BODを60%・全窒素(T-N)を20%以上削減!省スペース・高効率を実現する『Habuki』の構造と特長

『Habuki』は、東芝が開発した革新的な水処理システムです。この装置は、回転生物接触法を採用し、コンパクトで省エネルギーながら高い処理能力を発揮する点が特長です。特に限られたスペースでもBODの削減が可能で、従来のオキシデーションディッチ法(OD法)を採用した施設の改修や更新にも柔軟に対応できます。既存設備の一部を活用しつつ機能強化が図れるため、常設はもちろん、仮設用途としても非常に有効です。
こうした特長を生かすため、セイスイ工業は『Habuki』を仮設プラントとして活用すべく、東芝と連携しています。ここでは、『Habuki』の構造や仕組み、さらには実用性について詳しくご紹介します。
目次
Habukiが解決する課題:従来のOD法が抱える3つの問題
下水処理場では、微生物の力を使って下水を浄化する「生物処理」が行われています。日本の多くの処理場で採用されているのがオキシデーションディッチ法(OD法)ですが、この技術にはいくつかの課題があります。Habukiは、こうした課題を解決するために開発された装置です。
処理時間・スペース・コストの問題
OD法は安定した処理能力を持つ一方で、以下の3つの課題が指摘されています。
課題 | 内容 |
|---|---|
処理時間 | 下水を処理するまでに長い滞留時間が必要で、処理効率の向上に限界がある |
設置スペース | 大型の処理槽が必要なため、広い敷地を確保しなければならない |
改修コスト | 設備が老朽化した際の改修・更新に多くの費用と工期がかかる |
特に地方の処理場では、敷地の拡張が難しい・予算が限られているという条件が重なることが多く、OD法の課題がより深刻になるケースが少なくありません。
Habukiはこれらの課題に対して、回転生物接触法という技術を用いることで、コンパクトな設備でも高い処理能力を実現。OD法の前処理として組み合わせることで、処理時間の大幅な短縮が可能です。
Habukiが特に有効な施設・シーン
Habukiは、以下のような施設や状況で特に効果を発揮します。
- OD法を採用している処理場の改修・更新時
既存のOD法設備をそのまま活かしながら、Habukiを前処理として追加するだけで処理能力を強化できます。大規模な工事を行わずに機能向上が図れるため、コストと工期を抑えた改修が可能です。
- 敷地・スペースに制約がある施設
Habukiはコンパクトな設計のため、敷地の拡張が難しい既存施設にも設置しやすい点が特長です。限られたスペースを最大限に活用したい処理場に向いています。 - 仮設での一時的な処理能力の補完が必要な場合
機器の故障や定期メンテナンスによって処理能力が低下した際にも、Habukiを仮設プラントとして迅速に導入することで処理を継続できます。セイスイ工業ではレンタル形式での仮設対応も行っています。

Habukiの性能:BOD60%・T-N20%以上削減を実現する仕組み
Habukiの高い処理能力は、独自の回転繊維体と精緻なエアー供給システムの組み合わせによって実現されています。ここでは、その性能と仕組みを詳しく解説します。



15分の滞留時間で実現する高効率処理
Habukiは、約15分という短い滞留時間で以下の処理性能を発揮します。
指標 | 削減率 |
|---|---|
生物化学的酸素要求量(BOD) | 60%以上削減 |
全窒素(T-N) | 20%以上削減 |

従来のOD法では長い処理時間が必要でしたが、Habukiはその前処理として組み合わせることで、処理全体にかかる時間を大幅に短縮できます。
また、メンテナンス性にも優れており、繊維体ユニットの交換も短期間で完了できるため、処理を止める時間を最小限に抑えられます。
回転繊維体の構造と微生物処理の原理
Habukiの中心となるのが、直径2メートルの回転繊維体です。1分間に3〜8回転という低速で回転しながら、表面に付着した微生物が下水中の有機物を分解します。
- 繊維素材のこだわり
繊維体には、バチルテクノコーポレーションの特許技術で加工された特殊素材を使用しています。この素材の最大の特長は、微生物が付着しても重くなりにくい点です。一般的な回転生物接触法では、微生物の過剰付着によって回転盤が重くなり、回転効率が落ちるという問題が起きやすいですが、Habukiはこの素材の採用によってその問題を解決しています。

