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台風接近!その備えは本当に万全?近年の想定外の豪雨に備える水害・浸水対策

台風 水害

本格的な台風シーズンを迎え、皆様の事業所でも対策を進めていることでしょう。しかし、その「いつもの備え」は、近年の想定外の豪雨の前で、本当に『万全』と言えるでしょうか?

毎年のように「観測史上初」という言葉が聞かれる今、過去の経験則はもはや通用しません。台風がもたらす水害や浸水の被害は、その規模も質も大きく変化しています。単なる河川の氾濫だけでなく、都市部や事業所では排水能力の限界による内水氾濫や、下水の逆流といった、より複雑で深刻な被害も頻発しているのです。

本記事では、なぜ従来の備えだけでは危険なのか、その理由を最新の気象状況から紐解きます。その上で、大切な事業と従業員を守るために「今、本当にやるべき水害・浸水対策」を網羅的に解説します。この記事が、御社の防災体制を万全へとアップデートする一助となれば幸いです。

なぜ、あなたの備えは「時代遅れ」かもしれないのか?~近年の豪雨、3つの特徴~

毎年のように行っている台風対策。しかし、その内容は過去の経験則や数年前に作成したマニュアルのままになっていないでしょうか。近年の気候変動の影響により、雨の降り方は私たちの想定をはるかに超えて変化しています。従来の備えが通用しづらくなっている背景には、現代の豪雨が持つ3つの大きな特徴があります。

【特徴1】激甚化する雨量―「線状降水帯」の脅威

天気予報で頻繁に耳にするようになった「線状降水帯」。これは、発達した積乱雲が次々と発生して帯状に連なる現象で、同じ場所で数時間にわたり、これまでの常識をはるかに超える雨が降り続きます。各地で「観測史上1位」の記録を更新するような豪雨は、河川の急激な増水や土砂災害の危険性を一気に高めます。

【特徴2】予測困難な「ゲリラ豪雨」―対策の猶予時間が“ゼロ”に

数日前から進路が予測できる台風とは異なり、局地的に積乱雲が急発達して突発的に発生するのが「ゲリラ豪雨」です。その名の通り、予測が非常に難しく、気づいた時にはすでに危険な状況というケースも少なくありません。土嚢(どのう)を積んだり、重要書類を避難させたりといった対策を講じるための時間的猶予がほとんどないのが、この豪雨の最も恐ろしい点です。

【特徴3】頻発する「内水氾濫」―事業所を襲う都市型水害

そして、これら激甚化・局地化する豪雨が引き起こす最も注意すべき現象が「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。これは、街の排水能力(下水道や側溝)が、短時間の猛烈な雨を処理しきれずに水が溢れ出す現象を指します。道路の冠水やマンホールからの水の噴出、建物への浸水など、事業活動に直接的な被害をもたらすこの都市型水害のリスクは、全国で増大しています。この「内水氾濫」のリスクと対策については、次章で詳しく解説します。

豪雨 3つの特徴

【基本知識】あなたの事業所を襲う「2種類の浸水被害」

効果的な対策を立てるためには、まず「敵」である浸水被害の種類と性質を正しく知ることが不可欠です。「浸水」と一言で言っても、その原因と特徴によって大きく2つのタイプに分けられます。自社の立地や環境が、どちらのリスクに晒されているのかを把握しましょう。

外水氾濫(河川の氾濫)

「外水氾濫」とは、大雨によって河川の水位が上昇し、堤防を越えたり、堤防そのものが決壊したりして起こる、大規模な浸水被害のことです。ニュース映像などで、街全体が水に浸かっているような甚大な被害は、この外水氾濫によるものが多くを占めます。

外水氾濫

特徴

  • 広範囲にわたり、建物の倒壊やライフラインの寸断など、深刻な被害をもたらす。
  • 一方で、自治体が発行するハザードマップで浸水想定区域や深さが示されているため、事前にリスクを把握しやすい。

事業所が大きな河川の近くにある場合は、まずハザードマップで自社が浸水想定区域に含まれているかを確認することが、対策の絶対的な第一歩となります。

内水氾濫(都市型水害)

内水氾濫

前章で解説した「ゲリラ豪雨」などによって、今、最も警戒が必要とされているのが、この「内水氾濫」です。「川の近くではないからうちは安全」という思い込みが、最も危険な事態を招きます。

「内水氾濫」とは、短時間に降った猛烈な雨を、地域の排水能力(下水道や側溝など)が処理しきれず、マンホールや排水溝から水が溢れ出す浸水被害です。アスファルトやコンクリートで地面が覆われている都市部や工業地帯で特に発生しやすいため、「都市型水害」とも呼ばれます。

特徴

  • 河川から離れた場所でも、どこでも起こりうる。
  • マンホールから水がゴボゴボと噴き出す。
  • 排水溝から下水(汚水)が逆流し、衛生環境の悪化や設備の腐食といった二次被害をもたらす。
  • 局所的かつ突発的に発生するため、予測が非常に難しい。

この「内水氾濫」は、事業活動に直接的かつ深刻な影響を及ぼす、非常に厄介な災害です。

【実践編】すべての事業所で共通する「水害・浸水対策」7つの基本チェックリスト

自社が抱えるリスクの種類を認識できたら、次はいよいよ具体的な行動計画です。以下の7つのチェックリストは、業種や規模を問わず、すべての事業所がまず取り組むべき、防災の土台となる重要な対策です。台風シーズンが本格化する前に、すべて実施できているかを確認しましょう。

