激しい雨、流れない水。雨が降るたび都市が止まるーーバンコクで見た都市型スコールの脅威と排水インフラのリアル

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バンコクでの体験記!突然の豪雨、動かなくなった街
セイスイ工業のスタッフがタイ・バンコクに到着したのは、まさに記録的な豪雨がニュースになるほどのタイミング、2025年5月10日午後のことでした。
この日、バンコクでは集中豪雨による道路の冠水や倒木が発生し、現地ニュース(Newsclip記事)でも「翌11日朝になっても水が引かなかった」と報じられています。
スタッフは電車での移動だったため難を逃れましたが、乗り込んでくる現地の人々の多くが、ズボンがひざ上までびしょ濡れという状態。

一目で「街が冠水した」という深刻さが伝わってきました。歩道も車道も水浸しになり、都市全体が一時的に機能を止めてしまう、まさに“止まる街”を目の当たりにしました。
毎日がスコール、毎日がびしょ濡れ
滞在中は雨季のまっただ中ということもあり、毎日のようにスコールのような局地的豪雨に見舞われました。
朝は雨が降っていなくても、昼すぎに突然雷鳴が響き、わずか数分〜数十分のうちに視界が白くなるほどの大雨。止んだかと思えばまた降る、不安定な空模様が続きます。
靴は連日びちょびちょ、ホテルに戻っても湿気で乾かず、次の日もしっとりしたまま。。。ただ、「どうせ今日も濡れる」と割り切って、水たまりだらけの街を歩き回ったのも、不便さも含めて、貴重な現地体験のひとつとなりました。
タイのスコールと湿度のコンボ、侮れません。。。
また、現地に滞在中、セイスイスタッフは「この状況、日本の緊急排水対応で見た景色と重なるな」と感じました。都市部でのスコール対策には、既存の排水インフラだけでなく、柔軟に対応できる仮設設備の必要性も感じさせられる体験でした。


インフラ整備が追いつかない現実
実はバンコクでは、こうした都市型スコールによる洪水や浸水が社会問題になっています。
国立環境研究所によると、バンコクは地形的に低地に位置しているうえに、排水インフラの未整備・ごみの堆積によって排水能力が低下。わずか1時間で60mmの雨が降ると、ごみで塞がれた排水路により水位が40〜50cmも上昇することが報告されています(出典:国立環境研究所)。

バンコクを襲う“都市型スコール”とは?

https://newsclip.be/thai-news/thai-local/10789
「都市型スコール」とは、都市部で局地的に発生する短時間かつ強烈な集中豪雨のことを指します。特に近年は、気候変動の影響もあり、アジア諸国を中心にその頻度と規模が増しており、バンコクも例外ではありません。
タイ・バンコクでは、5月から10月にかけて雨季が続き、午後から夕方にかけて激しいスコールが頻発します。空が晴れていたかと思えば、突如として真っ黒な雲が広がり、数十分間にわたってバケツをひっくり返したような雨が降る、そんな天気が日常的に繰り返されます。
このスコールが都市に与える影響は深刻です。たとえば、道路はあっという間に冠水し、バイクや車が立ち往生する光景も珍しくありません。主要な交差点や鉄道の駅周辺では、排水が追いつかず、歩行者がひざ上まで水に浸かりながら移動することも。排水インフラの未整備や、側溝のごみによる詰まりも重なり、水はけの悪さがさらなる被害を引き起こしています。
また、こうしたスコールによって通勤・通学・物流が滞ることで、都市機能全体が一時的に停止してしまうケースもあります。つまり、バンコクにおけるスコールは、単なる“雨”ではなく、経済活動や日常生活に直接打撃を与える社会課題となっているのです。
日本と重ねて考える、水インフラのあり方
バンコクのスコールによる冠水被害は、決して他人事ではありません。日本でも、近年は局地的な集中豪雨が増加しており、都市部・地方を問わず、排水トラブルが深刻化しています。
こうした異常気象に対しては、都市の排水設計やインフラの再整備が求められますが、現実には老朽化した下水施設の更新が追いつかず、抜本的な対策が難しい地域も少なくありません。
そのなかで注目されているのが、仮設型の水処理プラントです。たとえばセイスイ工業では、災害発生時や施設の一時停止時でも対応可能な仮設水処理プラントを全国で展開しています。
このような「動かせる処理システム」の導入により、処理能力の補完や緊急対応が可能となり、従来の恒久施設だけに依存しない柔軟な都市水害対策が進みつつあります。
都市の水インフラにおいて、これからは守るだけでなく、災害時に連携して即座に展開できる仮設処理体制、その“可動性”という視点が必要なのかもしれません。

バンコクで考えた、「見えないインフラ」の大切さと旅の記憶
今回のタイ・バンコク滞在では、都市型スコールによる浸水や交通マヒといった「水の問題」を身をもって体感しました。普段は当たり前のように思える排水や下水処理といった水インフラの存在が、実は都市の機能を支える“縁の下の力持ち”であることを実感しました。
水は目に見えますが、水を処理し、流す仕組みはほとんどが地中に隠れており、トラブルが起きない限り人々の意識にのぼることはありません。だからこそ「見えないインフラ」として、都市の安全や衛生を守るためにもっと注目されるべき社会インフラだと感じました。
そんな学びのあった今回のタイ・バンコク旅ですが、もちろん観光も楽しみました!現地の屋台で食べた本場のタイ料理や、寺院巡り、市場での買い物も、スコールに濡れた街の風景も、旅の一部として、忘れられない思い出となりました。
スコールが降るたびに、都市の限界と対策の必要性を思い知る一方で、それでも明るく元気に暮らす人々のたくましさにも触れられた旅でした。この体験を、今後の水処理の現場や提案にも活かしていきたいと思います!
