マーライオンの前は海じゃない!? シンガポールの歴史と“きれいな街”から読み解く水事情

きれいな街並みと水のある風景 ― セイスイスタッフ、シンガポールへ ―
先日、セイスイスタッフがシンガポールへ行ってきました。
飛行機を降りてまず思ったのが、「え、街きれいすぎない…?」ということ。本当にゴミが落ちていないんです。南国なのに、どこか整然としていて、空気までスッキリしている感じ。
やっぱり外せないのがマーライオン。
写真で見るよりずっと存在感があって、あの水を吐いている姿を目の前にすると、自然とシャッターを押してしまいます。
でも、水処理の仕事をしている私たち。景色を見ながら、ついこんなことを考えてしまいました。
「この水、どうやって管理してるんだろう?」


そしてもう一つ驚いたのが、ジュエル・チャンギ空港の巨大な滝。屋内にあんなスケールの水景があるなんて、正直想像していませんでした。
ジュエルの滝は、単なる演出設備ではありません。大量の水を循環させる高度な水処理システムが組み込まれており、その水関連設備には、なんと、日本企業の日立アクアテック社が関与しているそうです。
美しい景観の裏側には、緻密なエンジニアリングが存在しているのですね!
シンガポールってどんな国? ― 独立と“水”という国家課題 ―
シンガポールは1965年、マレーシアから独立した若い国家です。国土は小さく、天然資源はほとんどありません。
特に大きな課題だったのが「水」でした。
独立当初、水の多くをマレーシアからの輸入に頼っていたシンガポール。水が止まれば、国家が成り立たない――そんな状況でした。
さらに、1960〜70年代のシンガポール川は現在とは全く違う姿でした。生活排水や廃棄物が流れ込み、悪臭が漂う場所だったといわれています。
そこからどうやって、今の“きれいな国”になったのか。答えは徹底した改革でした。
- 河川の大規模浄化
- 下水道の整備
- 汚染源の移転
- ゴミのポイ捨てへの高額罰金
- 排水規制の厳格運用
法律は形だけではなく、実際に厳しく運用されました。水は単なる生活インフラではなく、「安全保障」だったのです。

イメージ図
輸入に頼らない国づくり ― シンガポールの“4つの水源” ―
水の自立を目指す中で、シンガポールは“4つの水源”を確立しました。
- 雨水(貯水池)
- 輸入水
- 海水淡水化
- NEWater(高度再生水)
特に特徴的なのは、雨水の活用です。都市全体を巨大な集水エリアとし、降った雨を効率よく回収。その象徴が、マリーナベイです。
実は海ではない!? ― マリーナベイとマーライオンの秘密 ―
マリーナベイは、もともとは海でした。
しかし2008年、Marina Barrage(マリーナバラージ)が完成し、湾の出口がせき止められます。その結果、海だった場所は淡水の「貯水池」へと変わりました。
つまり――
マーライオンが水を吐いている先は、海水ではなく淡水なのです。
観光地のど真ん中が、国家戦略級のインフラ。景観と水資源管理を同時に成立させている点が、非常に印象的でした。

マリーナベイサンズ展望台 Marina Barrage(マリーナバラージ)

マリーナベイサンズ展望台 マーライオン側
世界をリードする技術 ― NEWater ―
そして、シンガポールの水戦略を語る上で欠かせないのが「NEWater」です。
NEWaterは、下水を高度処理し、飲料水レベルまで浄化した再生水。
処理工程は、
- 微細ろ過
- 逆浸透膜(RO)
- 紫外線殺菌
という三段階。
極めて高純度な水となり、半導体工場などの産業用途にも利用されています。さらに驚いたのは、蛇口の水がそのまま飲めること。
ホテルでも商業施設でも、ボトルウォーターがなくても安心して飲める水が供給されています。水を「使い捨て」にせず、「循環させる資源」として扱う。それが制度として根付いているのです。

NEWater仕組み
水処理に携わる私たちの視点 ― セイスイ工業との接点 ―
私たちセイスイ工業は、主に下水・排水の処理を担っています。NEWaterのように飲料水レベルまで高度処理を行う分野とは目的が異なります。しかし、
- 水を安全に処理する
- 環境へ戻す
- 社会を止めない
という役割は共通しています。
今回の訪問は、水インフラの可能性とスケールを改めて実感する機会となりました。同じ水処理業界に身を置くセイスイスタッフとして、非常に興味深い体験でした。
最後に ― シンガポールも満喫!!
もちろん、旅の醍醐味もたっぷり味わいました。
ホーカーセンターでローカル料理を堪能し、マリーナベイの展望台からはシンガポールの街並みを一望。夜景に包まれたベイエリアのきらめきや、その中にあるカジノのにぎわいも印象的でした。クルーズに乗り、ローカル市場をのぞき、ドリアンやココナッツウォーターに挑戦――五感でシンガポールを楽しむ時間となりました。
そして、マリーナベイから沖合を眺めると、無数の船影が広がっていました。あれは偶然の風景ではなく、マラッカ海峡という“世界の動脈”の上に立つ都市ならではの光景です。水を守る国家戦略と同じように、海上物流もまた、シンガポールを支えるもう一つの重要なインフラなのだと感じました。
観光地としての華やかさの裏側に、緻密に設計された水インフラと国家戦略がある。
今回の旅は、「水は普段意識しなくても、確実に社会を支えている存在なのだ」ということを改めて実感する機会となりました。
これからも国内外の事例から学びながら、水を止めない社会づくりに取り組んでまいります。

チキンライス

サテー

マリーナベイサンズ

スーパーツリー

クルーズからの景色

コナン壁画

マリーナベイサンズ展望台 マラッカ海峡