1. ハザードマップの再確認とリスクの言語化

    ハザードマップ

    自治体が公表している最新のハザードマップで、自社の浸水想定の深さ(m)を確認するだけでなく、避難経路や周辺の危険箇所も把握します。「最大〇m浸水する可能性があるため、1階の重要設備は〇〇へ移動させる」というように、具体的にして社内で共有することが重要です。

2. BCP(事業継続計画)の策定と定期的な見直し

    BCP

    浸水被害が発生した際に「何を」「誰が」「いつ」行うのかを定めた行動計画です。被害レベルに応じた複数のシナリオを用意し、最低でも年1回は机上訓練や避難訓練を行い、計画の実効性を確認・改善しましょう。

3. 敷地内の排水経路(側溝・排水溝)の点検と清掃

    点検・清掃

    内水氾濫を防ぐ最も基本的で効果的な対策です。敷地内の側溝や排水溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、排水能力は著しく低下します。特に、落ち葉が増える秋の前など、定期的な清掃を計画に盛り込みましょう。

4. 止水板・土のうの準備と設置計画

    準備・設置計画

    建屋の出入り口や地下への入り口など、浸水の可能性がある箇所を守るための物理的な対策です。いざという時に「どこに」「どうやって」設置するのかを計画し、事前に訓練しておくことで、被害を大幅に軽減できます。

5. 重要設備・データの物理的保護

    データ保護

    事業の心臓部であるサーバーや制御盤、高価な生産設備などを守る対策です。サーバーや重要書類は可能な限り高層階へ。動かせない設備は、かさ上げや防水カバーの設置を検討します。データのバックアップは、物理的に離れた場所やクラウド上に保管するのが鉄則です。

6. ライフライン(電源・通信・備蓄)の確保

    ライフライン確保

    停電に備えた非常用電源(発電機)や、通信が途絶した場合の連絡手段(衛星電話・無線機)を確保します。また、従業員の安全のため、最低3日分の水、食料、簡易トイレなどの備蓄も必須です。

7. 従業員への教育と避難・安否確認ルールの周知徹底

    従業員教育

    ハード面の対策と同じくらい重要なのが、従業員の防災意識です。災害時の連絡網や安否確認の方法、避難ルールなどを明確に定め、訓練を通じて全従業員が正しく認識・行動できる状態を作りましょう。

【専門領域】より高度な対策へ、あなたの事業所に潜む特有のリスクは?

上記の基本対策は、あらゆる事業所にとって不可欠な防災の基礎体力です。しかし、それだけでは守りきれない特有のリスクが、あなたの事業所には潜んでいるかもしれません。事業を確実に守り抜くためには、より専門的な領域に踏み込む必要があります。

CASE1:工場・製造業の場合

精密な生産ライン、高価な機械設備、そして厳重な管理が求められる化学薬品。浸水は、これらの資産価値を失わせるだけでなく、サプライチェーン全体に多大な影響を及ぼします。汚水による設備の汚染や腐食を防ぎ、一日も早くラインを復旧させるための対策とは?

CASE2:下水処理場などインフラ施設の場合

地域の衛生と安全を担う重要インフラが機能停止に陥れば、その影響は計り知れません。想定をはるかに超える流入量にいかに対応し、場内設備の浸水を防ぐか。万が一、機能が停止した場合でも、地域への影響を最小限に抑えるためのBCP(事業継続計画)とは?

【緊急時】自社だけでの対応が困難なときに頼れるプロの存在

万が一被災した場合、自社だけでの復旧には限界があり、事業再開のスピードは専門家の支援が鍵を握ります。

私たちセイスイ工業は、水のプロとして緊急時の水害復旧を強力にサポートします。

▶︎ 事業を止めない「仮設水処理」

排水処理施設が被災し生産が停止した場合でも、トラックで運べる「仮設水処理プラント」を迅速に設置。施設の本格復旧を待たずに生産を早期再開させ、事業停止による損失を最小限に抑えます。

▶︎ その他、以下の復旧作業もワンストップで対応

  • 大容量ポンプによる緊急排水
  • 強力吸引車による汚泥除去
  • 被災設備の洗浄・修理

もしもの時は、私たちセイスイ工業にご相談ください。

まとめ:『想定外』を『想定内』に変える、はじめの一歩

現代の防災で最も重要なのは、「起こるかもしれない『想定外』を、いかにして『想定内』に変えるか」という視点です。

過去の経験則が通用しない今、起こりうる事態を想定した『計画』と『準備』こそが事業を守ります。そのはじめの一歩として、まずは本記事の「7つの基本チェックリスト」から実践し、自社の防災体制を見直してみてください。

より専門的な対策の策定や、万が一の緊急対応でお困りの際は、決して抱え込まずに私たち専門家にご相談ください。平時の備えから緊急時の復旧まで、セイスイ工業が皆様の事業継続を全力でサポートします。

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災害時排水処理システムのご紹介

水害・災害現場で汚泥を短期間で水と固形物に分離し、廃棄物の総量削減、有害物の不溶化、経済性の向上などを可能にした工法です。水害による含油排水処理で廃棄物量を10,000立米から67立米まで減容化し処理コストを80%削減した事例を収録。

下⽔汚泥処理システム

下水処理場における既設設備の改修、更新工事や災害による被災で大量発生する汚泥を脱水機(遠心分離機)を用い、短期間で水と固形物に分離する工法です。「消化槽汚泥処理」で廃棄物量を70%削減した事例を収録しました。

「自治体の水害対策」に関するアンケート調査

自治体の水害対策「昨今相次ぐ水害を受け、災害時の排水処理への意識が高まっている」と自治体職員の 85.5% が回答

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