セイスイ工業株式会社

水処理コラム

COLUMN

凝集沈殿

凝集剤の実力を現場で活かす!排水・汚泥処理の具体例と選定のコツ

凝集剤の活用例

これまでの記事では、「「凝集」とは?」「凝集剤とは?」そして「アニオン?カチオン?高分子凝集剤の違いと選び方を解説!」について解説してきました。

今回はそれを踏まえ、汚泥処理や排水処理の現場で凝集剤がどう使われているのか、また処理効率を高めるにはどのように選定すべきかを実践的に解説します。

排水処理の成果は、凝集剤の「選び方」と「使い方」で大きく変わります。的確な運用により、汚泥の減量や処理コスト削減、環境負荷の軽減にもつながります。実際の活用例も交えながら、すぐに現場で役立つノウハウをご紹介します。

凝集剤が活躍する処理現場とは?

凝集剤は、排水中の微粒子を凝結・凝集させてフロック(かたまり)を作り、沈殿や脱水を助ける薬剤です。固液分離が必要な現場では欠かせません。

廃水や危険物を含む排水では、凝集剤の選定やpH管理が処理効率を大きく左右します。

凝集剤が活躍する主な現場は、次のとおりです。

  • 産業排水処理(工場・製造現場)
  • 建設汚泥処理(掘削・地盤改良工事など)
  • 下水処理場(活性汚泥・余剰汚泥)
  • 災害時の仮設処理や緊急対応(断水・設備故障など)

これらの現場では、処理効率の向上や汚泥の減容化、運搬コストの削減など、凝集剤が大きな効果を発揮します。

特に下水処理では、一次処理(沈殿)や二次処理(有機物分解)で補助的に使われることでSSや有機物の除去を向上。さらに、高度処理ではリンや窒素の除去にも活用されており、その重要性は年々高まっています。

凝集剤が活躍する現場

凝集剤の選定ポイント

現場で凝集剤を選ぶ際は、用途に応じた使い分けが重要です。水の性質や処理対象に合わせて、最適なタイプを見極めることが求められます。

  • 水質(有機物が多いか、無機粒子が多いか)
  • pH(中性・酸性・アルカリ性)
  • 対象物の電荷(正か負か)

これらをふまえたうえで、以下の使い分けが一般的です。

  • アニオン系:無機粒子(粘土、土砂など)に適し、PACなどと併用されることが多い
  • カチオン系:有機物や余剰汚泥に適し、汚泥脱水で広く使用される
  • ノニオン系:電荷に左右されにくく、補助的に併用されるケースが多い

また、事前に"ジャーテスト"(小規模な薬品テスト)を行い、最適な薬剤と添加量を確認することが推奨されます。

処理水のpHやイオン濃度、溶解性有機物の有無によっても薬剤の選定は変わります。pHが適正でない場合、凝集が進まず処理効率が低下するため、必要に応じてpH調整剤との併用も重要です。

凝集剤の実用例【現場別紹介】

建設汚泥処理でのアニオン系凝集剤の活用

掘削や地盤改良で発生する粘土質の濁水には、アニオン系の高分子凝集剤が効果的です。ポリアクリル酸系やポリアクリルアミド系などの粉末タイプや液体タイプがよく使用されており、PACとの併用によりフロックが形成されやすくなり、脱水効率も大幅に向上します。

下水処理場でのカチオン系ポリマー使用

下水処理では、有機物主体のスラッジに対してカチオン系ポリマーが効果を発揮します。粒子を強く結びつけることでフロックを形成し、脱水性が向上。汚泥の体積が減り、処理設備の負荷や処分コストの削減につながります。

また、前処理段階で凝集剤を使うことで、スクリーンで除去しきれないSSや油分の捕捉率が高まり、生物処理工程の安定運転にも寄与します。

産業排水でのノニオン系+アニオン系の併用例

複雑な成分を含む産業排水では、電荷が不安定な場合があります。特に塗料や処理剤を含む排水では、分散成分が多く凝集しにくいこともあるため、ノニオン系を補助的に使いながらアニオン系を併用することで、安定した処理効果が得られます。

また、無機凝集剤で大まかな汚濁成分を沈殿させた後に高分子凝集剤を使用する2段階処理は、効率的で安定した分離が可能な方法です。

凝集剤の使い方を間違えるとどうなる?

凝集剤は使い方を誤ると、処理効率が下がるどころか逆効果になることもあります。

  • 過剰添加:フロックが崩れたり処理水が濁ったりする
  • 電荷の相性ミス:凝集反応が起きず、分離できない
  • 撹拌不足・過剰撹拌:フロックが形成されない、または壊れる

正しく使うためには、以下の点に注意が必要です。

  • 希釈濃度の管理(通常0.05〜0.1%)
  • 適切な撹拌条件の設定
  • 添加順序の工夫(無機→高分子など)
  • 処理水のpH確認と調整(pH6〜8が目安)

まとめ:処理効率は「選び方」と「使い方」で決まる!

凝集剤は水処理・汚泥処理の効率を大きく左右する重要な薬剤です。選定と運用を正しく行えば、処理性能とコスト面の両方で大きな効果が期待できます。

現場の状況に応じて、適切な凝集剤の種類・使用量・添加順序を見極め、試験や調整を繰り返しながらベストな処理方法を見つけていくことが求められます。

水処理の現場では、ちょっとした工夫と知識が大きな成果につながります。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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