硝化脱窒とは?アンモニア態窒素を除去する仕組みと運転管理のポイント
排水処理で「硝化脱窒」という言葉を見たものの、硝化と脱窒の違いや、なぜアンモニア態窒素・T-Nの除去に関係するのか分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
硝化脱窒は、微生物の働きによってアンモニア態窒素を硝酸性窒素へ変え、さらに窒素ガスとして除去する処理方法です。ただし、硝化と脱窒では必要な条件が異なり、水温、pH、DO、BOD、流入負荷などの管理が不十分だと、処理が安定しない場合があります。
この記事では、硝化脱窒の基本的な仕組み、硝化・脱窒それぞれの条件、運転管理で確認すべきポイントを解説します。
👉 この記事でわかること
- 硝化脱窒の仕組みと、硝化・脱窒の違い
- アンモニア態窒素やT-Nを除去する流れ
- 硝化脱窒が進みにくい原因と運転管理の確認ポイント
目次
硝化脱窒とは?窒素を除去する基本的な仕組み
硝化脱窒とは、排水中の窒素成分を微生物の働きで処理し、最終的に窒素ガスとして除去する方法です。アンモニア態窒素やT-Nが高い排水では、代表的な窒素除去方法として検討されます。
ただし、硝化と脱窒では必要な酸素条件や微生物の働きが異なるため、それぞれに適した環境を整えることが重要です。
硝化脱窒の流れ
まず硝化によって、アンモニア態窒素を亜硝酸性窒素、硝酸性窒素へ変化させます。その後、脱窒によって硝酸性窒素を窒素ガスに変え、大気中へ放出します。微生物の反応で形を変えながら除去する仕組みです。
硝化と脱窒の違い
硝化は、酸素がある好気条件で進む反応です。硝化菌がアンモニア態窒素を亜硝酸性窒素、硝酸性窒素へ変化させます。一方、脱窒は酸素が少ない無酸素条件で進み、脱窒菌が硝酸性窒素を窒素ガスへ変化させます。安定処理には、DO、pH、水温、BOD、滞留時間などの管理が必要です。

アンモニア態窒素・T-Nとの関係
アンモニア態窒素は、T-Nを構成する窒素成分の一つです。T-Nには、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素、有機性窒素なども含まれます。アンモニア態窒素が下がっても、硝酸性窒素が残れば、T-Nとしては十分に下がらない場合があります。窒素除去を検討する際は、アンモニア態窒素だけでなく、T-Nや関連項目を確認し、現場条件に合った処理計画を立てることが重要です。
硝化の仕組み|アンモニア態窒素を硝酸性窒素へ変える工程
硝化とは、微生物の働きでアンモニア態窒素を亜硝酸性窒素、硝酸性窒素へ変化させる工程です。窒素除去の前段として重要ですが、運転条件の影響を受けやすく、好気条件、DO、pH、水温、流入負荷、汚泥の状態を確認する必要があります。
硝化菌が働く条件
硝化を担うのは、アンモニア態窒素を亜硝酸性窒素へ変える菌や、亜硝酸性窒素を硝酸性窒素へ変える硝化菌です。十分な酸素がある環境で働きます。
硝化菌は一般的な有機物分解菌より増殖が遅く、環境変化の影響を受けやすい微生物です。急な高濃度排水の流入や、水温・pHの不適で処理が不安定になります。
好気条件とDO管理の重要性
硝化には好気条件が必要です。DOが不足すると、硝化菌が十分に働けず、アンモニア態窒素が残りやすくなります。
ただし、曝気を増やせば必ず解決するわけではありません。曝気量、撹拌状態、汚泥濃度、流入負荷のバランスが合わないと、処理槽が安定しにくくなります。アンモニアが下がらない場合は、DOだけでなく、pH、水温、BOD、SS、汚泥管理も確認します。
硝化が進みにくくなる主な原因

