水処理の基礎知識「仮設水処理システムとは」
工場排水や汚泥、土木建築現場で発生する泥水を処理するにはどのような方法があるでしょうか。
排水や泥水をバキュームカーで物理的に「搬送」するのではなく、現地で連続的に水と固形物に分離することができるのが「仮設水処理システム」です。
仮設水処理システムとは
仮設とは、現場で目的となる処理を行う設備を一時的に設置し、処理が終わった後に撤去される期間限定の設備です。
例えば車が故障して修理に時間が掛かる時にわざわざ車を買う人は少なくレンタカーを借りる場合が多いと思います。
仮設水処理システムもレンタカーと同じで処理用途に合わせたプラントの組み合わせ(システム)を必要な時に必要な期間だけご利用いただけます。
仮設水処理システムは「プラント」で構成される
仮設水処理システムは、「水処理プラント」や「脱水プラント」など単一機能を持った「プラント」の組み合わせでできています。1つ1つのプラントは、振動ふるい機、ローターマット、脱水機(遠心分離機)など多種多様の機器や装置がいくつも組み合わさって、あるひとつの大きな性能を発揮する設備です。
例えば脱水プラントなら、脱水機(遠心分離機)、薬品自動溶解装置、ポンプ、制御盤、水槽、ホースで構成されている、といった具合です。ただ組み合わせるのではなく廃水や汚泥の性状、濃度、処理量など、様々な条件に応じた設備を構成していきます。
例えば土木工事現場での泥水処理に用いられる「土木泥水再利用システム」は、脱水プラントのみで構成できます。一方、災害・水害で発生した汚泥を処理するための「災害時排水処理システム」は、水処理プラントと脱水プラントを組み合わせています。
仮設水処理システムは、「下水汚泥処理システム」「工場排水処理システム」など、分野・用途に応じて、多彩な利活用が可能です。特殊な用途では油分や重金属の除去、土壌洗浄などにも対応できるのです。
現場に合わせた最適なスケールで導入できる
一連の仮設水処理システムは、現場の排水処理量や汚泥処理量にあった、最適な規模・性能で導入できます。これにより、過剰な設備投資を抑制でき、効率的な水処理が可能になるのです。
仮設だからこそ、既存設備のトラブル時にも、緊急対応が可能なこともメリットです。現場で水処理を行うことができるため、これまでバキュームカーで廃棄物を搬出していた場合と比較し、劇的なコスト削減につながります。