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放射性セシウムを含む土壌の減容化に向けた、デカンタ型遠心分離技術の特許を取得しました!

このたび、当社は放射性セシウムなどを含む汚染土壌の減容化を目的とした、デカンタ型遠心分離機による分級処理技術の特許を取得いたしました。

本技術は、放射性セシウムなどを含む土壌において、汚染物質が比較的多く含まれやすい細かい粒子を分離・濃縮し、最終処分が必要となる土壌量の低減を目指すものです。

本ブログでは、特許技術の概要や開発の背景、期待される効果について、わかりやすくご紹介します。

デカンタ型遠心分離技術 特許取得

目次

汚染土壌の減容化が求められる背景

2011年の福島第一原子力発電所の事故後、除染によって取り除かれた土壌の保管や処分は、社会的な課題のひとつとなりました。こうした土壌をすべて同じように保管・処分しようとすると、量が多く、保管場所や運搬、最終処分にかかる負担も大きくなります。

そこで重要になるのが、汚染土壌を一括で扱うのではなく、粒の大きさに応じて分級するという考え方です。

放射性セシウムは粘土鉱物に強く吸着するため、細かい粒子に集中しやすく、大きな砂質側には相対的に少ない、という分布の偏りがあります。この偏りを利用し、デカンタ型遠心分離機で細粒側と粗粒側を分けることで、粗粒側の放射能濃度(Bq/kg)を下げ、指定廃棄物の基準(8,000Bq/kg)を下回る水準を狙う処理が本特許技術の中核です。

除染土壌の保管・処分に関する課題

除染によって取り除かれた土壌は、安全に管理しながら保管・処分していく必要があります。ただし、土壌は一度に発生する量が多く、すべてをそのまま処分対象とすると、保管場所の確保や運搬、処分にかかる負担が大きくなります。

たとえるなら、片付けのときに、必要なものも不要なものも全部まとめて箱に入れてしまうようなものです。一時的には片付きますが、箱の数が増えれば増えるほど、置き場所も管理も大変になります。土壌についても同じように、すべてを一律に扱うのではなく、性質に応じて整理し、処分が必要な部分をできるだけ絞り込むことが重要になります。

放射性セシウムと土粒子の関係

土壌は一見すると同じように見えますが、実際にはさまざまな大きさの粒子が混ざっています。砂のような大きめの粒子もあれば、シルトや粘土のような細かい粒子もあります。

放射性セシウムは、土壌の中でも特に細かい粒子に吸着しやすい性質があります。つまり、汚染土壌のすべてに同じように放射性セシウムが含まれているわけではなく、多く含まれやすい部分と、比較的少ない部分があると考えられます。

私たちはこの性質に着目し、土壌を粒の大きさで分けることで、放射性セシウムが多く含まれやすい細かい粒子を効率的に取り出す方法を検討してきました。

放射性セシウムと土粒子の関係

処分対象となる土壌量を減らす考え方

汚染土壌の減容化による効果

汚染土壌の減容化とは、簡単にいうと、最終的に処分が必要となる土壌の量を減らすことです。ポイントは、土壌を「全部まとめて処分する」のではなく、まず粒の大きさで分けて考えることにあります。

放射性セシウムが多く含まれやすい細かい粒子を重点的に分離し、比較的濃度が低い可能性のある粗い粒子については、条件を満たす場合に再生利用などの可能性を検討します。

これは、ゴミをすべてまとめて捨てるのではなく、資源ごみ・可燃ごみ・不燃ごみに分ける考え方に近いものです。分けることで、処分すべきものを絞り込み、保管・運搬・処分にかかる負担の軽減につなげることができます。本技術は、放射性セシウムが多く含まれやすい細かい粒子を分離・濃縮し、処分対象となる土壌量の低減を目指すものです。

本特許技術の概要

ここでは、今回取得した特許技術がどのようなものなのかを、できるだけわかりやすくご紹介します。ポイントは、汚染土壌をそのまま一括で扱うのではなく、土壌に含まれる粒子の大きさに着目して「分ける」ことです。

土壌を細粒分と粗粒分に分ける分級処理

本技術の基本となるのが、土壌を粒の大きさで分ける「分級処理」です。土壌には、さまざまな大きさの粒子が含まれています。

  • 砂のような大きめの粒子
  • シルトや粘土のような細かい粒子

このうち、放射性セシウムは細かい粒子に付きやすい性質があるため、細粒分を効率的に分けることが重要になります。

本技術では、土壌を水と混ぜて泥水のような状態にし、粒子の大きさや沈みやすさの違いを利用して、細かい粒子と粗い粒子に分けていきます。たとえるなら、料理で粉をふるいにかけるようなイメージです。すべてを一緒に扱うのではなく、細かいものと大きいものを分けることで、それぞれに適した扱い方を検討しやすくなります。

