【2025年最新版】排水COD基準値と最新規制動向|BODとの違いから上乗せ基準まで解説

工場の排水COD、基準値が複雑で不安ですか?結論、基準は国が定める「一律基準」と、より厳しい地域別の「上乗せ基準」の2段階で確認が必須です。この記事では、排水処理の専門家のセイスイ工業がCODとBODの違いから法律の全体像、具体的な確認手順までを、豊富な図解でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 国が定めるCODの「一律排水基準」の具体的な数値
- 見落としがちな地域独自の「上乗せ基準」の調べ方
- 混同しやすい「BOD」や「環境基準」との明確な違い
目次
そのお悩み、この記事ですべて解決します!
自治体から排水COD値を指摘され、専門外で何から調べるべきか分からない工場や下水処理場、事業所等で排水処理を担当されている方へ。この記事があなたの不安を解消します!
突然ですが、あなたは今、こんな状況ではありませんか?
- 自治体から排水の水質について指摘を受けた
- CODやBODという言葉は知っているが、違いは曖昧
- 法律の条文を読んでも、自社にどの基準が適用されるか分からない
- 基準を超えた場合のリスクが不明で、上司に報告できない

もし一つでも当てはまる点があっても、心配はいりません。排水規制は複雑そうに見えても、実はポイントを押さえて順を追って理解すれば、それほど難しくありません。
この記事では、2,650件以上の排水処理実績を持つセイスイ工業が、現場の課題を最短ルートで解決する方法をご紹介します。
【結論】CODの排水基準は「一律排水基準」から押さえる
👉 このパートをまとめると!
水質汚濁防止法で定められた全国共通のCOD排水基準は1日平均120mg/L、最大160mg/Lです。
日本全国の工場や事業場に適用される排水基準の基本は、水質汚濁防止法という法律で定められた「一律排水基準」です。これは、特定の有害物質を除き、業種や場所を問わず、すべての事業者に共通で課される最低限のルールです。
特に、水中の汚れの指標となる「生活環境項目」については、以下のように基準値が定められています。あなたの工場や事業所の排水データと見比べてみてください。
一律排水基準(生活環境項目)の抜粋表
項目 | 許容限度 |
化学的酸素要求量 (COD) | 120mg/L (日間平均) 160mg/L (最大) |
生物化学的酸素要求量 (BOD) | 120mg/L (日間平均) 160mg/L (最大) |
150mg/L (日間平均) 200mg/L (最大) | |
5.8~8.6 (海域以外) 5.0~9.0 (海域) |
出典: 環境省「一般排水基準」
多くの担当者が誤解しがちですが、この表の数値をクリアしていればOKというわけではありません。
実は、これに加えて、さらに厳しい地域独自の基準が存在する場合があるのです。それについては後ほど詳しく解説します。
なぜ混同しやすい?「BOD」との決定的的な違い
👉 このパートをまとめると!
CODは化学物質も含む汚れの総量、BODは微生物が分解できる有機汚濁の指標です。湖沼や海域ではCOD、河川ではBODが重視されます。

排水基準の説明で必ず登場するのが、CODとよく似た「BOD」という指標です。両方とも水の汚れを示す大切な数値ですが、測定方法と使われ方が異なります。
違い①:測定の原理
- BOD(生物化学的酸素要求量):微生物が有機物を分解するときに使う酸素の量を測定
- COD(化学的酸素要求量):薬品(酸化剤)を使って化学的に分解される物質の量を測定(有機物+一部の無機物)
違い②:重視される水域
- BOD:微生物が活発に働く「河川」で有効
- COD:微生物の活動が弱く、化学物質の影響も大きい「湖や海」で重要
つまり、工場や事業所が排水している水域の種類によって、より注意すべき指標は変わります。
【重要】多くの担当者が見落とす「上乗せ基準」の罠
👉 このパートをまとめると!
排水基準は「国の一律基準」だけではなく、都道府県が条例で定める 「上乗せ基準」 が存在します。自社に適用される基準は、必ず自治体の公式サイトで確認してください。
なぜ「上乗せ基準」があるのか?

