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水処理コラム

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地方のインフラは守れるのか?人口減少社会が突きつける現実

インフラ 地方

地方のインフラは、このまま維持し続けることができるのでしょうか。

実は、日本の道路の約84%は市町村道であり、水道や下水道など多くの生活インフラも地方自治体が管理しています。つまり、日本のインフラの大部分は「地方が支えている」と言っても過言ではありません。

しかし今、地方では人口減少・財政制約・技術者不足という三つの課題が同時に進んでいます。利用者は減っていく一方で、道路や橋、水道管は簡単に減らすことができません。老朽化が進む中、従来と同じ管理方法では維持が難しくなりつつあります。

岩城一郎氏の著書『日本のインフラ危機』(講談社)でも、地方インフラの厳しい現実が指摘されています。一方で、壊れてから直すのではなく、早期補修へと管理を転換し、将来負担を抑える自治体の取り組みも紹介されています。

本記事では、地方インフラが直面する構造的課題と、これからのインフラ管理の現実的な選択肢を整理します。


👉 この記事でわかること

  • 地方自治体が日本のインフラの大部分を管理している実態
  • 地方インフラが直面する「予算不足」と「人材不足」の構造的な問題
  • 人口減少時代に求められるインフラ管理の新しい考え方

地方自治体が日本のインフラを支えている

インフラの多くは市町村が管理している

日本の社会インフラは、国だけが管理しているわけではありません。実際には、多くの生活インフラを地方自治体、特に市町村が担っています。

例えば、水道施設の約95%、下水道施設の約90%、都市公園の約94%は市町村が管理しています。私たちの日常生活に最も身近なインフラの多くは、地方自治体によって維持・管理されているのです。

つまり、日本のインフラ問題は「国の問題」だけではなく、地方自治体の維持管理能力に大きく依存している構造になっています。

インフラの多くは市町村が管理

道路の84%は市町村道

道路管理の構造

道路についても同様です。日本の道路総延長は約128万kmありますが、そのうち約84%は市町村道が占めています。一方で、国が管理する直轄国道は約2%、都道府県道は約13%に過ぎません。

つまり、日本の道路ネットワークの大部分は地方自治体が支えていると言えます。日常的に利用する生活道路や地域の幹線道路の多くは、市町村が管理しているのです。

管理延長に対して維持費は十分とは言えない

しかし、管理している道路の割合と、実際に使える維持費の割合には大きな差があります。国土交通省の資料によると、道路の維持修繕費の配分は次のとおりです。

  • 高速道路:約17%
  • 国道:約29%
  • 都道府県道:約21%
  • 市町村道:約33%
管理延長と維持費

道路延長の84%を市町村が管理しているにもかかわらず、維持修繕費は約33%にとどまっています。

さらに、道路1kmあたりの年間維持費を比較すると差はより明確になります。

  • 高速道路:約5,799万円/km
  • 国道:約2,568万円/km
  • 市町村道:約96万円/km

市町村道は、国道の約27分の1、高速道路の約60分の1という水準です。つまり地方自治体は、限られた予算で広大なインフラを維持しているのが現実です。こうした構造が、地方インフラの維持管理を難しくしている大きな要因の一つになっています。

地方インフラが抱える「予算」の問題

維持修繕費の多くは限られた予算の中で配分される

地方インフラの維持管理

地方自治体は多くのインフラを管理していますが、維持管理に使える予算は限られています。道路や橋、水道、下水道、公園など多くの施設を、同じ財源の中で配分する必要があります。

特に市町村は国や都道府県より財政規模が小さく、老朽化したインフラの補修や更新に十分な予算を確保することが難しい自治体も少なくありません。そのため、優先順位をつけながら維持管理を行わざるを得ない状況になっています。

1kmあたりの維持費から見える地方インフラの現実

前の章で触れたように、道路の維持管理費を1kmあたりで比較すると、管理主体による予算の差は明確です。高速道路は約5,799万円/km、国道は約2,568万円/kmに対し、市町村道は約96万円/kmとされています。市町村道は、国道の約27分の1、高速道路の約60分の1という水準です。

さらに、日本の道路総延長約128万kmのうち、約84%は市町村道であり、その多くを地方自治体が管理しています。人口の少ない地域では、長い道路や上下水道を少ない利用者で維持する必要があり、限られた予算で広いインフラを管理しなければならないという構造があります。

このように地方インフラの課題は、老朽化だけではありません。管理するインフラの量に対して予算が十分に確保しにくいという構造的な問題が、維持管理を難しくしているのです。

地方インフラを支える「人材」の不足

技術職員が少ない自治体も多い

インフラの維持管理には、土木や建築などの専門知識を持つ技術職員が欠かせません。しかし地方自治体では、その技術職員自体が不足しているケースが少なくありません。

国土交通省の調査によると、市区町村の約25%は土木技術職員が0人、さらに約50%は5人以下という状況です。つまり多くの自治体では、少数の技術職員が道路や橋梁、水道、下水道など幅広いインフラを担当しています。

