セイスイ工業株式会社

水処理コラム

COLUMN

レポート

【自治体職員108名に聞いた「災害時の下水処理」実態調査】 「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を45.4%が重視 一方、仮設水処理まで相談できる事業者を「確保できていない」自治体も38.9%

〜災害時の備えを分けるのは「平時からの事業者確保」と「切り替えの判断基準」〜

2024年1月の能登半島地震では、基幹施設の耐震化未実施等により広範囲で断水や下水道管内の滞水が生じ(※1)、台風や集中豪雨による下水処理場の浸水・設備故障も各地で相次いでいます。国土交通省は「下水道BCP策定マニュアル2025年度版」(2026年3月)で、水道の使用制限、バキューム車による汚水の代替輸送、緊急放流の取り決めを、平時から整理すべき事項として示しています(※2)。

一方、移送や一時貯留で持ちこたえられる範囲の見極めや、次の対応へ切り替える時期、依頼先の判断は、各自治体が定める必要があります。災害時に下水処理を止めずに継続できるかは、この「切り替えの判断基準」と、仮設水処理まで相談できる「事業者の平時からの確保」に左右されると考えられます。

こうした背景から、仮設水処理プラントのレンタルを手がけるセイスイ工業株式会社(本社:千葉市若葉区、代表取締役:井本 謙一、以下 セイスイ工業、https://seisui-kk.com)は、全国の自治体で下水道業務に携わる職員108名を対象に「災害時の下水処理継続と事業者の選び方に関する実態調査」を実施しました。

【自治体職員108名に聞いた「災害時の下水処理」実態調査】 「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を45.4%が重視 一方、仮設水処理まで相談できる事業者を「確保できていない」自治体も38.9%

  • 01|自治体職員の約半数が、災害時の事業者選定で「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を重視
  • 02|50.0%が、バキューム車や一時貯留による対応で持ちこたえられる水量・期間を「把握できていない」実態
  • 03|災害時の下水処理を担う事業者の確保・選定に76.0%が課題を実感、上位は「緊急時の連絡体制や協定の整備」47.6%

目次

調査概要

  • 調査名称:災害時の下水処理継続と事業者の選び方に関する実態調査
  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間:2026年8月28日〜2026年8月31日
  • 有効回答:全国の自治体で、下水道に関する業務(下水処理場の運営・維持管理、災害対応・危機管理を含む)に携わる職員108名

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

利用条件

1 情報の出典元として「セイスイ工業株式会社」の名前を明記してください。 2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。 URL:https://seisui-kk.com/

災害時の下水処理施設への対応手段、約4割が「住民への使用制限・流入抑制の呼びかけ」を想定

「Q1. あなたの自治体では、災害や事故で下水処理施設の機能が低下・停止した場合の対応として、現在どのような手段を想定していますか。(複数回答)」(n=108)と質問したところ、「住民への下水道の使用制限・流入抑制の呼びかけ」が39.8%、「バキューム車による汚水・汚泥の搬出」が38.9%、「貯留槽や槽内での一時貯留で持ちこたえる」が36.1%という回答となりました。

災害時の下水処理施設への対応手段、約4割が「住民への使用制限・流入抑制の呼びかけ」を想定

  • 住民への下水道の使用制限・流入抑制の呼びかけ:39.8%
  • バキューム車による汚水・汚泥の搬出:38.9%
  • 貯留槽や槽内での一時貯留で持ちこたえる:36.1%
  • 仮設ポンプ・仮設配管による排水:33.3%
  • 簡易沈殿・消毒を行ったうえでの緊急放流:29.6%
  • 稼働している他の施設・系列への振り分け:26.9%
  • 仮設水処理設備による処理の継続:21.3%
  • 国・県・他自治体への支援要請(広域連携を含む):14.8%
  • その他:0.0%
  • 特に想定している手段はない:3.7%
  • わからない/答えられない:9.3%

半数以上が、バキューム車や一時貯留で持ちこたえられる水量・期間を「把握できていない」と回答

「Q2. あなたの自治体では、バキューム車や一時貯留による対応で持ちこたえられる水量や期間を、どの程度把握できていますか。」(n=108)と質問したところ、「全く把握できていない」が14.8%、「あまり把握できていない」が35.2%という回答となりました。

半数以上が、バキューム車や一時貯留で持ちこたえられる水量・期間を「把握できていない」と回答

  • 全く把握できていない:14.8%
  • あまり把握できていない:35.2%
  • おおよその目安は把握できている:39.8%
  • 具体的な水量・期間まで把握できている:10.2%

移送・貯留で対応しきれない場合の切り替え判断基準、半数以上が定めていない実態

「Q3. あなたの自治体では、バキューム車による移送や施設内での一時貯留では対応しきれないと見込まれる場合に、次の対応へ切り替える判断基準を、どの程度定めていますか。」(n=108)と質問したところ、「特に定めていない」が12.0%、「現在検討している」が40.7%という回答となりました。

移送・貯留で対応しきれない場合の切り替え判断基準、半数以上が定めていない実態

  • 特に定めていない:12.0%
  • 現在検討している:40.7%
  • 数値基準はないが、切り替えの手順や判断する責任者は定めている:25.9%
  • 流入量や継続可能時間などの数値基準と、判断する責任者まで定めている:12.0%
  • わからない/答えられない:9.3%

