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水処理コラム

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水処理に関する用語

PFASはどう規制される?有機フッ素化合物に関する水道・排水の基準と世界のトレンド

PFAS規制

近年、PFAS(有機フッ素化合物)の環境残留や人体への影響が国際的に注目されています。さまざまな用途で使用される利便性の高いPFASですが、難分解性や生物蓄積性が問題視され、各国で規制が強化される動きがあります。さらに、水・土壌・生態系に深刻な影響が及ぶ可能性が指摘され、市民や企業の間でも関心が高まっています。

本記事では、PFASの基本的な概要から国際・国内における規制の動向と具体策、さらに代替技術やリスク管理のポイントに至るまで、包括的に解説していきます。PFASは多様な化合物を含み、それぞれ異なる規制基準や影響範囲を考慮する必要があります。国内外で進みつつある規制方針や除去技術を踏まえ、企業や自治体は今後どのように対応すべきかを考えていきましょう。

PFAS(有機フッ素化合物)とは何か

PFASは、撥水性や耐熱性など、非常に優れた特性を持つ化学物質の総称です。炭素とフッ素の結合が極めて強いため、通常の環境ではほとんど分解されません。この高い安定性から、防汚コーティングや撥水加工など多様な製品に幅広く利用されてきました。しかし、一度環境中に放出されると自然界に長期間残留し、生物の体内に蓄積しやすいという問題が明らかになっています。

PFASとは

PFASの基本定義と特徴

PFASとは、約1万種類が存在するとされている有機フッ素化合物の総称です。炭素とフッ素の結合が極めて強いため、熱や化学物質に対して高い抵抗性を示し、分解されにくいという特徴を持ちます。この高い化学的安定性が実用面では優れている一方、処分や環境管理の面では大きな課題を引き起こします。

PFASによる健康・環境への影響

PFASは体内に取り込まれると、免疫機能やホルモンバランスに影響を及ぼす懸念があり、一部では発がん性リスクも指摘されています。長期間の摂取による慢性毒性が問題視されており、環境中では大気や水を通じて広範囲に拡散、生態系への影響も懸念されています。こうした背景から、PFASの排出抑制と代替化合物の導入は、国際的な最重要課題となっています。

PFASの代表的な物質と分類

PFASの中でも特に知られているのが、PFOSとPFOAです。これらは、分解されにくく、生物の体内に蓄積しやすいという特徴を持っています。

鎖長の違いや官能基の種類によってさまざまな性質を示し、中鎖と長鎖のPFASでは毒性や移動性が異なります。欧米や日本を含む多くの国々では、まずはPFOSとPFOAを中心に規制強化が進められてきました。その他のPFASについても既存の規制を拡大する検討が進み、今後はさらなる広範囲での法整備が見込まれます。

国際的なPFAS規制の概要

国際的

PFASのリスクが世界的に注目される中、各国では規制の強化や管理体制の整備が急速に進められています。特にヨーロッパや北米では、PFASの製造や輸入の段階から、製品での使用、そして最終的な廃棄に至るまで、サプライチェーン全体を管理する厳しいルールが次々と導入されています。これは、グローバルに事業を展開する企業にとって、製品の作り方や売り方を根本から見直す必要があることを意味します。

この章では、国際的に進むPFAS規制の動向を、各国の取り組みやルールの違いに着目しながら紹介します。グローバルに広がる規制の流れを把握し、企業としてどのように備えるべきかを考えるために、基礎知識として押さえておきましょう。

国際条約と欧州REACHの動向

PFASの規制は世界的に進んでおり、特にEUの「REACH規則」と「ストックホルム条約」が注目されています。

REACHでは、PFASの一部が「高懸念物質(SVHC)」としてリスト化されており、2023年には全PFASをまとめて制限しよう、という包括的な提案も提出されました。このように、個別ではなく広範囲の規制へとシフトしているのが現在のトレンドです。

一方、ストックホルム条約では、PFOSPFOA生産・使用原則禁止とされています。最近ではPFHxSも新たに対象となっており、今後も規制対象が拡大する見込みです。

このような国際的な動きを受け、企業には使用削減や代替技術の導入、サプライチェーンの見直しといった対応が急務となっています。環境対応は今や企業信頼を維持するための必須条件です。

アメリカにおけるPFAS規制

アメリカでは、EPA(環境保護庁)が中心となり、飲料水におけるPFASの基準値を大幅に厳格化する法的拘束力のある規則を最終決定するなど、対策が加速しています。これは、水道事業者に対し、PFAS除去のための大規模な投資を求めるものです。