土壌を細粒分と粗粒分に分ける分級処理

デカンタ型遠心分離機を用いた処理方法

分級処理には、デカンタ型遠心分離機を使用します。デカンタ型遠心分離機とは、泥水のように液体と固体が混ざったものを、高速で回転させながら分ける装置です。ただし、本技術では単に強く回転させればよいわけではありません。土壌の状態に合わせて、装置の条件を調整することがポイントです。

デカンタ型遠心分離機を用いた処理方法

主に調整する条件には、次のようなものがあります。

  • 装置の回転速度
  • 一定時間あたりの処理量
  • 装置内部の水深を調整するせきの高さ
  • 外胴ボウルとスクリューの回転速度の差

これらを調整することで、細かい粒子が粗い粒子側に混ざりすぎないようにしながら、粗い粒子を効率よく回収することを目指します。つまり、装置を使って力任せに分けるのではなく、土壌の性質に合わせて条件を整え、より効率的に分けるところに本技術の特徴があります。

セシウムを分離・濃縮する技術

本技術が目指しているのは、放射性セシウムが多く含まれやすい細かい粒子を分離し、処分対象となる部分をできるだけ絞り込むことです。

放射性セシウムは、土壌の中でも細かい粒子に集まりやすい傾向があります。そのため、細粒分を効率的に分離できれば、放射性セシウムを多く含みやすい部分を濃縮し、粗い粒子側に残る土壌量を増やせる可能性があります。

この考え方を整理すると、次のようになります。

  • 細かい粒子:放射性セシウムが多く含まれやすく、処分対象になりやすい
  • 粗い粒子:比較的濃度が低い可能性があり、条件を満たせば再生利用の可能性がある

このように、汚染土壌を一括で処分対象とするのではなく、粒の大きさによって分けることで、処分が必要となる土壌量の低減につなげることができます。本技術は、土壌処理における「分ける」というシンプルな考え方を、デカンタ型遠心分離機の条件調整によって実用的な処理方法として活かすものです。

本特許技術の特徴

本技術の特徴は、デカンタ型遠心分離機を用いて土壌を分級する際に、装置の運転条件を細かく調整する点にあります。単に土壌を回転させて分けるのではなく、回転速度や処理量、せきの高さなどを土壌の状態に合わせて調整することで、細粒分の混入を抑えながら、粗粒分を効率よく回収することを目指します。

ここでは、本技術の特徴を3つのポイントに分けてご紹介します。

回転速度・処理量・せきの高さなどを調整

デカンタ型遠心分離機では、泥水状にした土壌を回転させることで、粒子の大きさや沈みやすさの違いを利用して分級します。

ただし、単に強く回転させればよいわけではありません。回転が強すぎると、本来分けたい細かい粒子まで粗い粒子側に混ざってしまうことがあります。一方で、条件が弱すぎると、粗い粒子を十分に回収できない可能性があります。

そこで本技術では、先ほどの「概要」でも触れたような、回転速度や処理量、装置内の水深(せきの高さ)といった複数の条件を、対象となる土壌の状態に応じて緻密に組み合わせていきます。

これらの条件を最適化することで、細かい粒子と粗い粒子をより効率的に分けることを目指します。いわば、料理で食材に合わせて火加減や混ぜ方を細かく調整するように、土壌それぞれの性状に合わせて装置の動かし方を整えるイメージです。ただ機械を回すだけでなく、この「絶妙な調整」によって精度を高めている点に、本特許技術の最大の強みがあります。

回転速度・処理量・せきの高さなどを調整

細粒分の混入を抑えながら粗粒分を回収

分級処理で重要なのは、細かい粒子をできるだけ粗い粒子側に混ぜないことと、粗い粒子をできるだけ多く回収することです。細かい粒子には、放射性セシウムが多く含まれやすい傾向があります。そのため、細粒分が粗粒分に多く混ざってしまうと、分級後の粗粒分を再生利用しにくくなる可能性があります。

一方で、細粒分の混入を避けようとしすぎると、今度は粗い粒子まで処分対象側に流れてしまい、回収できる土壌量が少なくなってしまいます。

細粒分の混入を抑えながら粗粒分を回収

本技術では、このバランスを重視しています。

  • 細粒分の混入をできるだけ抑える
  • 粗粒分をできるだけ効率よく回収する
  • 処分対象となる土壌量の低減につなげる

つまり、ただ細かいものを取り除くだけではなく、再生利用の可能性がある粗い粒子をできるだけ残すことも大切なポイントです。

薬品や複雑なろ過装置に頼らない処理

本技術では、土壌を粒の大きさや沈みやすさの違いによって分けることを基本としています。そのため、薬品を使って粒子を固めたり、複雑なろ過装置を組み合わせたりする方法に頼らず、デカンタ型遠心分離機の条件調整によって分級処理を行う点が特徴です。