災害時の事業者選定、約半数が「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を重視

「Q4. あなたは、災害時の下水処理対応を外部の事業者に依頼する際、特に重視する項目を教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=108)と質問したところ、「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」が45.4%、「流入量に追いつく処理能力・機材の保有量」が42.6%、「貯留から処理まで段階的に立ち上げる計画の提案力」が27.8%という回答となりました。

災害時の事業者選定、約半数が「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を重視

  • 復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制:45.4%
  • 流入量に追いつく処理能力・機材の保有量:42.6%
  • 貯留から処理まで段階的に立ち上げる計画の提案力:27.8%
  • 平時からの事前相談や協定への対応:26.9%
  • 相談から稼働までのスピード:24.1%
  • 費用の安さ:18.5%
  • 自治体や下水道分野での実績:12.0%
  • 企業の知名度・規模:7.4%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:7.4%

約4割が、仮設水処理設備の設置から運転管理まで相談できる事業者を確保できていないと判明

「Q5. あなたの自治体では、バキューム車による移送や一時貯留だけでは対応しきれない場合に、仮設水処理設備の設置から運転管理まで相談できる事業者を、どの程度確保できていますか。」(n=108)と質問したところ、「全くできていない」が5.6%、「候補となる事業者の情報収集にとどまっている」が33.3%という回答となりました。

約4割が、仮設水処理設備の設置から運転管理まで相談できる事業者を確保できていないと判明

  • 全くできていない:5.6%
  • 候補となる事業者の情報収集にとどまっている:33.3%
  • 相談先の特定や連絡体制の整備まではできている:30.6%
  • 協定や契約の締結まで確保できている:22.2%
  • わからない/答えられない:8.3%

災害時の下水処理を継続できる備えについて、6割以上が「安心できない」

「Q6. あなたは、災害時に下水処理を継続できる現在の備えについて、どの程度安心感がありますか。」(n=108)と質問したところ、「全く安心できない」が8.3%、「あまり安心できない」が53.7%という回答となりました。

災害時の下水処理を継続できる備えについて、6割以上が「安心できない」

  • 全く安心できない:8.3%
  • あまり安心できない:53.7%
  • ある程度安心できる:32.4%
  • 十分に安心できる:5.6%

約8割が、災害時の下水処理を担う事業者の確保・選定について「課題あり」と実感

「Q7. あなたは、災害時の下水処理を担う事業者の確保や選定について、現在課題を感じていますか。」(n=108)と質問したところ、「非常に感じている」が20.4%、「やや感じている」が55.6%という回答となりました。

約8割が、災害時の下水処理を担う事業者の確保・選定について「課題あり」と実感

  • 非常に感じている:20.4%
  • やや感じている:55.6%
  • あまり感じていない:13.0%
  • 全く感じていない:4.6%
  • わからない/答えられない:6.5%

事業者確保・選定の課題、第1位「緊急時の連絡体制や協定の整備が進んでいないこと」(47.6%)、第2位「予算の確保が難しいこと」(41.5%)

「Q8. Q7で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した方にお聞きします。具体的にどのような課題を感じていますか。(複数回答)」(n=82)と質問したところ、「緊急時の連絡体制や協定の整備が進んでいないこと」が47.6%、「予算の確保が難しいこと」が41.5%、「事業者を比較・選定する基準がないこと」が34.1%という回答となりました。

事業者確保・選定の課題、第1位「緊急時の連絡体制や協定の整備が進んでいないこと」(47.6%)、第2位「予算の確保が難しいこと」(41.5%)

  • 緊急時の連絡体制や協定の整備が進んでいないこと:47.6%
  • 予算の確保が難しいこと:41.5%
  • 事業者を比較・選定する基準がないこと:34.1%
  • 仮設水処理に関する庁内の知見が不足していること:29.3%
  • どの事業者が対応できるのか、情報が不足していること:26.8%
  • 設置場所や現場条件の事前検討ができていないこと:23.2%
  • どの時点で次の対応へ切り替えるのか、判断が難しいこと:14.6%
  • その他:2.4%
  • わからない/答えられない:1.2%

「事業者数、車輌等、ハード面での数量不足」「災害時の下水処理についての、二次災害などの検討策」などの声も

「Q9. Q8で「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q8で回答した以外に、災害時の下水処理を担う事業者の確保や選定について感じている課題があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=81)と質問したところ、「費用対効果と信頼できる会社がどうか見定めるのが難しい。」や「事業者数、車輌等、ハード面での数量不足」など56件の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>

  • 事業者数、車輌等、ハード面での数量不足。
  • 災害時の下水処理についての、二次災害などの検討策などが課題となっている。
  • 費用対効果と信頼できる会社がどうか見定めるのが難しい。
  • 緊急時に対応する能力のある事業者か。
  • 特定随意契約にて迅速に対応できるかのスピード感が不可欠だと考えているが実行できるかは定かではない。
  • 当該市町村内にある事業者従業員も被災するので、そのBCPや同じ被災エリアの他市町村業者への受援要請の判断