国の基準だけでは、その地域の環境を守るには不十分なケースがあります。そこで自治体ごとに、より厳しい独自基準を設定することが認められています。
たとえば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などの閉鎖性海域に面した地域では、富栄養化を防ぐため、CODの排水基準が国の値より大幅に厳しく定められていることが一般的です。
✍️ 筆者からの一言アドバイス
排水基準を確認する際は、まず国の基準よりも自治体の条例を調べるのが鉄則です。実際に、国の基準を満たす最新設備を導入した企業が、地域の「上乗せ基準」を見落として指導を受けた例もあります。排水規制は「国ルール+地域ルール」の二重構造だと覚えておきましょう。
知らなきゃ危険!上乗せ基準を見落とさないための確認手順
あなたの工場や事業所の正しい基準値を知るために、以下の3ステップを実行してみましょう。
- 「〇〇県(市区町村名) 排水基準 上乗せ」で検索する
- 自治体の環境関連部署(環境局、水質保全課など)のページを探す
- 公開されている排水基準の一覧から、自社の工場が該当する水域や業種の基準値を確認する
この一手間が、将来の大きなリスクを防ぎます。

そもそも「水質汚濁防止法」とは?
👉 このパートをまとめると!
水質汚濁防止法は、「国民の健康を守る」ことと「生活環境を守る」ことを目的にしています。そのために用意されているのが、「排水基準」と「環境基準」の2つの基準です。
排水基準とは
- 工場や事業場が排水を出すときに「必ず守らなければならないルール」
- 「一律基準」や「上乗せ基準」がこれにあたる
環境基準とは
- 河川や湖、海など公共の水域が「達成すべき水質の目標」
- 行政が目指すもので、工場が直接守る義務はない
つまり、各工場や事業所が排水基準を守ることで、地域全体の水域が環境基準を達成できる、こうした仕組みになっています。
【よくある質問】排水基準(COD)に関するQ&A
排水基準に関するよくある疑問に、セイスイ工業がQ&A形式で回答します。
Q. 基準値を超えた場合の罰則は?
A. すぐに罰則が科されるわけではありません。まず自治体から改善命令が出され、それに従わない場合に懲役や罰金といった罰則が適用されます。とはいえ、最も大きなダメージは企業の信用失墜です。基準遵守は、法令対応以上に「企業の責任」として徹底すべきです。
Q. なぜCODの基準値は最大160mg/Lなのですか?
A. 明確な一次資料は存在しませんが、昭和45年の水質汚濁防止法制定時点で、当時の排水処理技術で達成可能であり、生活環境を守れる数値として設定されたと考えられています。技術の進歩や環境意識の高まりから、今後さらに厳しくなる可能性もあります。
Q. 排水の測定は自社で行っても良いのですか?
A. 日常的なモニタリングであれば自社測定で問題ありません。ただし、自治体へ報告義務のある「特定事業場」に該当する場合は、都道府県知事の登録を受けた「計量証明事業所」での測定が必要です。自社が対象かどうかは、必ず所管自治体に確認してください。
まとめ:基準遵守のために、今できること
まずは 自社が立地する自治体の「上乗せ基準」 を確認しましょう。その上で、現在の排水COD値が基準をクリアしているかどうかをチェックすることが出発点です。
一見複雑に見える排水基準も、ポイントを整理すれば理解しやすくなります。最後に、この記事で押さえるべき3つの重要ポイントを振り返ります。
- 国の一律基準(COD最大160mg/L)が基本
- ただし、地域独自の「上乗せ基準」が最も重要
- CODとBODは測定原理・目的が異なる別の指標
基準遵守は「義務」であると同時に、企業の信頼と環境保全を守るための責任でもあります。正しい知識を持つことで、不安が解消され、自信を持って行動できるようになります。
あなたが次に取るべき行動チェックリスト
- 自社の所在地(都道府県・市区町村)の「上乗せ基準」をウェブで確認したか?
- 自社の排水測定データと、基準値(一律 or 上乗せ)を比較したか?
- 基準値を超えそうな場合、専門家への相談を検討しているか?
💡 排水対策や処理方法にお悩みの方へ
もし、具体的な改善策を知りたい、あるいは自社の排水管理に不安がある場合は、2650件以上の実績を持つセイスイ工業 にご相談ください。豊富な経験と事例に基づき、最適な解決策を最短ルートでご提案いたします。