仮設水処理とは
汚染土壌分級システム(NETIS登録技術)

技術背景と概要

提案技術の背景

日本国内において、放射性セシウムを多く含んだ除去土壌や、工場跡地に多い重金属に汚染された土壌などがありますが、それらを処理するために、従来は湿式サイクロンなどにより粒径75μmで分級することで、75μm以下の重金属や放射性セシウムを最終処分してきました。しかし、重金属や放射性セシウムは微細な粘土粒子(特に20μm未満の微粒子)に多く吸着されているため、従来の75μmの分級から20μmの分級に変えることで、20μm以上の粗粒分を再生資材として利用することが可能となり、最終処分量の減容化が期待されます。

提案技術の概要

従来のデカンタ式遠心分離機の用途は、1,000G以上の高い遠心力を発生させることで水と固体の分離に利用されていましたが、弊社が開発した技術は、デカンタ式遠心分離機を利用し、水中にある固体粒子分を設定した粒径で分級する技術です。この技術で重金属や放射性セシウムが吸着した土壌に対し、デカンタ形遠心分離機の分級点を粒径20μmに設定し、分級した20μm以上の粗粒分に対し複数回繰り返し分級を行います。それにより、20μm未満の微粒子(粘土分)に吸着した重金属や、放射性セシウムを分級した20μm以上の粗粒分から80%以上取り除くことができます。

技術概要

提案技属や放射性セシウムは粒径20μm未満の微粒子(粘土分)に多く吸着する理由

同じ体積で比較した時に、粒子が小さいほど表面積は大きくなります。表面積が多い分、重金属や放射性セシウムなどは小さい粒子に付着し易くなります。

1辺が75μmの立方体。
表面積は75μm×75μm×6=33,750μm2

1辺が25μmの立方体。
表面積は25μm×25μm×6=3,750μm2

25μmの立方体は1辺が75μmの立方体の27個分相当。
3,750μm2 ×27=101,250μm2

101,250μm2 ÷33,750μm2=3
同じ体積で比べると表面積は3倍になります。

粒子が小さい集合体ほど、表面積は大きくなる=付着し易くなる。

重金属や放射性セシウムは粒径20μm未満の微粒子(粘土分)に多く吸着

洗浄と分級を繰り返し行うことで、20μm以上の粗粒子分から20μm未満の微粒子(粘土分)を取り除いていけば、徐々に汚染度は低減していきます。

技術の原理

液中にある固体は、重力により自然に沈降をします。これに自然沈降の何倍もの遠心力を与えて液中の固体を強制的に早く沈降させることができるのが遠心分離機です。遠心分離機には、遠心力の他に沈降した固体を掻き出す機構(スクリュー)がついており、固体を掻き出す速度を調整する事が出来ます。また、遠心分離機の内部に溜めた液中の水位を自由に変える事で、重い固体と軽い固体の分級点を調整することが出来ます。これらの遠心力、掻き出し速度、液中の水位を調整する事で、粒径20μmでの分級点や回収率の調整が可能になります。

処理イメージ

再生利用のイメージ

分級データ(1)

※令和3年度 除去土壌等の減容等技術実証事業 試験データより

分級前泥水では、20μm未満の粒子量が70.99%でしたが、分級を繰り返し行う事で、3回目の分級で回収した粗粒分に混入した20μm未満の細粒分量は、15.52%まで減少しており、重量換算すると、95.5%の細粒分が除去されています。また、分級2回目、3回目では、10μm未満の粒子は4%と概ね除去されており、5μm未満の粒子は全て除去されています。今回、試験に使用した土壌は、農地と山林から採取した土壌を同じ条件で2回づつ実施しましたが、山林の土壌でも同じ傾向になりました。

※粒度分布は、レーザー回析散乱法により分析

分級データ(2)

粗粒分減少率(%)=1-(分級後の粗粒分量/分級前の粗粒分量)×100

遠心分離機内部では、粗粒分に圧力が掛かりながらスクリューで掻き出されます。その結果、粒子同士が摩擦で崩れたり摩耗したために粗粒分が減少し細粒分が増加しています。
1回目の分級では、細粒分が団粒化していたり粗粒分に固着している細粒分が多いため、1回目の分級時が最も粗粒分が減少し、2回目以降は微量の減少になっています。
分級により粗粒分が減少した分、細粒分が増えており、特に5μm未満の細粒分が増加しています。
このことから、遠心分離機には破砕効果もあることがわかります。

細粒分の増減率(%)=1-(分級後の粒径別細粒分量/分級前の粒径別細粒分量)×100

分級による効果

  • 遠心分離機を利用し、複数回分級を行うこと回収した粗粒分への20μm未満の細粒分量は15%程度です。
    分級前の粗粒分と細粒分が分離しているほど、1回の分級での除去率が高くなります。
    1回目の分級で回収した粗粒分への10μm未満の粒子量は4%、5μm未満の粒子量は1%以下です。
    2回目以降の分級で回収した粗粒分への10μm未満の粒子量は2%以下、5μm未満の粒子量は0%以下です。
  • 粗粒分の回収率は、80%以上になります。
    分級前の粗粒分と細粒分の固着や粒子の団粒化が少ないほど、回収率は高くなります。
  • 汚染濃度は、粗粒分に固着した汚染物質が少ないほど、回収した粗粒分の汚染濃度は低くなります。
    粗粒分に汚染物質が固着していない場合は、遠心分離機を利用し複数回分級を行うことで汚染物質濃度を70%以上低減できます。
    汚染物質によっては、粗粒分にも高濃度で汚染物質が固着している場合があり、粗粒分と細粒分の汚染濃度が同じ場合、分級しても分級前と同じ汚染濃度になります。
  • 粗粒分と細粒分の固着を剥がす効果があります。

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