今後優先的に取り組みたいこと、「事業者との事前相談や協定の締結」(43.5%)や「切り替えの判断基準や、仮設水処理を含めた対応手順の明文化」(38.9%)が上位

「Q10. あなたの自治体では、災害時の下水処理に備えて、今後優先的に取り組みたいことを教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=108)と質問したところ、「事業者との事前相談や協定の締結」が43.5%、「切り替えの判断基準や、仮設水処理を含めた対応手順の明文化」が38.9%、「バキューム対応で持ちこたえられる範囲の整理」が30.6%という回答となりました。

今後優先的に取り組みたいこと、「事業者との事前相談や協定の締結」(43.5%)や「切り替えの判断基準や、仮設水処理を含めた対応手順の明文化」(38.9%)が上位

  • 事業者との事前相談や協定の締結:43.5%
  • 切り替えの判断基準や、仮設水処理を含めた対応手順の明文化:38.9%
  • バキューム対応で持ちこたえられる範囲の整理:30.6%
  • 対応できる事業者の情報収集・リスト化:29.6%
  • 貯留施設や設置スペースの事前確認:25.0%
  • 災害対応訓練への仮設水処理の組み込み:12.0%
  • その他:0.9%
  • 特にない:4.6%
  • わからない/答えられない:6.5%

まとめ

今回は、全国の自治体で下水道に関する業務に携わる職員108名を対象に、「災害時の下水処理継続と事業者の選び方に関する実態調査」を実施しました。その結果、自治体職員の45.4%が事業者選定で「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」を重視する一方、仮設水処理まで相談できる事業者を「確保できていない」自治体が38.9%に上ることが明らかになりました。


まず、災害時の対応手段としては「住民への使用制限・流入抑制の呼びかけ」39.8%、「バキューム車による汚水・汚泥の搬出」38.9%が上位。また、持ちこたえられる水量・期間を把握できていない自治体は50.0%に上ります。次に、52.7%が次の対応へ切り替える判断基準を定められていません。さらに、事業者選定では「復旧まで長期間、運転管理を続けられる体制」45.4%、「流入量に追いつく処理能力・機材の保有量」42.6%が上位に挙がりました。一方、事業者の確保・選定に課題を感じている自治体職員は76.0%に上り、「緊急時の連絡体制や協定の整備が進んでいないこと」47.6%が最多。今後優先的に取り組みたいことは「事業者との事前相談や協定の締結」43.5%が挙げられました。


本調査から、災害時の下水処理では、移送や貯留だけでは対応しきれない事態に備え、次の対応へ切り替える判断基準と、仮設水処理まで相談できる事業者の確保を平時から定めているかが、備えの分かれ目となっている実態が浮かび上がりました。事業者選定の局面では、処理能力や機材の保有量に加え、復旧が終わるまで現場を回し続けられる持続力が重視される一方、実際の確保・選定の場面では連絡体制や協定整備、予算といった平時からの積み上げが課題となっています。相談から稼働までのスピード、処理能力、そして長期戦を前提とした運転管理の継続力を平時から見立て、事業者との事前相談や協定の締結まで進めておくことが、これからの災害時下水処理の備えを分ける一つの選択肢となりそうです。

セイスイ工業なら、下水処理場や各種工場、土木現場や災害現場などの様々な難しい排水や汚泥を処理可能

更新時・点検時事例

本調査で事業者選定の重視項目として挙がった「長期運転」「処理能力・機材」「段階的な立ち上げ」「平時からの相談」「稼働までのスピード」に対し、セイスイ工業は仮設水処理プラントのレンタルで次のように対応しています。

  • 長期運転|東日本大震災では約2年、台風19号の長野市では半年以上、玄海町では約12〜13か月の仮設運転実績。
  • 処理能力・機材|デカンタ型遠心分離機約90台などを保有。玄海町では1日500〜600㎥の流入に対し、47㎥/hの処理能力で対応。
  • 段階的な立ち上げ|貯留設備から仮設水処理プラントへ段階的に移行し、現場条件に合わせて処理体制を構築。
  • 平時からの相談|流入量や設置スペースの整理、運用設計、協定などを事前に相談可能。
  • 迅速な立ち上げ|相談から最短1週間以内での稼働に対応し、全国で年間平均40現場以上に対応。

セイスイ工業は、全国2,650件以上の現場で培った仮設水処理のノウハウを生かし、平時の事前相談から、緊急時の立ち上げ、復旧までの長期運転管理まで一貫して対応します。

災害時の下水処理や、設備停止・更新工事に伴う仮設水処理について、流入量や設置スペースなど条件整理の段階からご相談いただけます。

この記事の監修者

井本 謙一

セイスイ工業株式会社 代表取締役

水処理業界に長年携わり、仮設水処理設備の提案・運用支援・現場対応を統括。浄水場、下水処理場、工場排水処理、汚泥処理など幅広い案件に関わる。本記事では技術内容および業界情報の監修を担当。

1974年
創立
水処理専門企業
2,650件
達成
豊富な現場経験
2009年
代表就任
業績好調

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