巨大な地下神殿に潜入!首都圏を水害から守る「首都圏外郭放水路」にいってみた!
2024年の夏、日本全国で異常気象による大雨が相次ぎ、記録的な集中豪雨が発生しました。そんな中、埼玉県春日部市の地下50メートルに位置する「首都圏外郭放水路」が、洪水対策の重要な施設として注目を集めています。この放水路は全長6.3kmにわたる世界最大級の地下放水路で、まるで古代のパルテノン神殿のように巨大な柱が並び、その姿から「防災地下神殿」とも呼ばれています。
10月22日、セイスイ工業のスタッフとして、首都圏外郭放水路を実際に訪れる機会があり、その壮大さに圧倒されました。今回は、その見学体験をもとに、首都圏外郭放水路の魅力をお伝えします。
首都圏外郭放水路とは?
「首都圏外郭放水路」は、台風や大雨で増水した河川の水を地下に引き込み、一時的に貯めた後、江戸川へ排水することで首都圏の浸水被害を防ぐ重要な役割を担っています。正式には「外郭放水路」と呼ばれています。この施設は、直径10メートルのトンネルで構成され、毎秒最大200㎥の水を排出する能力を持つ強力なポンプシステムを備えています。
首都圏の水害と外郭放水路の歴史
首都圏は、昔から洪水や水害に悩まされてきました。江戸時代には、利根川や荒川が度々氾濫し、大きな被害をもたらしていました。高度経済成長期に入ると都市化が進み、さらに水害リスクが高まることに対応するため、1980年代から外郭放水路の建設が検討され始めました。そして1993年に着工し、2006年に全区間が完成。現在、首都圏を洪水から守る重要な役割を担っています。
江戸川河川事務所ホームページ(https://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00402.html)
首都圏外郭放水路の仕組み
この施設は全長63kmのトンネルと5つの巨大な調圧水槽で構成され、洪水時には増水した河川の水を引き込み、地下で一時的に貯留します。その後、排水機場にある航空用エンジンを転用した強力なポンプ4台で江戸川に排水します。
「首都圏外郭放水路」は注目の見学スポット
首都圏には数多くの水処理関連の見学スポットがありますが、その中でも「首都圏外郭放水路」は特に注目の場所です。テレビや雑誌で取り上げられることも多く、私たちセイスイ工業のスタッフとしても以前から興味を持っていました。水処理を専門とする企業に勤める者として、一度は訪れてみたいスポットでした。防災の最前線で活躍するこの施設を目の当たりにし、その規模と役割に深く感動しました。
映画のような「地下神殿」の空間
この場所は「翔んで埼玉」「映像研には手を出すな」などの映画やドラマのロケ地としても有名で、多くの観光客が訪れます。私たちが見学した日も平日にもかかわらず、約50人の見学者が集まり、外国人観光客の姿も見られました。
地下神殿エリアは一部制限があるものの、広いエリアを自由に歩き回ることができました。
個人的に、私は『指輪物語』シリーズのファンでもあり、映画に登場する地下迷宮を思わせる巨大な空間に大興奮しました。調圧水槽の中には500トンもの重さがある柱が整然と並び、その光景はまさに映画のワンシーンのようでした。今回参加した「地下神殿コース」でもその迫力を十分に味わえましたが、より深く体験できる他のコースも非常に魅力的でした。
見学コースの紹介
首都圏外郭放水路では、以下のような4つの見学コースが用意されています。
- 地下神殿コース(所要時間55分、料金1,000円)
地下神殿エリアを気軽に見学できる定番コース。 - ポンプ堪能コース(所要時間100分、料金2,500円)
巨大ポンプの内部構造や仕組みを詳しく学べるコース。 - 立坑体験コース(所要時間110分、料金3,000円)
高所恐怖症の方は要注意!立坑からの圧倒的な眺めを楽しめるスリル満点のコース。 - インペラ探検コース(所要時間110分、料金4,000円)
巨大なインペラ(羽根車)の内部を間近で観察できる、技術好きにはたまらないコース。
見学会について詳しくは公式WEBサイトをご参照ください。
訪れる価値のある場所
首都圏外郭放水路は、防災施設としての機能はもちろんのこと、その壮大なスケールや美しい空間が訪れる人々に強い印象を残します。水処理技術の発展や、防災対策の重要性を実感する一方で、映画のような幻想的な空間を堪能できる、非常に貴重な体験でした。見学希望の際は、公式ウェブサイトで事前に予約が必要ですので、ぜひ一度足を運んでみてください。
首都圏外郭放水路 外観
首都圏外郭放水路
中央操作室
シールドマシン