セイスイ工業株式会社

水処理コラム

COLUMN

水処理に関する用語

PFOSとPFOAの違いとは?違いと共通点、規制対象になった理由を解説

PFOS・PFOAの違い

「PFOS」や「PFOA」という言葉、ニュースなどで見かけたことはありませんか?

これらは有機フッ素化合物と呼ばれる物質の一種で、水や油をはじく性質から、フライパンのコーティングや防水スプレー、食品包装など、身近な製品に広く使われてきました。

しかし最近では、健康や環境への影響が心配され、世界中で規制が進んでいます。この記事では、「PFOS」と「PFOA」の違いや共通点、なぜ問題視されているのか、どのように対策すればいいのかを、専門知識がなくてもわかるようにやさしく解説していきます。日々の暮らしで気をつけたいポイントも紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

PFOS・PFOA・PFASとは?

PFOS・PFOA

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、「PFAS」と呼ばれる有機フッ素化合物の代表的な物質です。PFASには1万種類以上の化合物が存在するとされ、どれも炭素とフッ素の結合によって高い耐久性・撥水性・撥油性を持ち、フライパンや撥水衣料、泡消火薬剤などに使われてきました。

中でもPFOSとPFOAは、環境中で分解されにくく、体内にも蓄積しやすい性質があるため、健康や環境への影響が懸念され、世界的に規制が進められています。次に、それぞれの違いを見ていきましょう。

PFOSの定義と主な特徴

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、炭素が8つ連なった鎖と「スルホン酸」という特徴的な部分を持つ化学物質です。水や油を強力にはじく性質があり、また非常に安定しているため、泡消火薬剤や表面加工剤など、多くの工業製品に広く使われてきました。

しかし、この強力な性質ゆえに、PFOSは自然界でほとんど分解されません。そのため、環境中に一度放出されると長い年月をかけて蓄積し、生態系に悪影響を及ぼす懸念が高まっています。このため、世界中の多くの国で、PFOSを含む製品の製造や使用が厳しく制限されるようになっています。

PFOAの定義と主な特徴

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)も、PFOSと同じく炭素が8つ連なった鎖を持っていますが、こちらは「カルボン酸」という異なる部分を持つ有機フッ素化合物です。PFOSと同様に水や油をはじく特性と高い安定性から、さまざまな製品に利用されてきました。

特に身近な例では、焦げ付きにくいフライパンなどのフッ素樹脂加工に関連が深く、かつては製造過程でPFOAが使われることがありました。しかし、PFOSと同じく人体や環境に残留しやすい性質があるため、規制が強化される傾向にあります。

近年では、PFOAを使わない代替物質の開発が進み、PFOA不使用の製品も増えていますが、過去に使われたPFOAが今も環境中に残っており、汚染源となっている可能性が懸念されています。

項目

PFOS(ピーフォス)

PFOA(ピーフォア)

化学構造

炭素鎖8本 + スルホン酸基

炭素鎖8本 + カルボン酸基

性質

撥水・撥油性が高い/分解されにくい

撥水・撥油性が高い/熱や薬品に強く分解されにくい

主な用途(過去)

消火剤、防水剤、電子部品など

フッ素樹脂加工(フライパンなど)、繊維加工など

健康への影響

蓄積性が高く、肝臓・免疫系への影響が懸念される

蓄積性が高く、がん・ホルモン系への影響が懸念される

環境への影響

自然界で分解されにくく、生態系に残留しやすい

地下水や土壌に残留しやすく、長期汚染の原因に

規制状況

多くの国で使用・製造が禁止または制限されている

多くの国で使用・製造が制限されている

現在の対応

使用禁止・代替品への切替が進んでいる

使用禁止・PFOA不使用製品が増加している

PFAS全体との関係

PFASは、多種多様なフッ素化合物を含む総称です。OECD(経済協力開発機構)やEU、アメリカなどでPFASの定義が少しずつ異なるため、国ごとに規制の範囲もバラつきがあります。

PFOSやPFOAは、このPFASの代表的な物質です。早くから健康や環境への影響が問題視され、多くの国で使用や製造が厳しく制限されています。最近では、PFOSやPFOA以外のPFASにも似たようなリスクがあると懸念されており、PFAS全体をまとめて規制しようとする動きが広がっています。

PFOS・PFOAの用途と私たちの生活への影響

PFOSやPFOAは、水や油をはじく性質があり、かつて多くの製品に使われてきました。現在では環境や健康への影響が指摘され、使用は大きく制限されています。

PFOS・PFOAが使用されていた製品とその用途

  • フライパン・調理器具
     表面のフッ素樹脂加工にPFOAが使用されていた。加熱や摩耗で微量の成分が溶出し、体内に取り込まれる可能性あり。
  • 衣類(アウトドアウェア、レインコートなど)
     撥水・撥油加工にPFOSやPFOAが使用されていた。着用や洗濯によって家庭内に拡散することがある。
  • カーペット・ソファなどの布製品
     防汚加工のために使用されていた。摩耗や使用によって微粒子が空気中に放出される可能性がある。
  • 食品包装紙(ファストフード用包装、紙皿など)
     油や水を弾く目的でPFASが使われていた例がある。食品への移行が懸念されている。
PFOS・PFOA使用製品

「PFOAフリー」などと表示された製品もありますが、完全にフッ素化合物が除去されているとは限りません。購入時には仕様や表示を確認しましょう。

水道水や環境汚染への影響(PFOS・PFOA)