さらに、一部の州は連邦政府よりも厳しい独自の規制を導入しています。これには、特定のPFASの使用禁止(例:食品包装、化粧品)、排水基準や土壌基準の独自設定などが含まれます。

このため、企業は連邦と州の両方の規制に対応する必要があり、特に全米で事業を展開する企業にとっては、対応の複雑さとコスト増加が大きな課題となっています。

各国・地域の取り組みと規制強化の背景

カナダやアジア地域でも、PFASに関する調査と規制導入が進んでいます。カナダでは濃度基準の設定を進め、アジア諸国でも一部の工場排水や消火剤に含まれるPFASについて法的規制が検討されています。これらの動きの背景には、科学的エビデンスの蓄積と国際社会の注目の高まりがあり、新興国でも大規模なモニタリング体制が構築されつつあります。グローバル企業は、こうした国ごとの法整備状況を把握しながら、自社の製造工程や流通網を見直すことが不可欠です。

日本におけるPFAS規制の現状

日本

日本では、化審法に基づきPFOS・PFOA・PFHxSが「第一種特定化学物質」に指定され、製造・輸入が原則禁止されています。水道法ではPFOSとPFOAの目標値が設定されていましたが、今後、法的拘束力のある水質基準に引き上げられる予定です。

環境省は地下水や河川水のモニタリングを継続中で、全国的な残留状況が把握されていますが、未規制のPFASも多く、監視体制の強化が課題となっています。

また、水質汚濁防止法では排水基準が設けられ、企業には監視や除去対策が求められており、今後は、科学的知見を活かした規制と企業対応の両立が重要です。

化審法・水道法・水質汚濁防止法との関係

日本のPFAS規制は、3つの法律が段階ごとの管理を担い、全体としてPFASのライフサイクルを網羅しています。

  • 化審法:PFOS・PFOA・PFHxSを「第一種特定化学物質」に指定し、製造・輸入を原則禁止
  • 水道法:PFOSとPFOAの合計値に暫定目標値を設定し、2026年4月からは「水質基準」として法制化予定
  • 水質汚濁防止法:PFOS・PFOAを「指定物質」に追加し、排出事故時の応急措置や行政報告を義務化

このように、製造・流通から使用、排出、環境中での管理までを各制度が分担することで、包括的なリスク抑制が図られています。

規制対象となるPFAS物質一覧

現在、日本で規制対象となっているPFASには、PFOS、PFOA、そしてPFHxSなどが含まれます。これらは化審法や水道法などを通じて管理されており、今後さらに他のPFAS化合物、特に長鎖型の物質への規制拡大が議論されています。欧州REACH規則など国際的な動向とも連携しながら、物質リストの見直しが進められる可能性が高く、企業にとっては継続的な情報収集と対応準備が重要です。

各省庁の取り組みと協力体制

日本では、PFAS規制を複数の省庁が連携して進めています。

  • 環境省:PFASによる水・土壌・大気汚染への対応を主導しており、全国的なモニタリングやリスク評価を実施
    2024年4月には、水道水質に関する一部業務が厚生労働省から移管され、水源から蛇口までの水質管理を一元的に進めている
  • 経済産業省:産業界と連携し、PFASの代替技術開発や化学物質の適切な管理、化審法などの制度運用による企業の対応を推進
  • 厚生労働省:食品中のPFAS調査や健康影響の科学的評価を継続して行い、生活者の安全確保を推進

また、地方自治体も独自に水質調査や監視を行い、国と情報を共有しています。こうした省庁間・地域間の連携が、PFAS規制の実効性を高める鍵となっています。

国内事例:汚染の実態と対応策

国内では、工業地帯や米軍基地周辺でPFASによる地下水汚染が報告され、特定地域では早急な対策が求められています。自治体や事業者は汚染源の特定や除染を進めていますが、恒久施設の整備には時間がかかるのが実情です。

こうした中、セイスイ工業は仮設水処理プラントを活用し、緊急時でも迅速にPFASを含む水の処理ができる体制を整えています。省スペース・短期間で設置可能な仮設型は、既存設備が使えない場面でも有効です。

また、活性炭やイオン交換樹脂を使った高性能ろ過装置の導入も進んでおり、継続的なモニタリングと仮設対応の併用が、住民の健康リスク低減につながります。

仮設水処理とは

代替技術・対策の実務ポイント

PFAS規制が世界的に強化される中、企業や自治体では除去技術や代替化合物の導入が加速しています。特に水処理分野では、活性炭やイオン交換樹脂を使った除去が広く活用され、飲料水や工業排水からのPFAS対応が現実的な手段となっています。