原因には、水温低下、pHの不適、DO不足、急な負荷変動、汚泥状態の悪化、阻害性物質の流入などがあります。冬場や高濃度排水の流入時は、既設設備だけでは硝化が追いつかない場合があります。
こうした場合は、水質データと運転条件を整理し、既設設備の運転調整で対応できるのか、一時貯留や仮設水処理で負荷を分散する必要があるのかを判断します。
脱窒の仕組み|硝酸性窒素を窒素ガスとして除去する工程
脱窒とは、硝化で生成された亜硝酸性窒素や硝酸性窒素を、微生物の働きで窒素ガスへ変える工程です。硝化でアンモニア態窒素が下がっても水中に窒素成分は残るため、T-Nを下げるには脱窒による除去が重要です。
脱窒は酸素が多い環境では進みにくく、無酸素条件、有機物量、滞留時間、pH、水温、汚泥の状態を確認しながら管理します。
脱窒菌が働く条件
脱窒を担うのは、硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を利用して窒素ガスへ変える脱窒菌です。酸素が少ない無酸素条件で働きやすくなります。
処理槽内の酸素が多すぎると、脱窒菌は硝酸性窒素より酸素を利用しやすくなり、反応が進みにくくなります。そのため、硝化に必要な好気条件と、脱窒に必要な無酸素条件を分けて考えることが重要です。
無酸素条件と有機物の必要性
一般的な生物脱窒では、無酸素条件に加えて、有機物などの電子供与体が必要です。脱窒菌は有機物を利用して硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を窒素ガスへ変化させるため、BODが不足すると脱窒が十分に進まないことがあります。
滞留時間が短い場合や撹拌不足も、反応が安定しにくくなる原因です。硝化でアンモニア態窒素が下がっても、硝酸性窒素やT-Nが残る場合は、脱窒工程の条件を確認します。

一般的な生物脱窒では、無酸素条件に加えて、有機物などの電子供与体が必要です。脱窒菌は有機物を利用して硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を窒素ガスへ変化させるため、BODが不足すると脱窒が十分に進まないことがあります。
滞留時間が短い場合や撹拌不足も、反応が安定しにくくなる原因です。硝化でアンモニア態窒素が下がっても、硝酸性窒素やT-Nが残る場合は、脱窒工程の条件を確認します。
脱窒が進みにくくなる主な原因
原因には、DOが高い、BOD不足、滞留時間不足、pHや水温の不適、汚泥状態の悪化、流入負荷の変動などがあります。
特に、アンモニア態窒素は下がっているのにT-Nが下がらない場合は、脱窒が進んでいない可能性があります。この場合は、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、BOD、DO、pH、水温、流量、処理時間を整理し、条件を見直します。
硝化脱窒の運転管理で確認すべきポイント
硝化脱窒を安定させるには、硝化と脱窒それぞれに必要な条件管理が重要です。硝化では酸素が必要ですが、脱窒では酸素が少ない環境が必要です。pH、水温、DO、BOD、流入負荷、汚泥の状態で反応の進み方が変わるため、処理水の数値だけでなく運転条件も確認します。
硝化脱窒が必要になりやすい排水
硝化脱窒は、アンモニア態窒素やT-Nが高い排水で検討される処理方法です。食品工場、畜産排水、し尿系排水、下水処理、汚泥処理、浸出水、化学系排水などでは、窒素成分が多く含まれる場合があります。
アンモニア態窒素が高い排水では、硝化で硝酸性窒素へ変化させ、脱窒で窒素ガスとして除去します。ただし、性状や処理期間によっては、ほかの処理方法との組み合わせも検討します。
水温・pH・DO・BOD・負荷変動の確認
硝化脱窒では、水温、pH、DO、BOD、流入負荷の確認が重要です。水温が低いと微生物の働きが弱くなり、pHが適正範囲から外れる場合も、硝化や脱窒が不安定になります。
DOは硝化では不足しないように、脱窒では高くなりすぎないように管理します。BOD不足は硝酸性窒素やT-Nが残る原因になり、流入負荷の急変も処理水質悪化につながります。
仮設で硝化脱窒を検討する際の注意点
仮設で窒素成分の低減を検討する場合は、処理期間、立ち上がり期間、流量変動、設置スペースなどを確認します。硝化菌や脱窒菌を利用する処理は、すぐに安定するとは限らないため、短期間の処理では、必要な水質や処理量に対して現実的な方法を検討することが重要です。
セイスイ工業では、アンモニア態窒素、T-N、BOD、pH、流量、処理期間、設置条件を整理し、仮設水処理によって処理能力を補える可能性があるかを検討できます。既設設備で窒素除去が安定しない場合や、一時的に処理能力を補いたい場合は、早めに水質条件を確認することが重要です。

まとめ:硝化脱窒は仕組みの理解と条件管理が重要
硝化脱窒は、アンモニア態窒素を硝酸性窒素へ変え、最終的に窒素ガスとして除去する処理方法です。アンモニア態窒素やT-Nが高い排水では有効な方法ですが、硝化と脱窒では必要な条件が異なります。
硝化では好気条件やDO管理が重要で、脱窒では無酸素条件や有機物の確保が必要です。水温、pH、DO、BOD、流入負荷、汚泥状態などが合わないと、アンモニア態窒素やT-Nが十分に下がらない場合があります。
セイスイ工業では、現場の水質データや処理期間、設置条件を確認したうえで、既設設備で対応できるのか、仮設水処理によって窒素成分の低減を補える可能性があるのかを検討できます。お気軽にご相談ください。





