NETISとは?仕組みやメリット、詳しい使い方をゼネコンや土木業の方向けに徹底解説!
技術大国である日本では、毎年のように新しい技術が登場し、技術革新が日々進んでいます。一方で、新しい技術はすぐには広まることなく、惰性的に慣れ親しんだ技術を使い続けるケースが少なくありません。特に土木業界では作業効率を高めるような技術が少なくないにもかかわらず、活用がされにくい現状があります。
積極的に新しい技術を使ってほしいと考える国土交通省が考案したのがNETISです。NETISとは何か、メリットや使い方などをご紹介します。
目次
そもそもNETISとは?
そもそもNETISとは何かですが、NETISは新技術情報提供システム、New Technology Information Systemの略です。
NETISを知らない経営者・役員が3割以上
NETISについて、土木業の経営者や役員ですら一定数が知らないことが明らかになっています。「あなたの会社では、NETIS(新技術活用情報システム)認定された技術をどの程度活用していますか。」という質問に対し、1度でも活用したと答えた割合が32%であるのに対し、そもそもNETISについてよく知らないと答えた割合が33%もありました。
20世紀末から運用されているNETIS
NETISは、民間で開発された新しい技術を公共工事などで活用できるようにし、更なる技術開発につなげていくデータベースで、1999年度から運用が開始されています。
NETISの仕組みはまず民間企業が、開発した技術を全国各地にある国土交通省の地方整備局に出向き、NETISへの登録を行います。
原則10年公開される新技術
登録を行うと原則10年間は公開され、自由に公共工事などで活用できるほか、活用した後に新技術に対する評価が行われ、その評価もNETISに登録される仕組みです。この中で評価が高いものは「有用な新技術」に選定され、さらなる活用が見込めます。
お墨付きが得られた新技術が使われていくことで、効率化や品質向上、コスト削減などにつながっていきます。
NETISの活用形式について
NETISには主に5つの活用形式があります。
- 施工者希望型
- 発注者指定型
- 試行申請型
- フィールド提供型
- テーマ設定型
発注者指定型は工事の発注者が特定の新技術を使ってほしいと指定するやり方です。また
発注者がいくつかの新技術を提示して、施工者に選んでもらう選択肢提示型も発注者指定型の派生バージョンとして存在します。
施工者指定型は施工者が発注者に対して新技術の活用を提案する場合で、試行申請型は登録されたばかりで評価がなされていない新技術を、まず現場で確かめたい時に活用されます。フィールド提供型は地方整備局を中心に新技術を募集して審査を行ってから活用するもので、テーマ設定型は例えば「道路における雑草抑制技術」といったテーマを設け、それに関した新技術を募集して選考を行います。
NETIS活用の業務におけるメリット
「あなたが感じる、NETIS認定された技術を活用することによるメリットを教えてください。」という質問では、工期の短縮と品質・安全面の向上が多く、他にはコストカット、加点評価がつく、人手不足に対応できるなどが出てきました。
NETISに登録される新しい技術は今までの技術よりも技術革新が進んだものなので、コスト削減や効率化、安全性の向上などが想定されます。これを積極的に活用することで、工期短縮やコストカットなどにつながるのは明らかなメリットです。
事故を未然に防ぐ新技術
例えば、NETISにも登録されている「ヒヤリハンター」は、作業車両に作業員が近づくのを感じ取り、信号灯などで教えるという技術です。作業員が死角に隠れることで作業車両が見落とし、最悪の事態を招くことがあります。「ヒヤリハンター」は事故を未然に防ぎ、安全性の向上につながっていることは確かです。
地味に重要な工事成績評定の加点
また公共工事では「工事成績評定」という成績がつけられ、公共事業の受注に影響を与えます。この際、NETISを活用すると工事成績評定が加点されるため、次回入札に参加する際、プラスの影響が働きやすくなります。
使い方(サイトの見方〜導入まで)
「NETIS認定された技術を活用する際の、検討者を教えてください。」という設問では、その中で業者側と答えた割合が全体の7割以上を占めています。発注者側はわずか5%と少なく、土木業者側がNETISの導入を熱心に検討していることは明らかです。
NETISの見方や使い方を理解し、導入に備えることで今よりもコストカット、工期短縮につながっていくほか、最先端技術を積極的に活用する企業としての存在価値を高めることにつなげられます。
ここからは使い方について簡単にご紹介します。
NETISの使い方について
NETISのホームページには「新技術を探す」という項目があり、ここから新技術を見つけます。検索キーワードの欄に「改善したい技術・工法」を入力するほか、既に評価を得ている「有用な新技術」にチェックを入れる、工種を入力するなどして絞り込みを行います。
その上で「経済性の向上」や「工程の短縮」など新技術に期待したい効果にチェックを入れていき、新技術の候補を絞り込んでいきます。検索結果が表示されたら気になる新技術にチェックを入れてきます。あとでチェックを入れた新技術同士で比較が行えるため、とても便利です。
「新技術概要説明情報」ではより詳細なことがわかる
「新技術概要説明情報」では新技術の詳細が紹介され、事後評価や技術の位置づけなどを調べられるほか、従来技術との比較や施工単価などの確認ができ、それを踏まえて導入するかどうかを決めます。
問い合わせ先なども書かれており、あとは新技術を開発した業者に問い合わせを行い、段取りをつけていく流れです。