老朽化が進み点検や補修の重要性が高まる中、専門人材の不足は維持管理体制そのものに影響する課題になっています。

技術職員不足の割合

建設業の高齢化と担い手不足

建設業の高齢割合

自治体職員だけでなく、実際の工事や維持管理を担う建設業でも人材不足が深刻です。

建設業就業者の年齢構成では、55歳以上が約37%を占める一方、29歳以下は約12%程度にとどまっています。若年層が少なく、高齢化が進んでいる状況です。

今後、熟練技術者の引退が進めば、補修や更新工事を担う人材はさらに不足する可能性があります。インフラの維持管理は設備だけでなく、人材によって支えられているため、この問題は長期的なリスクといえます。

維持管理の担い手が減少している

人口減少が進む中、地方では建設業の事業者数自体も減少しています。地域の建設会社は、道路補修や除雪、災害復旧など地域インフラを支える重要な存在です。

しかし事業者の減少や人手不足が進めば、維持管理や緊急対応を担う体制は弱まる可能性があります。

インフラの老朽化は設備の問題として語られがちですが、実際には「誰が維持するのか」という担い手の問題とも深く関係しています。地方インフラの維持管理が難しくなっている背景には、こうした人材不足という構造的課題もあります。

人口減少時代のインフラ管理

利用者は減るがインフラは減らない

日本はすでに人口減少局面に入っています。総人口は2008年の約1億2,800万人をピークに減少し、今後も減少が続くと見込まれています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には約1億人、2100年には約6,300万人まで減少する可能性があります。

しかし、人口が減ってもインフラの量がすぐに減るわけではありません。日本の道路総延長は約128万km、水道管は約74万km、下水道管は約49万kmに及びます。これらの設備は、利用者が減っても維持や点検が必要です。

人口減少社会におけるインフラ管理の課題

つまり人口減少社会では、「利用者は減るがインフラは減らない」という構造が生まれます。利用者一人あたりの維持負担が増えやすいことが、地方インフラ管理を難しくしている要因の一つです。

限られた予算の中で優先順位をつける必要

優先順位付けとアセットマネジメント

すべてのインフラを同じように更新・補修することは現実的ではありません。国土交通省の試算でも、インフラの維持管理費は今後増加すると見込まれており、限られた財源の中で優先順位をつけることが重要になります。

そのため近年は、ストックマネジメントアセットマネジメントといった考え方が重視されています。これは点検データや劣化状況をもとにリスクを評価し、重要度の高い施設から補修や更新を進める管理方法です。

人口減少が進む中では、すべてを一律に維持するのではなく、地域の実情に応じてインフラの役割や重要度を整理することが求められています。

地方インフラを守るための新しい仕組み

地方インフラの維持には、従来とは異なる新しい仕組みも模索されています。例えば、自治体・企業・大学などが連携する産学官民の協力体制や、複数自治体で管理を行う広域連携などです。

また、老朽化設備の更新や補修の期間中でも機能を止めないため、仮設設備で一時的に機能を補完する方法も広がっています。

地方インフラを守るための新しい仕組み

例えばセイスイ工業では、仮設水処理プラントを用いて下水処理設備の更新工事やトラブル時に一時的な処理能力を補完しています。補修や更新の期間中でも処理機能を維持でき、インフラを止めずに工事を進めることが可能になります。

人口減少と財政制約が進む中、これからのインフラ管理では「すべてを新しくする」ことだけが解決策ではありません。限られた資源の中で機能を維持する視点が、今後ますます重要になります。

まとめ:地方インフラを守るために

日本のインフラの多くは地方自治体によって支えられています。道路の約84%は市町村道であり、水道や下水道などの生活インフラも多くが市町村管理です。しかし、その維持管理は限られた予算と人材の中で行われており、人口減少が進む中で負担はさらに大きくなっています。

地方インフラの課題は単なる老朽化ではありません。管理する量の多さ、財政制約、人材不足、人口減少といった要因が重なり、維持管理の難しさを高めています。

こうした状況で重要なのは、「壊れてから直す」管理から、優先順位をつけて守るインフラを選び、機能を維持する管理へと発想を転換することです。予防保全やストックマネジメント、広域連携などの仕組みを取り入れ、限られた資源の中でインフラを維持していくことが求められています。

また、補修や更新の期間中でも機能を止めない対策も重要です。仮設設備によって一時的に機能を補完することで、社会インフラを維持しながら工事を進めることも可能になります。

人口減少時代のインフラ管理では、「すべてを新しくする」ことだけが解決策ではありません。限られた予算と人材の中で、どのインフラをどう守り、機能を維持するか。その現実的な判断が、これからの地域社会を支える重要なテーマになります。

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