東京から台湾へ。船旅で見えた“海の上の水事情”
東京から台湾へ、今回は飛行機ではなく豪華客船で向かいました。乗船したのは、MSCベリッシマ。
正直、乗る前は「大きな船なんだろうな」くらいに思っていました。ところが実際に乗ってみると、レストラン、劇場、プール、ショップまでそろっていて、想像以上に“海の上の街”。
そして、セイスイ工業スタッフとして水処理に関わっている身としては、だんだん気になってくるわけです。
「この船の水、どうやって管理しているんだろう?」
今回は、船旅の楽しさとともに、つい見えてしまった“海の上の水事情”をスタッフ目線でお届けします。

船に乗った瞬間、まず思った。「これはもう海の上の街だ」
東京から台湾へ向かう船旅で乗船したのは、豪華客船「MSCベリッシマ」。
乗る前は「大きな船なんだろうな」くらいに思っていましたが、実際に目の前にすると想像以上のスケールでした。
客室が並び、レストランがあり、劇場があり、プールもある。歩いているうちに、「船に乗っている」というより「海の上の大きな街に来た」ような感覚になります。
MSCベリッシマは、総トン数17万トン超、乗客定員は5,000人を超える大型客船です。そこに乗務員の方々も加わるので、船内では本当に多くの人が生活しています。
そう考えると、ふと気になってくるのが、やっぱり「水」です。

船屋上

ビュッフェ

ショー
レストラン、劇場、プールまで。船内設備が想像以上に充実していた
船内には、食事を楽しめるレストランやビュッフェ、ショーを観覧できる劇場、プール、ジム、ショップなどがありました。
朝起きてジムやヨガで汗をかいたらシャワーを浴び、食事をして、船内を歩き、プールに入り、夜はショーを見る。こうして過ごしていると、普通のホテルや商業施設にいるような感覚になります。でも、ここは海の上。建物のように上下水道につながっているわけではありません。
蛇口から出る水、厨房で使われる水、プールの水、トイレやシャワーの排水。これだけの人が船内で過ごしているということは、その裏側で大量の水が使われ、管理され、処理されているはずです。
楽しんでいたはずが、セイスイスタッフの職業病が発動
最初は純粋に「すごい船だな」「ショーが豪華だな」と楽しんでいました。ところが、セイスイ工業のスタッフとして水処理に関わっていると、どうしても別の視点が出てきます。
ビュッフェ会場を見れば、「この厨房排水、油分や食品残さも出るよな」
プールを見れば、「水質管理はどうしているんだろう」
客室の数を考えれば、「シャワーやトイレの排水量、かなり多いはず」
そんなことが気になってしまいます。完全に職業病ですね、、、観光客として楽しんでいるはずなのに、頭のどこかでは「この規模の水を、船の中でどう回しているんだろう」と考えていました。

バーラウンジ
客室・厨房・プールの水って、船の中でどう管理されているの?
客室ではシャワーや洗面、トイレが使われます。レストランや厨房では、調理や洗浄で多くの水を使います。さらに、プールやスパのように、水そのものを楽しむ設備もあります。
これらは、ただ水を使って終わりではありません。
船内では、飲料水や生活用水を確保する必要があります。MSCクルーズでは、船内で使用する淡水の多くを海水からつくっていると公表しており、逆浸透膜や蒸発によって海水を淡水化する仕組みが使われています。また、プールでは海水が活用されているようで、実際に、船の屋上にあるスライダーを体験しましたが、顔にかかった水は少し、海のような塩辛さがありました。
海の上で水を確保し、使った水を処理し、環境に配慮しながら運航する。普段あまり意識しませんが、これだけでもかなり大きなシステムです。
排水も汚れもそのまま流せない。船の裏側にある“水のルール”

イメージ図
船だからといって、使った水をそのまま海へ流してよいわけではありません。
船舶の排水には、国際的なルールがあります。たとえば船舶からの汚水排出については、MARPOL条約附属書IVで、汚水処理設備や貯留タンク、排出条件などが定められています。
MSCベリッシマについても、MSCクルーズの公表情報では、先進的な排水処理設備やバラスト水処理設備などを備えているとされています。
もちろん、今回の船旅で設備の中まで見学したわけではありません。それでも、船内で普通に快適に過ごせる背景には、見えない場所で水を処理し、管理する仕組みがあることは間違いありません。
よく考えたら、船は動く小さな水処理施設かもしれない
大型客船は、ホテルであり、レストランであり、劇場であり、プール付きのリゾート施設でもあります。ただし、それが陸上ではなく、海の上を移動しているところが大きな違いです。
陸上なら、給水・排水・処理は都市インフラに支えられています。しかし船の場合は、その多くを船内で完結させなければなりません。そう考えると、MSCベリッシマは単なる豪華客船ではなく、海の上で人の生活を支える「動くインフラ」のようにも見えてきます。そして、その中には確実に「水をどう使い、どう処理するか」という仕組みがあります。

ヨガ

客室水回り

ウォータースライダー
船旅の最後に感じた、水を支える仕組みのすごさ
今回の船旅では、ショーや食事、プールなど、豪華客船ならではの楽しさをたくさん味わうことができました。
一方で、セイスイスタッフとしては、華やかな船内の裏側にある水の仕組みがとても気になりました。
- 蛇口から当たり前に水が出ること。
- トイレやシャワーが普通に使えること。
- プールの水が管理されていること。
- 厨房や客室から出る排水が、ルールに沿って処理されていること。
どれも、利用者としては当たり前に感じてしまいます。でも、その当たり前を支える仕組みがあるからこそ、船の上でも安心して過ごせるのだと思います。海の上の旅を楽しみながら、改めて「水を支える仕事」の大切さを感じた船旅でした。