薬品や複雑な設備に頼りすぎないことで、処理工程をできるだけシンプルにし、現場での運用性を高めることが期待できます。もちろん、実際の土壌は場所や状態によって性質が異なります。そのため、実用化にあたっては、対象となる土壌に合わせた確認や条件設定が必要です。

それでも、装置の条件を工夫することで、「分ける」「減らす」「活かす可能性を広げる」という処理の流れをつくれる点が、本技術の大きな特徴です。

期待される効果と今後の取り組み

本技術は、汚染土壌を一括で処分対象とするのではなく、土壌の性質に応じて分けることで、処分が必要となる量の低減を目指すものです。最終処分量の低減だけでなく、条件を満たした土壌の再生利用の可能性を広げる技術として、今後の活用が期待されます。

ここでは、本技術によって期待される効果と、今後の取り組みについてご紹介します。

最終処分量の低減への貢献

汚染土壌をすべて同じように処分対象とすると、保管・運搬・処分にかかる負担は大きくなります。本技術では、放射性セシウムが多く含まれやすい細かい粒子を分離・濃縮し、処分対象となる部分をできるだけ絞り込むことを目指します。これにより、次のような効果が期待されます。

  • 最終処分が必要となる土壌量の低減
  • 保管場所や運搬にかかる負担の軽減
  • 処分工程全体の効率化

処分対象となる量を減らすことは、単に土壌の量を少なくするだけではありません。保管や運搬、将来的な処分計画を考えるうえでも、重要な意味を持ちます。本技術は、こうした課題に対して、土壌を「分ける」という視点から貢献することを目指しています。

再生利用の可能性を広げる技術

分級処理によって、放射性セシウムが多く含まれやすい細粒分を分離できれば、粗粒分については、条件を満たす場合に再生利用の可能性を検討しやすくなります。たとえば、比較的濃度が低い土壌については、基準や用途に応じて、資材として活用できる可能性があります。

もちろん、すべての土壌がそのまま再生利用できるわけではありません。土壌の性質、放射性物質の濃度、利用先の基準、安全性の確認など、さまざまな条件を満たす必要があります。それでも、土壌を一括で処分するのではなく、土粒子の粒径に応じて分けることで、処分だけに限らない選択肢を広げることにつながります。

本技術は、汚染土壌を「廃棄するもの」としてだけでなく、条件を満たす場合には再び活かす可能性があるものとして捉えるための技術でもあります。

再生利用の可能性を広げる技術

実用化に向けた検証の継続

汚染土壌は、場所や環境によって粒子の大きさ、含まれる成分、水分量、放射性セシウムの付き方などが異なります。そのため、本技術を実際の現場で活用していくためには、対象となる土壌に合わせた確認や条件設定が欠かせません。今後は、さまざまな土壌条件を想定しながら、以下のような検証を重ねていくことが重要になります。

実用化に向けた検証の継続

  • 対象土壌に応じた分級条件の確認
  • 細粒分と粗粒分の分離精度の検証
  • 処理後土壌の再生利用に向けた安全性確認
  • 現場での運用性や処理効率の確認

当社は、これまで培ってきた水処理・土壌処理の技術を活かしながら、汚染土壌の減容化や再生利用の可能性に向けて、引き続き検証と技術開発に取り組んでまいります。本技術を通じて、保管・処分にかかる負担の軽減と、環境負荷の低減に貢献できるよう努めてまいります。

最後に

本特許技術の本質は、デカンタ型遠心分離機の運転条件を緻密に調整することで、対象物質の含有率が偏っている「粒径帯」を狙って分ける点にあります。

この考え方は、放射性セシウムを含む汚染土壌だけにとどまるものではありません。たとえば、南鳥島沖に分布するレアアース泥では、レアアースが魚の骨由来の粒子(生物起源リン酸カルシウム)を主体とする「粗い粒子側」に偏って含まれていることが、近年の研究で示されています。セシウムの場合とは「どちら側に目的物質が集まるか」が逆になるだけで、

  • 粒径ごとに含有率が偏っている
  • その偏りを利用して、目的物質を多く含む側を分離・濃縮する
  • デカンタ型遠心分離機の条件調整で、その分級を成立させる

という技術の骨格は、まったく同じです。

2026年1月には、地球深部探査船「ちきゅう」による南鳥島沖レアアース泥の揚泥試験が実施されました。深海から汲み上げた泥を、船上でいかに効率よく「資源側」と「廃棄側」に分けられるかが、商業化の鍵を握ると言われています。

当社が汚染土壌処理の現場で積み上げてきたデカンタ型遠心分離機の運転ノウハウは、こうした海洋資源開発の領域にも応用できる可能性を持っています。

「分けることで、目的のものを濃縮し、不要なものを減らす」——シンプルな考え方ですが、放射性セシウムから海底レアアースまで、応用できる範囲は広く、当社としても引き続き挑戦していきたい領域です。

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