SS(懸濁固形物)とは?水質管理で必ず出てくる「浮遊物質量」を1から解説
水質検査表や分析結果を見て「SSとは何だろう?」「この数値は問題ないのか?」と感じたことはありませんか。
結論から言えば、SSとは水中に浮遊している粒子状物質の量を示す重要な水質指標です。排水管理・設備保全・水処理コストの最適化に直結するため、意味を曖昧なままにしておくと判断ミスにつながります。
この記事では、ssとは何かから、数値の見方、似た指標との違い、原因と対策までを一気に解説します。
👉 この記事でわかること
- 水質におけるSSの意味と役割、類似指標との違いが理解できる
- SSの数値の正しい見方と判断の考え方
- SSが下がらない原因と、現場での切り分け・対策の進め方
【結論】水質のSSとは「水中に浮遊する固形物の量」
SSの正式名称と意味
SS(Suspended Solids:懸濁固形物)とは、水に溶けず浮遊・懸濁して存在する固形物の総量を示す水質指標です。日本語では「浮遊物質量」「懸濁固形物」と呼ばれ、排水管理や水処理分野では基本中の基本となる項目です。SSに含まれる代表的な物質は以下のとおりです。
- 泥・砂などの無機粒子
- 有機物の微細な破片
- 微生物や汚泥フロック
- 原料や工程由来の微粒子

これらはいずれも水に溶解せず粒子として存在するため、水の濁りを構成する実体そのものと言えます。つまりSSとは、単に「濁っているかどうか」ではなく、その濁りが、どれだけの物質量によって生じているかを数値化した指標であり、水質を定量的に評価するための基礎データです。
※2mm以上の粗大な固形物(夾雑物)は測定前に除去され、SSには含まれません。
なぜSSが重要なのか
SSが重要視される理由は、水処理や設備管理の判断に直結する情報を含んでいるからです。見た目が似ている水でも、SSの値が異なれば、適切な処理方法、設備への負荷、トラブル発生のリスクは大きく変わります。

SSは特に次のような場面で重要な役割を果たします。
- 排水基準・環境規制の管理指標
→基準超過は行政指導や操業リスクにつながる - 沈殿・ろ過・膜処理の性能評価
→SS除去率から運転条件や設備状態を判断できる - 配管詰まり・ろ材閉塞などの予兆把握
→SS上昇は設備トラブルの前兆となることが多い
このようにSSは、現在の水質状態と将来的なリスクを同時に把握できる重要な指標として、水質管理に欠かせません。
SSの単位と数値の見方:高い・低いの判断基準
SSの単位はmg/L
SSは通常mg/L(ミリグラム毎リットル)で表され、水1Lの中にどれだけの浮遊物質(粒子状固形物)が含まれているかを重量で示した数値です。溶解成分は含まれず、あくまで「水中を漂っている粒子」が対象となる点が特徴です。SSは粒子の「量」を示すため、数値が高いほど処理負荷や設備への影響が増大します。数値の目安としては、次のように捉えるとイメージしやすくなります。
- 5mg/L 以下:ほぼ透明で清流に近い状態
- 20~30mg/L:コップに取るとわずかに濁りや浮遊物が見えるレベル(河川環境基準の境界)
- 50mg/L 以上:明確に濁っており底が見えにくい状態、工業用水としての利用限界に近い
- 100mg/L 以上:著しく濁っている状態、排水処理の不調やトラブルが疑われ、放流基準(200mg/L)への警戒が必要なレベル
「高い・低い」は用途で変わる
SSを評価するうえで最も重要なのは、絶対的な正常値が存在しないという点です。同じSS値であっても、用途が違えば意味合いは大きく変わります。
- 排水管理:法令や協定で定められた基準値との比較が最優先
- 生物的処理:処理性能や汚泥挙動を判断するための運転管理指標
- 循環水・設備水:配管詰まり、沈積、腐敗リスクを見極める目安
つまりSSは、数値そのものよりも「どの用途で、何を判断するための数値か」を明確にしたうえで読むことが重要です。この視点を持つだけで、SSの見誤りや過剰対策を防ぐことができます。
SSの測定方法:原理を知ると数値の信頼性が見える
SSの基本的な測定原理
SSは、水中に浮遊している粒子状物質を「重さ」として定量評価する測定方法です。溶解成分は対象とせず、あくまで懸濁している固形物のみを測定します。基本的な測定手順は次のとおりです。
- 一定量の水を孔径1μmのガラス繊維ろ紙(またはメンブレンフィルター)でろ過する
- ろ紙に捕集された粒子を乾燥させる
- ろ過前後のろ紙の重量差を測定する
- 捕集量を水量で割り、mg/Lとして算出する
この方法により、目に見えない濁りの正体を物質量として数値化できます。

