毛虫、アメーバなど)
  4. 後生動物の有無(ワムシなどが目立たないか)
観察順序

この順番を守ることで、部分的な印象に引きずられず、ばっ気槽全体の状態を把握しやすくなります。

良好な活性汚泥の典型サイン

良好な活性汚泥の典型サイン

処理が安定しているときの活性汚泥には、共通した見え方があります。

  • フロックが丸く、適度に締まっている
  • 繊毛虫が適度に見られ、活発に動いている
  • 糸状性細菌はフロック内部に少量存在している

このような状態では、沈殿槽での上澄みがクリアになりやすく、顕微鏡観察の結果と実際の処理状況が一致するケースが多くなります。

観察のコツ(実務向け)

顕微鏡観察は、方法を少し工夫するだけで情報の質が大きく変わります。

  • 倍率:まず100倍で全体を見てから、400倍で詳細を確認
  • 採取位置:ばっ気槽の流出端(出口付近)から採取する
  • 記録:DO・MLSS・SVI・水温などの運転データと必ずセットで残す

顕微鏡で見えた内容を数値データと結びつけて記録することで、「なぜこの状態になったのか」「次に何を調整すべきか」が判断しやすくなります。

観察のコツ

トラブル別:微生物相・原因・対策の考え方(一覧表)

トラブル内容

顕微鏡での主な観察ポイント

主な原因候補

対策の方向性(考え方)

沈殿不良・バルキング

  • 糸状性細菌がフロック外に突出
  • フロックが軽く、広がりやすい
  • DO不足・F/Mの急激な変化
  • SRTが低すぎる、または高すぎる
  • DOを段階的に引き上げる
  • 原水負荷の急変を抑える
  • 引抜量を見直す(急に触りすぎない)

泡・スカムの発生

  • 油膜状の泡が持続
  • 白泡/褐色泡の発生状況
  • 油脂分の流入
  • 界面活性剤の影響
  • 過曝気や特定微生物の優勢
  • 原水水質の変化を確認・曝気条件の調整
  • 表面回収
  • SRTの調整(白泡=長くする、褐色泡=短くする

硝化不良(アンモニア残り)

  • 微生物量は多いが反応が弱い
  • 後生動物が少ない
  • SRT不足
  • DO不足
  • 水温低下、毒性物質の流入
  • 引抜量を減らしSRTを確保
  • DOの底上げ・流入変動や薬品使用の確認

表の使い方

  • 左から順に見ることで、「症状→観察→原因仮説→打ち手」を短時間で整理できます。
  • 対策は一度に全部やらないのが原則です。まずは最も影響が大きそうな要因を1つ選び、様子を見ながら調整します。

微生物相を改善につなげる「運転レバー」

顕微鏡で微生物相の変化が見えても、実際に動かせる運転条件は限られています。活性汚泥の状態を改善するために意識すべきレバーは、DO・SRT・F/M・返送/沈殿槽の4つです。

DO(溶存酸素):“上げ下げ”より安定を意識する

DOは微生物に最も直接影響しますが、高ければ良いというものではありません。重要なのは、必要なレベルを安定して保つことです。低すぎると糸状性細菌が優勢になりやすく、高すぎるとフロックが壊れやすくなります。

  • 低DO:バルキング・沈殿不良のリスク
  • 高DO:フロック破壊・過曝気

SRT(汚泥滞留時間):硝化と過熟の分かれ目

SRTは、どの微生物が生き残れるかを決める指標です。引抜量の調整は、「今より少し」変えるのが基本です。短すぎると硝化菌が定着できず、長すぎると汚泥が過熟します。

  • 短すぎる:硝化不良、アンモニア残り
  • 長すぎる:沈殿性悪化、SS流出

F/M(Food/Microorganisms:有機物負荷):数値より「変化の速さ」に注意

F/Mで問題になるのは、数値そのものより急激な変化です。負荷が急に変わると、微生物が対応できず処理が不安定になります。

  • 急な負荷増減は微生物バランスを崩しやすい
  • 原水変動は曝気や引抜で緩和する意識が重要

返送汚泥・沈殿槽:ばっ気槽が良くても確認する

微生物相が良好でも、沈殿槽や返送条件が合っていないとSS流出は起こります。「ばっ気槽は問題ないのに処理水が濁る」場合は、沈殿側の条件も必ず確認します。

  • 返送率が適切か
  • 沈殿槽負荷が高すぎないか

運転調整の基本ルール

微生物にとって最も大きなストレスは急な変化です。調整は「少しずつ」「1つずつ」行い、変化を記録しながら確認する。この基本を守るだけで、トラブルの再発リスクは大きく下がります。

バチルス菌を活用したHabukiの導入事例

セイスイ工業の仮設水処理では、汚泥性状や排水負荷に応じて最適な処理方式を選定します。その中でも、バチルス菌を活用した「Habukiは、省スペースかつ立ち上がりが早い処理方式として、迅速な対応が求められる現場で採用されています。

Habukiは、微生物(バチルス菌)を担体に保持する方式のため、従来の活性汚泥法と比べて微生物の定着が早く、短期間で処理を開始できる点が特長です。仮設設備でも安定した処理が可能で、BOD全窒素(T-N)の削減にも対応できます。

仮設水処理プラントでの活用ポイント

  • 省スペース設置:限られた敷地でも対応可能
  • 立ち上がりが早い:短期間の仮設処理に適する
  • 高い処理性能:BOD・T-Nの同時削減が可能
  • 柔軟な運用:改修工事中や緊急対応にも有効

このようにHabukiは、「短期間・限られたスペース・確実な処理性能」が求められる仮設水処理において、有効な選択肢の一つとなっています。

まとめ:微生物を「読める」と、活性汚泥の判断は楽になる

活性汚泥の微生物は、トラブルの原因そのものではなく、ばっ気槽の運転状態や負荷条件が反映された「結果」です。微生物相を、フロックの状態、顕微鏡観察、DO・SRT・F/Mなどの運転条件と結びつけて見ることで、「なぜ今この状態なのか」「次にどこを調整すべきか」が整理しやすくなります。

一方で、短期間での立ち上げ省スペース対応が求められる現場では、従来の活性汚泥法だけでの対応が難しいケースもあります。

そうした場面では、バチルス菌を活用した Habuki のような処理方式を含め、現場条件に合わせて処理方法そのものを選ぶ視点が重要になります。

セイスイ工業では、汚泥性状や排水条件に応じた仮設水処理・処理方式の提案を行っています。

運転判断に迷ったとき、仮設水処理が必要になったときは、まずは状況整理の相談からでも問題ありません。お気軽にお問い合わせください。

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