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水処理コラム

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排水処理

産業排水とは?業界別の特徴と排水対策・環境規制のポイントを解説

産業排水

産業排水とは、製造業に限らず、農業・漁業・建設・医療・サービス業など幅広い産業活動から排出される排水を指します。生活排水とは異なり、有機物・重金属・薬品など多様な汚染物質を含むことが多く、適切な処理を怠ると水域汚染や法令違反、地域トラブルにつながるおそれもあります。

「産業排水=工場排水」と思われがちですが、実際はそれ以外の分野でも深刻な課題を抱える現場は多く存在します。※工場排水については別記事で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。

本記事では、農林水産業や非製造業を中心に、産業排水の業種別の特徴、処理の注意点、環境規制への対応ポイントをわかりやすく解説します。自社の排水がどのような位置づけにあるのかを把握する第一歩として、ぜひご活用ください。

産業排水の基礎知識を押さえよう

産業排水について考えるうえで、まず知っておきたいのがその定義と対象範囲、そして工場排水との違いです。「産業排水=工場から出る排水」と思われがちですが、実際にはもっと広い意味を持ちます。ここでは、産業排水とは何か、どんな排水が対象になるのかを明確にし、混同しやすい工場排水との違いもあわせて解説していきます。

産業排水の定義と対象範囲

産業排水とは、農林漁業などの第一次産業や、製造・加工を行う第二次産業の事業活動から生じる排水の総称です。肥料や農薬を含む農業排水、畜産由来の排水、水産加工の排水、建設現場の濁水、工場排水などが該当します。

生活排水と異なり、産業排水は高濃度の有害物質を含むことが多く、水質汚濁防止法や自治体の条例に基づく厳格な処理が必要です。排出源ごとの特性を正しく把握し、適切な対応を講じることが重要です。

工場排水との違いとは?

産業排水の中でも、工場排水は製造ラインや設備から出る排水を指し、主に第二次産業(製造業)が対象です。たとえば、食品工場の洗浄水や金属加工の冷却水などが該当し、有機物・重金属・油分など処理対象も明確です。

一方、産業排水には農業用水の流出や建設現場の濁水、養殖施設の排水など、第一次産業も含まれます。汚染物質の種類や経路が多様で、発生源の特定が難しいケースも多く、工場排水より管理が複雑になる傾向があります。

業種別に見る排水の特徴とリスク

産業排水は業種によって性質や処理の難易度が大きく異なります。たとえば建設業では泥水やセメント成分、印刷業ではインクや溶剤が主な課題です。ここでは各業界の排水特性と対応策を紹介します。

建設業:セメント系や泥水を含む排水が課題

    建設業

    掘削や型枠洗浄などの工程で発生する排水には、セメント成分・土砂・油分などが混ざり、pH上昇や濁度の増加が問題となります。 対策例:pH調整、中和処理、凝集沈殿法などの物理・化学的処理

漁業:血液・残渣によるBOD上昇

    漁業

    魚介処理で出る血液や内臓残渣により、BODや悪臭が発生。塩分濃度が高い排水もあり、生物処理への影響が懸念されます。 対策例:スクリーンで固形物除去後、pH調整→生物処理

印刷業:インク・溶剤を含む有機性排水

    13_印刷業

    洗浄工程などで流出するインク・溶剤は分解されにくく、BOD・CODが高くなりやすいのが特徴です。 対策例:活性炭による吸着、凝集・油水分離などの前処理後、生物処理や中和処理

産業排水の処理技術と実践的アプローチ

産業排水の処理では、汚れの種類や濃度に応じて複数の技術を段階的に組み合わせるのが基本です。物理・化学・生物的処理を通じて効率的に浄化し、法基準を満たす水質へ整えていきます。また、設備トラブル時には仮設処理設備を迅速に導入することで、被害の拡大を防ぐことができます。

物理・化学・生物的処理法の組み合わせ

産業排水は多様な汚染物質を含むため、処理は段階的な組み合わせが基本です。

まずスクリーンや沈殿などの物理的処理で固形物や浮遊物を除去し、次に化学的処理で金属イオンや難分解性物質を凝集・沈殿・中和で取り除きます。臭気や溶存物質が残る場合は、酸化処理(オゾン・過酸化水素)や吸着処理(活性炭)を追加し微量成分にも対応します。最後に生物的処理(活性汚泥法・嫌気性処理)で有機物を分解し、水質を安定化。

このように多段階で処理することで、用途や地域に応じた排水基準をクリアできます。

緊急時や期間限定現場に強い「セイスイ工業の仮設水処理プラント」

建設現場や災害時、設備トラブルなど短期的な排水処理が求められる場面では、セイスイ工業の仮設水処理プラントが有効です。汚泥や有害物質を含む排水にも対応でき、最短1週間で現地に設置・稼働。急な排水増加にも柔軟に対応します。

省スペース・省エネ設計で、脱水機・反応槽・薬注装置などを排水性状に応じて組み合わせ、現地での処理・減容化・水質安定化を実現。さらに、事前の現地確認やシミュレーションにより、非常時の迅速な対応も可能です。仮設ながら本設並みの性能と本設にはない柔軟性を備えています。

仮設水処理とは

処理装置の選定と管理のポイント

排水の性質や量に応じた処理装置の選定は、コストと環境対策のバランスを取るうえで不可欠です。導入後は、定期点検や運転データの記録を通じて性能を維持することが重要です。

また、現場でのモニタリングを徹底すれば、基準超過のリスク低減や異常時の早期対応にもつながります。

産業排水に関わる法規制と対応のポイント

産業排水の管理は、環境保全だけでなく企業の信頼や事業継続にも直結します。行政・自治体は厳しい排水基準を設けており、違反すれば操業停止や罰則のリスクがあります。

特に有害物質を扱う事業では、水質分析や監視体制の強化が欠かせません。こうした対応は法令順守にとどまらず、CSRやブランド価値の維持にも貢献します。

水質汚濁防止法とは?排水に関する基準と企業の責任

    水質汚濁防止法

    水質汚濁防止法では、重金属・有機物・特定有害物質などの排水濃度に厳しい基準が定められています。カドミウムやシアンなどの物質による公共用水域や地下水の汚染を防ぐのが目的です。基準を超えた排水は改善命令や罰則の対象となり、企業の信用にも深刻な影響を与える可能性があります。

地域ごとの条例・排水協定

    条例 排水協定

    一部の自治体では、水質汚濁防止法よりも厳しい独自の基準や排水協定が設けられています。特に上水源や自然環境の保全が重視される地域では、高度な処理対策が求められます。企業は事業開始前や計画変更時に行政と協議し、地域ルールに即した処理体制を整えることが重要です。

まとめ:産業排水への正しい理解と今後の対応の重要性

産業排水は、工場に限らず農業・漁業・建設業など多岐にわたる産業から発生し、排出される成分やリスクも業種によって大きく異なります。有害物質や高濃度の有機物を含むことが多いため、処理には物理・化学・生物的処理の組み合わせが欠かせません。

また、設備トラブルや緊急時の対応には、セイスイ工業の仮設水処理プラントのように、迅速かつ柔軟な処理体制を確保することも効果的です。

さらに、法令や地域ごとの排水基準を理解し、適切な装置の選定・維持管理を行うことで、環境保全はもちろん、企業の社会的信頼や持続的な経営にもつながります。産業排水への取り組みは、いまや環境対策を超えた企業の責任の一環として捉えられているのです。

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