【最新まとめ】PFASニュース2025年 法規制・水質基準の改正ポイント

分解されにくく、健康や環境への影響が懸念されるPFAS(有機フッ素化合物)をめぐり、国内外で注目が高まっています。米国では規制強化の動きが続く一方、日本でも基地周辺での漏出や飲料水の基準超過など、報道が相次いでいます。
本記事では、最新の国内外ニュースを中心に、PFASが人体や環境に及ぼすリスク、各国の法規制の動向についてわかりやすく解説します。
目次
PFAS(有機フッ素化合物)とは?
PFAS(有機フッ素化合物)とは、炭素とフッ素が強く結びついた化学物質群で、分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれています。代表的なPFOSやPFOAは、かつて調理器具や消火剤などに使われていましたが、環境中に長く残留し、体内にも蓄積しやすいため、健康や生態系への影響が懸念されています。

PFASが人体や環境に及ぼすリスクと影響
PFASは分解されにくく体内に蓄積しやすいため、がんや内分泌かく乱のリスクが指摘されています。ホルモンバランスへの影響から妊娠や発育への懸念もあり、各国で研究が進行中です。
環境面では、水や土壌を通じて生態系へ悪影響を及ぼす可能性があり、生物濃縮による食物連鎖への影響も懸念されています。
国内外のPFAS関連ニュースまとめ
日本では米軍基地周辺の漏出や食品からの検出が報じられ、各地で調査や対策が進んでいます。海外でもアメリカやドイツをはじめ多くの国で環境汚染が深刻化し、規制や監視の強化が進行中です。
日本:横田基地でのPFAS漏洩事故

・2023年1月:米国防総省が横田基地内でPFAS含有水約945 Lが漏洩したと報告 ・2024年11月:東京都が横田基地外の排水口付近で採取したサンプルで、PFOSとPFOAの合計値が暫定指針値以下であると発表 ・2025年5月:日本政府は、基地内に貯留されていた汚染水約15万トン(約400,000ガロン)を活性炭処理し、PFOS・PFOA濃度を50 ng/L以下まで浄化し、放流予定と公表
日本:「食べてはいけない豆」報道(摂津市)

2025年5月31日、大阪北部の摂津市で、地元の豆が「食べてはいけない」と報じられたニュースでは、PFAS(PFOA含む)が農産物に蓄積された可能性があるとされています。その際の市民血液検査では、PFOA濃度が最大で基準値の40倍に達した例も報告されました 。
ヨーロッパ:PFAS汚染事例

「The Forever Pollution Project」によると、2023年初頭、ヨーロッパ全土のうち約23,000カ所でPFASによる汚染が確認されました。 また欧州環境庁(EEA)の報告では、2018~22年の間に、河川の51~60%、湖沼の11~35%、沿岸水域の47~100%でPFOSが環境基準値を超過したと報告されています。
アメリカ:EPAがPFOA/PFOS水道基準の適用猶予を2031年まで延期

アメリカの EPA(環境保護庁)は2024年4月に、PFOAおよびPFOSの飲料水中最大許容濃度(MCL)に法的拘束力を持たせ、2029年までに飲料水管理者が遵守するよう定めましたが、2025年5月にその遵守期限を2031年まで延長する方針が発表されました 。
ニュース参照ページ
各国の規制強化と日本の対応
PFASのリスクが世界的に注目され、各国で規制強化が進んでいます。欧州ではREACH規則によりPFASを「高懸念物質(SVHC)」に指定し、2023年には全PFASを対象とする包括的な規制提案が提出されました。ストックホルム条約でもPFOSやPFOA、PFHxSが原則使用禁止となり、対象拡大が見込まれています。米国でもEPAが飲料水の基準を厳格化し、一部州では食品包装や化粧品への使用を禁止するなど、独自規制も進んでいます。
一方、日本では化審法でPFOS・PFOA・PFHxSの製造・輸入を禁止し、水道法では両物質の合計に暫定目標値を設定。水質汚濁防止法では排水対応が義務化され、環境省を中心に厚労省・経産省・自治体と連携し、モニタリングや代替技術の支援も進んでいます。
まとめ:PFAS規制と最新動向を正しく理解し、今後に備える
PFASは分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれ、人体や環境へのリスクが国際的に注目されています。米軍基地周辺での漏出や農産物への蓄積、欧米での汚染など、各地で被害が顕在化し、国内外で規制強化が進んでいます。
アメリカでは水質基準の法制化、欧州ではREACH規則に基づく包括規制が進行中で、日本でも段階的に法対応が進められています。
PFAS問題は誰にとっても身近な環境・健康リスクです。正確な情報収集と、行政・企業・市民の連携による対策が不可欠です。