PFOSやPFOAは、工場からの排水や不適切な廃棄を通じて、河川や土壌、特に地下水へと流出します。これが飲料水や農業用水を通じて人や動物に取り込まれることで、蓄積や健康影響のリスクが生じます。

一度環境中に放出されると自然に分解されにくく、長期間にわたって残留します。このため、水道水の安全性や地域全体の健康を守る観点から、世界的に早急な対策が求められています。

PFOS・PFOAの人体への影響

PFOSやPFOAは分解されにくく、体内に蓄積しやすい性質があります。飲料水や食品などを通じて少しずつ取り込まれると、長期的に健康リスクが高まる可能性があります。

体内に取り込まれる経路

PFOSやPFOAは、以下のような日常生活の中から体内に入り込む可能性があります。

19_体内に取り込まれる経路



  • 飲料水:汚染された地下水や水道水からの摂取
  • 食品包装・調理器具:フッ素加工された包装紙やフライパンなどから微量が移行
  • 空気中の粉じん・飛沫:屋内のほこりや空気から吸い込まれる場合も

これらの経路から少しずつ体内に取り込まれ、長期的に蓄積されることで健康リスクが高まるとされています。リスクを減らすには、製品の素材表示や水の安全性に注意し、PFASフリーの製品を選ぶなどの工夫が大切です。

健康リスクと懸念される症状

長期的にPFOSやPFOAが蓄積されると、以下のような影響が指摘されています。

  • 免疫機能の低下:感染症やアレルギーのリスク上昇
  • ホルモンバランスの乱れ(内分泌かく乱)
  • 肝機能への影響
  • 生殖機能への影響
  • 発がん性の可能性:現時点では明確な結論は出ておらず、WHOなどが継続調査中

影響の出方には個人差があるものの、長期曝露を避けることがリスク低減につながります。

国内外のPFOS・PFOA規制と対策の動き

PFOSやPFOAは、環境中で分解されにくく、体内にも蓄積しやすいことから、世界各国で厳しい規制が進められています。

アメリカではEPA(環境保護庁)が飲料水における基準値を厳格に設定し、製造や排出に対する監視体制を強化。EUでもREACH規則により、製造や輸入時の使用制限が広がっています。

日本でも、PFOS・PFOA・PFHxSが「第一種特定化学物質」に指定され、製造・輸入は原則禁止。水質基準の設定や化学物質の審査強化が進み、自治体による独自の調査や、企業による代替技術の導入も加速しています。

こうした動きは、今後他のPFAS類にも波及する見込みがあり、企業・自治体ともに早期の対応が重要となっています。

PFOS・PFOAを含まない製品の選び方

PFOSやPFOAへの曝露を減らすには、日常的に使う製品の選び方が重要です。最近では多くのメーカーが「PFOAフリー」や「フッ素不使用」と記載した製品を出しており、購入時にはパッケージや公式サイトの情報を確認するのがポイントです。調理器具や包装材の素材も、ステンレスやセラミックなどの安全性が高いものを選ぶと安心です。

安全な製品を選ぶ人が増えれば、企業もPFASの使用削減に取り組みやすくなります。特に口に入る可能性のある製品は、意識して選びましょう。

チェックしたいポイント

    チェックリスト

    ・製品ラベルに「PFOAフリー」「フッ素不使用」などの記載があるか ・メーカーのウェブサイトで材質や加工方法を確認 ・調理器具はコーティングのはがれに注意し、古くなったら買い替えを検討 ・衣類や撥水製品も「フッ素フリー加工」を選ぶと安心

おすすめの材質・製品例

    おすすめ

    ・フライパン:セラミック、鉄、ステンレス製など ・食品包装:フッ素加工されていない紙や高分子フィルムを使用したもの こうした工夫を日々の買い物に取り入れることで、PFOS・PFOAの曝露を大きく減らすことができます。

まとめ:正しい知識でPFOS・PFOAのリスクを回避

PFOSやPFOAは、かつて私たちの生活を便利にしてきた一方で、分解されにくく体内に蓄積するという重大なリスクを抱えています。飲料水や調理器具、食品包装など身近な経路から取り込まれる可能性があるため、日常の中で知らず知らずのうちに曝露しているケースも少なくありません。

こうした背景から、国内外で規制が進み、代替技術や「PFASフリー」製品への転換が進んでいます。私たち一人ひとりが、安全性に配慮した製品を選び、環境や健康への負荷を減らしていくことが重要です。

PFOS・PFOAの問題は、個人の選択と社会全体の動きがつながるテーマです。まずは正しい知識を持ち、自分の生活にできることから少しずつ始めてみましょう。

関連記事

こんなことできる?

どのくらいかかる?

まずはお気軽に ご相談ください!

簡単な質問のみでも、 どのようなことでもご連絡ください。 お困り事を解決していく お手伝いをいたします。ご相談ください!

どう処理したらいいかわからない...

数々の現場経験から 最適な処理方法をご提案!

現場や原水状況や濃度など 具体的な内容をヒヤリングさせていただければ 最適なプランをご提案します!

レンタル機器の手配から プラント提案できるのはセイスイだけ!

お急ぎの方は こちらから!

受付時間 9:00 〜 17:30 /土(隔週)・日・祝日除く

提案する男性
提案する女性