一方で、代替化合物には新たな毒性リスクの懸念もあり、単なる置き換えだけでは不十分です。そのため、処理技術の高度化と製造・管理体制の根本的な見直しが重要であり、官民の連携による多角的な取り組みが求められています。

PFAS除去技術と製品の開発状況

PFAS除去には、吸着材やプラズマ分解といった先端技術の研究が進んでおり、特に活性炭やイオン交換樹脂を使ったろ過技術はすでに実用化され、水道・排水処理の現場で導入が進んでいます。

こうした中、セイスイ工業の仮設水処理プラントも注目されており、短期間で設置でき、PFASを含む排水にも対応可能です。緊急時や常設設備のない現場でも柔軟に対応でき、持続可能性やコスト面でも効果が期待されています。

企業が備えておくべきリスク管理

企業がPFAS規制に対応するには、まず自社の使用実態を正確に把握し、サプライチェーン全体のリスク評価や情報管理を徹底することが重要です。さらに、緊急時の対応マニュアル整備や社内教育、セイスイ工業のような水処理の専門企業との連携により、突発的な排水トラブルにも備える体制づくりが求められます。こうした取り組みが持続可能な経営と信頼性の向上につながります。

今後の規制強化と展望

PFAS規制は今後、より広範囲の化合物を対象に、世界各国で一層強化される見通しです。特に欧州REACHの適用拡大は、グローバル企業にとって大きな課題となります。

市場での競争力を保つには、規制動向の早期把握と代替技術の導入が重要です。日本でも法整備やガイドラインの見直しが進むとされ、科学的根拠に基づく規制と産業発展の両立には、国際的な情報共有が不可欠です。

EU規制拡大の影響と対策

REACH規則の下で拡大が見込まれるPFAS規制は、企業にとって負担となる一方で、新たな技術開発を促す契機にもなっています。既存製品や製造工程を維持するためには、欧州への輸出規制対応や現地工場の安全管理を厳格に行う必要があり、特に規制強化によって一部工程の変更や撤退を迫られるケースも出てきています。これにより、現地のサプライチェーン構造や雇用体制、さらには投資方針にも波及する可能性があります。

一方で、規制対応に先行して新技術を確立した企業は、欧州市場での競争力を高める好機を得ることにもつながります。

日本国内の法整備と改正の可能性

日本では現在、PFAS全体を包括的に規制する法律はなく、PFOS・PFOA・PFHxSなど一部の物質が個別法で対応されています。今後は欧米の動向を踏まえ、対象物質の拡大や基準値の見直し、報告義務の強化などの法改正が進む見込みです。

こうした変化に備え、企業は自社のPFAS使用状況を正確に把握し、早めに対応策を講じることが重要です。中小企業も含め、サプライチェーン全体での情報共有と体制整備が、規制対応のカギとなります。

グローバル企業が取るべき戦略

PFAS規制が国ごとに異なる中、グローバル企業には各地域の法規制を正確に把握し、順守する体制が求められます。特にPFASを含む可能性のある原材料や製品については、早期に代替物質の検討とリスク評価を進めることが重要です。

複雑化するサプライチェーン全体を管理するには、国別法規に対応したシステムや専任チームの設置が効果的です。SVHCリストなどを活用し、使用すべきでない物質の選定にも注意が必要です。

また、地域社会や研究機関との連携を強化し、PFAS削減など社会課題への取り組みを明確に示すことが、信頼や企業価値の向上にもつながります。規制対応はリスク対策にとどまらず、戦略的な企業活動の一環といえます。

まとめ:PFAS規制への対応は企業の持続可能性と信頼性を左右する

PFAS(有機フッ素化合物)は、高性能ゆえに広く使われてきましたが、環境や健康への懸念から、世界各国で規制が強化されています。特に欧州REACHや米国EPAの動向は、企業の製品設計・製造・排水管理に大きな影響を与えており、日本国内でも法整備が進みつつあります。

対応を怠れば、法令違反や取引停止のリスクも。企業は使用状況の把握と代替技術の検討、サプライチェーン全体での情報共有が急務です。

また、セイスイ工業のように、仮設型の水処理技術や専門知識を活用することは、緊急時の排水対応や一時的な設備補完において非常に有効です。持続可能性と柔軟性を兼ね備えた対策こそが、これからの企業経営に求められます。PFAS規制への対応は、リスク回避と競争力向上の両面で重要な戦略となります。

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