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水処理コラム

COLUMN

水処理に関する用語

BODとは何の略?生物化学的酸素要求量が示す“水の汚れ”の指標をわかりやすく解説

生物化学的酸素要求量

「BODが高い」「BOD値が基準を超えている」——

水処理や環境調査の現場でよく使われるこのBODとは、「Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)」の略で、水の中にどれだけ見えない汚れがあるかを示す、水の健康診断指標です。

BODを理解すると、水質の良し悪しはもちろん、「なぜ水が汚れるのか」「どんな処理が必要なのか」まで読み解けるようになります。専門用語に見えて、実は水の状態を理解するための基本が詰まっている指標です。

この記事では、そんなBODの意味と役割をわかりやすく解説します。


👉 この記事でわかること

  • 「BOD」が何の略なのか、英語と日本語の意味を分解して理解できる
  • BODが示す水の汚れとはどんな仕組みなのか
  • BODが使われる場面(下水処理・工場排水・環境モニタリングなど)
  • BODとほかの水質指標(COD・DOなど)との関係

「生物化学的酸素要求量」という言葉の意味を分解

BOD(生物化学的酸素要求量)は、3つの言葉の意味から成り立っています。それぞれを分解して理解すると、BODが何を示す指標なのかがより明確になります。

  • 生物
    ここでいう「生物」とは主に微生物のことを指します。微生物は水中の有機物(汚れ)を分解する役割を持っています。
  • 化学的
    微生物が有機物を分解するときには、酸素を使う「化学反応」が起こります。この反応が「化学的」という言葉で表されています。
  • 酸素要求量
    微生物が汚れを分解する際に必要とする酸素の量を意味します。

つまりBODとは、「微生物が汚れ(有機物)を分解するとき、どれだけ酸素を消費するか」を数値化したものです。BODが高いほど、有機物が多く水が汚れている状態であることを示します。

BOD

BODが使われる主なシーン

BOD(生物化学的酸素要求量)は、水の汚れを数値で把握できる、あらゆる水質管理の基盤となる指標です。ここでは、実際にどんな現場で使われているのかをわかりやすく紹介します。

👉 ポイント
BODは“水の健康診断”ともいえる基礎指標。見た目では判断できない水の状態を定量的に示してくれるため、現場の運転管理から環境保全まで幅広い場面で活用されています。

下水処理場:処理の適正をチェック

    下水処理場

    下水処理場では、微生物が生活排水を適切に分解できているか確認するため、BODは日常管理に欠かせません。BODが高いと処理不足や設備負荷の増加につながり、基準超過の原因にもなります。

工場排水:法令基準の確認

    工場排水

    食品・化学・製造業など、多くの工場では排水基準の中心となる指標がBODです。基準超過は工程の見直しや操業に影響するため、リスク管理上も重要です。また、薬剤調整や設備能力の評価にも利用されます。

河川:環境の“健康状態”を把握

    河川

    自治体や研究機関では、河川の水質悪化を早期に察知するためBODを定期的に測定します。BODが高ければ、有機物や生活排水の影響が強いことを示し、環境の健康状態を把握するうえで重要な指標となります。 河川でBODが使われるのは、水が常に流れ、微生物による分解が進みやすい環境だからです。そのため「生物がどれだけ酸素を消費して汚れを分解したか」というBODが、水質変化をそのまま反映します。

    湖沼・海域

    一方、湖沼や海域のように水が滞留する環境では、微生物では分解しにくい汚れや藻類の影響が大きくなるため、BODよりCODのほうが適した指標になります。

CSR・環境報告:企業の環境配慮を示す指標

企業は環境負荷の削減状況を示すため、CSR報告書でBODデータを公表します。透明性の確保に加え、ESGの観点からも重要性が高まっています。

BODの基準値と水質の目安(一覧表)

水質レベル

BOD値(mg/L)

状況の目安・例

きれいな水

1以下

山間部の清流、飲用水源、河川の上流域など。生態系が安定しており、微生物による分解負荷が非常に小さい状態。

普通(ややきれい)

3程度

都市部の一般的な河川。ある程度の生活排水が流入するが、生態系に大きな悪影響はなく、一般的な水環境レベル。

汚れている水

10以上

下水処理前の生活排水、工場排水、都市部の停滞水など。有機物が多く、悪臭の発生や生物の生息に支障が出ることも。

非常に汚濁している水

20〜50以上

未処理の生活排水、工場排水の流入が多い水域。酸素不足で魚が死滅するレベルに達することもある。

重度汚濁水

100以上

下水道への未接続地域の排水溜まり、排水事故現場など。極めて高濃度で、早急な対策が必要。

BODとほかの指標(COD・DO)の関係

水質を評価する際には、BODだけでなくCODDOといった指標もセットで使われます。それぞれの意味を理解すると、水の状態をより正確に読み解けるようになります。

COD(化学的酸素要求量)とは?

CODは、化学反応によって水中の汚れ(有機物)を分解するのに必要な酸素量を示す指標です。BODが微生物による分解を基準にしているのに対し、CODは化学的な分解を基準にしています。

  • 短時間で測定できるため、工場排水や環境調査でよく使われる
  • BODより高く出ることが多い(化学分解の方が分解対象が広いため)
    ※食品・醸造排水などは微生物が分解しやすいデンプン等が多いため、BODがCODより高くなる「逆転現象」が起きる場合もある

DO(溶存酸素量)とは?

DOは、実際に水の中に溶けている酸素の量を示す指標です。魚やエビなど、水中の生物が呼吸するために欠かせない数値です。

  • DOが高い ⇒ 生物が住みやすい
  • DOが低い ⇒ 生物が窒息しやすく、環境悪化のサイン

BOD・COD・DOの関係性

BODが高い水は、微生物が有機物を分解するために大量の酸素を消費します。その結果、DO(溶存酸素)が減少し、水生生物にとって厳しい環境になります。また、同じく汚れの量を示すCODも高くなる傾向があり、「BOD・CODが高い→DOが減る→魚が住みにくくなる」という流れで、水環境の悪循環が生まれます。

BOD・COD・DOの関係性

BODという言葉の使われ方・表記ゆれ

  • 正式名称:生物化学的酸素要求量
  • 英語表記:Biochemical Oxygen Demand
  • 略称:BOD
  • 測定単位:mg/L
  • 関連略語:COD(化学的酸素要求量)、T-N(全窒素)、T-P(全リン)など

まとめ:BODを理解すると“水の状態”が見えてくる

BOD(生物化学的酸素要求量)は専門用語のように見えますが、本質は「水にどれだけ汚れが含まれているか」を示す、とてもシンプルな指標です。

  • 微生物が汚れを分解する際に必要な酸素量を数値化したもの
  • BODが高いほど「有機物が多く、水が汚れている」状態
  • 下水処理、工場排水、河川の水質調査など幅広い現場で利用
  • COD・DOと組み合わせることで、より正確な水質評価が可能

BODを理解することで、「水がどれだけ汚れているのか」「どんな処理が必要か」「環境への影響はどうか」まで立体的に読み解けるようになります。

もし「BODが下がらない」「処理方法が合っているか不安」などの課題があれば、お気軽にセイスイ工業にお問い合わせください。

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