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水処理コラム

COLUMN

排水処理

排水が止まれば工場も止まる。製造業BCPで見落とされる排水処理停止リスク

工場BCP 排水処理

工場のBCPでは、非常用電源、原材料の確保、生産設備の復旧が重視されがちです。しかし、見落とされやすいのが排水処理設備の停止リスクです。

たとえ生産ラインが動いても、排水を処理できなければ操業は続けられません。調整槽やピットが満水になれば排水の行き場はなくなり、基準を満たさない水をそのまま流すこともできません。つまり、排水が止まることは、工場が止まることにつながります。

本記事では、製造業BCPで見落とされやすい排水停止リスクと、本設復旧まで生産ラインを守るための仮設水処理プラントの活用について解説します。


👉 この記事でわかること

  • 「排水が止まると工場も止まる」理由
  • 排水処理設備が停止した場合に発生する法的・物理的リスク
  • 操業停止を避けるために事前に検討すべき排水BCPと仮設水処理の備え

製造業BCPの盲点。「作れる状態」でも、排水できなければ操業は続けられない

非常用電源・防災倉庫だけでは、工場の操業継続は守れない

工場の操業継続には、生産設備や電源だけでなく、製造工程から出る排水を処理できることが欠かせません。

電気が復旧し、生産ラインが動かせる状態になっても、排水処理設備が止まっていれば排水の行き場がなくなります。排水処理は普段目立ちにくい設備ですが、停止すれば工場全体の操業を制限する要因になります。製造業BCPでは、「作れるか」だけでなく「排水できるか」まで確認することが重要です。

排水処理が止まったときに起きる3つのリスク

排水処理設備が停止すると、主に次のリスクが発生します。

  • 調整槽やピットが満水になり、排水を受けられなくなる
  • 排水基準を満たせず、放流や下水道への排除ができなくなる
  • 生産ラインを動かせても、排水先がないため操業を再開できない

排水処理の停止は、単なる設備トラブルではありません。処理できない状態が続けば、生産量の制限や一時停止につながり、納期遅延や取引先への影響も広がります。

排水処理が止まったときに起きる3つのリスク

水質汚濁防止法・条例の壁。災害時でも「未処理のまま流す」はできない

排水処理設備が止まったからといって、未処理の排水をそのまま流すことはできません。工場排水には、水質汚濁防止法や自治体の条例、下水道排除基準などが関係します。

災害時や事故時であっても、排水基準を満たさない水を放流すれば、行政からの改善命令や排出水の排出・施設使用の一時停止命令、周辺環境への影響が問題になる可能性があります。そのため、復旧までの間も、一時貯留・外部処理・仮設設備による処理などの対応が必要です。

「法的に流せない状態」は、そのまま「操業を続けられない状態」につながります。

多くの工場で「排水BCP」が後回しになる理由

BCPはあっても、排水処理まで具体化されていない

工場のBCPでは、地震や水害、停電時の対応を定めていても、排水処理設備が止まった場合の対応まで具体化できていないケースがあります。

実際、セイスイ工業の2021年調査では、製造業の工場経営者104名のうち72.1%がBCPを文書として残していないと回答しています。また、BCP対策が十分だと感じている割合も10.6%にとどまっています。BCPそのものが十分に整備されていない中で、排水処理まで踏み込んで備えられている工場は、さらに限られると考えられます。

排水処理は“止まってから気づく設備”になりやすい

止まってから気づく設備

排水処理設備は、平常時には目立ちにくい設備です。生産設備や電源、情報システムに比べると、BCP上の優先順位が下がりやすい傾向があります。しかし、排水処理が止まれば、製造工程から出る排水を受けられません。生産設備が無事でも、排水先がなければ操業は続けられないのです。排水処理は裏方の設備ではなく、工場を動かし続けるための重要インフラとして考える必要があります。

本設復旧まで数週間〜数カ月。その間の休業損失も大きい

排水処理設備が大きく損傷した場合、本設復旧に数週間から数カ月かかることもあります。その間、操業を止めれば、売上減少だけでなく、納期遅延、製品廃棄、取引先への影響など、損失は広がります。