測定値がブレやすい原因
SSは測定原理が単純な反面、前処理や操作条件の影響を強く受ける指標です。そのため、数値に違和感がある場合は、設備より先に測定条件を確認することが重要です。特にブレの原因になりやすいのが、次の点です。

- 採水時の攪拌不足により、沈降した粒子を正しく採れていない
- 採水後の放置によって粒子が沈み、実際より低い値になる
- 微細粒子の通過により、ろ紙に捕集されきらない
- 気泡や油分の混入による見かけ上の重量増加
SSと似た水質指標の違い:役割の違いで整理する
SSと濁度(NTU)の違い
SSと濁度は混同されやすい指標ですが、両者は評価している対象が根本的に異なります。SSは水中に含まれる粒子状物質の量を重量で評価する指標であるのに対し、濁度は粒子によって光がどれだけ散乱されるかという見た目の変化を数値化した指標です。
この違いから、微細な粒子が多い場合には濁度が高くてもSSは低くなることがあり、逆に重く沈みやすい粒子が多い場合にはSSが高くても水が比較的透明に見えるケースも珍しくありません。そのため、濁度とSSの値が一致しないこと自体は異常ではなく、それぞれが異なる側面を測っている結果と理解することが重要です。
TSS・MLSS・VSSとの使い分け
SSと一緒に使われることの多い指標として、TSS・MLSS・VSSがあります。これらは名前が似ていますが、測る場所と管理目的が明確に分かれています。
- TSS(Total Suspended Solids)
水中の浮遊物質量を示す指標で、実務上はSSとほぼ同じ意味。主に排水や原水の水質評価に用いられる。 - MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)
活性汚泥槽内の懸濁物量を示し、生物的処理が適切な状態で運転されているかを判断するための管理指標。 - VSS(Volatile Suspended Solids)
SSのうち有機物成分を示す指標で、汚泥の性状や微生物の活性度を把握する目的で使用される。
視点整理
- 水そのものの評価(排水・原水)→SS/TSS
- 処理槽の状態管理(生物的処理)→MLSS/VSS

SSが高くなる原因と切り分け方法
SS上昇の主な原因
SSが高くなる原因は、大きく次の4つの系統に整理できます。重要なのは、どの工程で・どのタイプのSSが増えているかを見極めることです。
現場で使える切り分け手順
SS異常時は、次の順で確認するだけで原因を大きく絞り込めます。この流れを踏むことで、原因不明のまま対策を打つリスクを大幅に減らせます。

- どの工程でSSが上がったか
原水・処理途中・処理後のどこで変化したかを確認 - 濁度・pH・流量・薬注量の変化
同時に変化している指標があれば、原因の手がかりに - 静置して沈降するか
ビーカーで静置し、沈むかどうかを見ることで、粒子の性質を判断 - 一過性か、継続か
一時的な変動か、構造的な問題かを切り分ける
SSを下げる対策と再発防止の考え方
運転・薬注・設備の対策
SS対策は、コストと影響範囲の小さいものから順に検討するのが基本です。
- 滞留時間や返送率など運転条件の見直し
- 凝集剤量やpH最適域の調整
- 沈殿槽やろ過設備の性能改善
- 必要に応じて膜処理の導入
運転条件→薬注→設備の順番で検討するのが、実務的にも合理的です。
SSを管理指標として活かすコツ
SSは単発の数値ではなく、推移を見ることで価値が高まる指標です。
- 採水地点を固定する
- 天候・流量とセットで記録する
- 数値の傾向を管理図で把握する
こうした運用を行うことで、SSはトラブル発生前に異常を察知できる予兆管理指標として活用できます。
まとめ:SSとは水質管理の判断を支える基礎指標
SSとは、水中に浮遊している粒子状固形物の量を示す水質指標であり、水の見た目だけでは分からない「濁りの中身」を定量的に把握するための重要な数値です。mg/Lという単位で表され、数値が高くなるほど水処理への負荷や設備トラブルのリスクが高まります。
この記事のポイントを整理すると、次の4点に集約できます。
- SSは「水中にどれだけの固形物が含まれているか」を示す物質量の指標であり、濁度とは役割が異なる
- SSに絶対的な正常値はなく、用途ごとに評価基準が変わるため、数値の背景を踏まえた判断が必要
- 測定値は採水や測定条件の影響を受けやすく、数値の信頼性確認が欠かせない
- SSは推移を管理することで、水質悪化や設備トラブルの予兆を捉えられる指標である
SSを正しく理解しても、実際の現場では思うように数値が下がらない、原因が特定できず対応に悩むことも少なくありません。そうしたときは、無理に一人で抱え込まず、排水・水処理の現場に長く携わってきたセイスイ工業にご相談ください。現場の状況を一緒に整理しながら、最適な解決策を共に考えていきます。
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