土木業における技術活用の事例紹介
実際に土木業においてNETISを活用し、技術活用を行った事例についてご紹介していきます。
セイスイ工業の「土木泥水再利用システム」
セイスイ工業では、これまで産業廃棄物として処分せざるを得なかった泥水を再び利用できるようにした「土木泥水再利用システム」が2020年5月に新技術として認められ、NETISに登録されています。
鋼矢板打込み工事においてウォータージェットカッターを用いる場合、水の力を借りて打ち込むため、大量の泥水が発生し、水道代もかかってしまいます。「土木泥水再利用システム」を活用することで、発生した泥水を連続的に再利用水と泥土に分けることが可能です。
新技術を使って廃棄物も待ち時間も大幅カット
「土木泥水再利用システム」を使って再利用水に分けたら、この再利用水を鋼矢板打込み工事に活用して工事を進めていきます。その後は泥水が発生していく中で再利用水を生み出し、それを活用するというサイクルの中で工事が進むという流れです。
結果的に本来捨てるはずだった廃棄物量を大幅に削減できるほか、泥水の沈殿待ちの時間をカットし、経済性の向上にもつなげられます。
過去に千葉駅周辺で行われた工事では、「土木泥水再利用システム」を活用することで処理前の泥水と比べて6分の1までに減らすことができ、泥水の沈殿を待たずして作業ができたため、作業効率のアップにもつながっています。
NETIS活用の副次的なメリットと展望
「NETIS認定された技術を活用することによって、どのような副次的効果を期待しますか。」という質問に対し、「企業イメージの向上」や「最先端技術を活用する企業としてのブランディング」、「従業員のモチベーション向上」に期待するという声が出ています。
また副次的な効果として「職員の意識改革」につながる、自らの会社で開発した技術がNETISに認定されることで技術者の意欲が増したというアンケート結果も。
新技術を積極的に活用していくことで作業効率が上がり、これまでよりも工期が短くなって十分な休みを確保でき、安全に運用ができるなど会社にとってはいいこと尽くしです。
慢性的な人手不足の解決につながるか
NETISに登録された新技術を活用することがプラスに働くことは、労働者側にも言えます。近年土木業は慢性的な人手不足に悩まされており、人材の確保が大変です。現場で働く職人だけでなく、工事を管理する施工管理者も減っている状況、かつ、若い人は辞めやすく、残るのは年齢を重ねた職人ばかりという現実があります。
若者にとって魅力的な現場を生み出すには、若者が避けたがる「3Kの改善」が必要不可欠です。きつい、汚い、危険は土木業では切っては切り離せない項目とされてきましたが、NETISに登録された新技術を活用することでいくらかでも軽減できます。
工期が短くなる、コストが下がる、作業が効率化するなどのプラス面は会社側にもプラスですが、労働者側にもプラスに働きます。
NETIS活用のメリットを広めるべき
しかしながら、現実を見ると、NETISそのものを知らない、ほとんどの社員がNETISを理解していない、必要性を感じないと答えるケースが散見されます。
これは実際にNETISを活用することでどのような具体的なメリットがあるのか、あまり発信されていないことが大きいと言えます。これほどメリットがあるものなのかと多くの土木業者が理解すれば、NETISを積極的に利用しようとする声は強まるでしょう。
NETIS認定を受けた技術を活用することでのメリットを理解している企業では、「人的手間の軽減」、「社会的信用を得られる環境対策になる」というアンケート結果が見られます。
裏を返せば、NETISの伸びシロはまだまだあり、多くの経営者がNETISの活用を真剣に考えるようになれば、土木業界が抱える諸問題の解決につながるはずです。
まとめ
NETISに記載されている新技術は作業の効率化や安全性の向上など、工事の質を高めてくれるものばかりです。しかも、公共工事で活用することにより、加点につながるなど、積極的な活用を行うことで損は1つもありません。 1社でも多くNETIS認定された新技術を活用することで、土木業界が抱える問題点を少しでも改善できる可能性は高く、まずは現状の問題点を洗い出し、それが解決できないかNETISで調べ、良さそうな技術を見つけたら利用することを心がけましょう。
セイスイ工業株式会社について
セイスイ工業株式会社の写真
仮設水処理のレンタルを行っているセイスイ工業株式会社は1974年の創業から水処理を手掛けており、水処理に関するトラブルに迅速に対応します。また、セイスイ工業では産廃費用の圧縮のための提案も行い、セイスイ工業が開発した技術を活用して汚染土壌の多くを再利用させることができ、廃棄物処理する土壌を軽減しています。
他にもセイスイ工業が生み出した技術は東京スカイツリーや東京湾アクアラインの建設にも利用されているほか、仮設水処理を使ってコストカットや生産性低下の防止などにつなげているのです。
仮設水処理とは
仮設水処理は、環境にも優しく、コストパフォーマンスに優れ一時的な処理能力向上に効果がある水処理の方法です。
水処理施設を仮設で用意して現場で稼働させていく仕組みで、常設の水処理施設は必要ない場合や修理が必要だが、他の稼働を止めることができない場合に一時的な水処理を行う場合に有用な技術です。
あくまでも仮設なので、何か問題が生じた際に用いることにはなりますが、困った時に力強くサポートすることが可能です。
詳しくは別の記事で紹介しておりますので、興味を持った方は下記のリンクよりぜひご覧ください。水処理についての種類や仕組みなどの基礎知識と合わせて紹介しています。