休業損失の目安=1日あたりの粗利損失×停止日数+廃棄・搬出費+復旧遅延による追加費用

検討すべきなのは「本設復旧にかかる費用」だけではありません。工場を止めた場合、どれだけの損失が出るのかと比較して考えることが重要です。

生産ラインを止めない「つなぎ」としての仮設水処理プラント

本設復旧までの間、排水処理能力を外部から補う

排水処理設備が停止しても、すぐに本設設備を復旧できるとは限りません。部品調達や工事、行政確認などにより、復旧まで数週間から数カ月かかる場合もあります。

その間の選択肢となるのが、仮設水処理プラントです。仮設水処理プラントは、現場の排水状況に合わせて、固液分離、pH調整、油分離、汚泥処理、異物除去などを組み合わせます。一時的な設備でありながら、本設復旧まで操業をつなぐ代替インフラとして活用できます。

重要なのは、排水の「出口」を確保すること

仮設水処理で重要なのは、機械を置くことだけではありません。処理した排水をどう扱うかまで設計する必要があります。主な選択肢は、次のとおりです。

  • 基準を満たして放流する
  • 処理水を工業用水として再利用する
  • 場内循環で一時的にしのぐ
  • 放流が難しい水は、減容化して搬出する

排水の性状や放流先、工場の操業条件によって、最適な方法は変わります。だからこそ、仮設水処理は「機械の手配」ではなく、排水の出口を確保する設計として考えることが重要です。

排水の「出口」確保

事例:排水設備更新中も2カ月間、生産ラインを止めずに稼働

排水BCPで事前に決めておくべき確認項目

まず把握すべきは「満水までの猶予時間」と「1日排水量」

排水BCPで最初に確認すべきなのは、排水をどれだけ受けられるかです。調整槽やピットに余裕があれば、すぐに操業停止とはなりません。一方で、短時間で満水になる場合は、早急な代替処理が必要です。事前に確認しておきたい項目は、次のとおりです。

  • 1日あたりの排水量
  • 最大流量
  • 調整槽・ピットの容量
  • 満水までの時間
  • 停止できる工程/止められない工程
  • 排水の性状:pH、SS、BOD、COD、油分、有害物質など

特に、満水まで何時間あるかを把握しておくと、緊急時の判断がしやすくなります。

仮設水処理を組むために必要な現場条件

仮設水処理プラントを導入するには、排水の情報だけでなく、現場条件の確認も必要です。設備を置くスペースがあるか、大型車両が入れるか、必要な電源を確保できるかによって、組める処理フローは変わります。事前に整理しておきたい項目は、次のとおりです。

  • 設置スペース、搬入経路
  • 電源の有無・容量
  • 排水先、放流基準・下水道排除基準
  • 汚泥・脱水ケーキの処分ルート
  • 24時間運転の要否、運転管理者の配置可否

これらを把握しておくことで、緊急時でも仮設水処理の検討を早く進められます。

仮設水処理を組むために必要な現場条件

事前協定で決めるべきこと

排水処理設備が止まってから業者を探すと、初動が遅れる可能性があります。そのため、重要な工場では、平常時から事前協定を検討しておくことが有効です。事前協定では、次のような内容を決めておくと安心です。

  • 緊急時の連絡先
  • 初動調査の範囲
  • 優先対応の可否
  • 想定する機材・処理フロー
  • 立ち上げまでの想定日数
  • 長期運用時の点検・薬品補充・汚泥搬出体制
  • 行政確認が必要な場合の役割分担

排水BCPは、書類を作るだけでは不十分です。止まったときに誰が動き、何を確認し、どの設備でつなぐのかまで決めておくことが、操業停止リスクを下げるポイントです。

まとめ:排水BCPは「止まった後の復旧」ではなく、「止めないための設計」

製造業BCPでは「設備が壊れた後にどう直すか」だけでなく、本設復旧までどう操業をつなぐかを考えておくことが重要です。まず取り組むべきことは、次の3つです。

  • 排水が止まった場合の操業停止損失を試算する
  • 本設復旧までの代替処理シナリオを作る
  • 仮設水処理プラントの事前相談・事前協定を進める

セイスイ工業では、現場の排水量・水質・設置条件に合わせて、仮設水処理プラントの計画立案・設置を行い、本設復旧までの排水処理を支援しています。排水設備の更新工事、災害・事故による停止、処理能力不足など、状況に応じて固液分離・pH調整・汚泥処理・油分離などを組み合わせた仮設処理が可能です。

製造業BCPで本当に守るべきなのは、設備そのものではなく、操業を続けられる状態です。だからこそ、排水処理をBCPの最後ではなく、最初に確認すべき重要インフラとして位置づけ、平常時からセイスイ工業の仮設水処理に相談しておくことが重要です。

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