- 回転盤の構造
回転盤は扇形のパーツ6枚を組み合わせた構成になっており、これが1枚の回転盤を形成しています。全体では30枚の回転盤が連なることで、大きな処理面積を確保しています。
メンテナンス面でも工夫があり、支柱となる鉄パイプを外すだけで扇形のピースごとに交換作業を行うことができます。高い耐久性も備えており、長期間にわたって安定した性能を維持します。
- 処理の流れ
下水は装置の下部から流入し、回転繊維体による生物処理を経て、処理水が後方上部から排出される仕組みです。
4箇所のエアー供給システムの役割
Habukiには4本のエアー支柱が設けられており、それぞれ異なる役割を担っています。

- 撹拌用エアー支柱(下部・2本)
装置下部に設置された2本のエアー支柱は、流入した汚水を撹拌する役割を果たします。これにより、汚水全体に均一に処理が行き渡り、処理ムラを防ぎます。
- 微生物剥離用エアー支柱(中腹部・2本)
中腹部に設置された2本のエアー支柱は、回転盤に過剰に付着した微生物を適度に剥がす役割を担います。微生物が付きすぎると回転効率が落ちるため、定期的に剥離することで回転盤のパフォーマンスを維持します。
従来のOD法との比較:処理時間・省スペース・コストの違い
処理時間と処理効率の比較
OD法は安定した処理能力を持つ一方、処理に長い滞留時間を要するという特性があります。Habukiをその前処理として組み合わせることで、処理全体のスピードと効率を大きく改善できます。
比較項目 | OD法(従来) | Habuki+OD法 |
|---|---|---|
前処理の滞留時間 | なし(OD法のみ) | 約15分 |
BOD削減率 | OD法のみで対応 | 前処理で60%以上削減 |
全窒素(T-N)削減率 | OD法のみで対応 | 前処理で20%以上削減 |
処理全体の時間 | 長い | 大幅に短縮 |
重要なのは、HabukiはOD法を「置き換える」のではなく、前処理として組み合わせることで処理全体を効率化するという点です。OD法が担っていた処理負荷の一部をHabukiが先に引き受けることで、後段のOD法がより効率よく機能するようになります。
設置スペースと導入コストの優位性
OD法設備の改修・更新を検討する際に大きな壁となるのが、スペースと費用の問題です。Habukiはこの2点において明確な優位性を持っています。
特に注目したいのが仮設対応の可能性です。OD法設備のメンテナンス中や故障時にも、HabukiをレンタルしてOD法の代替・補完として一時的に導入することができます。これにより、処理を止めることなく施設の運営を継続できる点はOD法にはない大きな強みです。
設置スペース
比較項目 | OD法の新規導入 | Habukiの追加導入 |
|---|---|---|
必要スペース | 大型処理槽が必要 | コンパクトな設計で省スペース |
既存設備の活用 | 基本的に新設が必要 | 既存のOD法設備をそのまま活用可能 |
設置の柔軟性 | 敷地拡張が必要な場合も | 限られたスペースでも設置可能 |
導入コスト・工期
比較項目 | OD法の大規模改修 | Habukiの追加導入 |
|---|---|---|
工事規模 | 大規模な改修工事が必要 | 既存設備を活かした小規模な追加工事 |
工期 | 長期間にわたる場合が多い | 短期間での稼働開始が可能 |
仮設対応 | 難しい | レンタルによる仮設利用も可能 |
Habukiとセイスイ工業の取り組みについて
Habukiは、OD法が抱える処理時間、設置スペース、改修コストといった課題に対し、省スペースかつ高効率な前処理設備として有効な選択肢です。特に、既存のOD法設備を活かしながら処理能力を高めたい場合や、改修・更新時に大規模な工事を避けたい場合に、その特長を発揮します。
セイスイ工業では、こうしたHabukiの特長を活かし、仮設プラントとしての活用にも取り組んでいます。設備の故障やメンテナンス時の一時的な処理能力の補完、既設設備の更新期間中の代替処理など、処理を止めたくない現場に対して、現場条件に応じた柔軟な対応を検討できる体制を整えています。
Habukiの導入を検討する際は、設置スペース、処理対象、水質、必要な処理能力、既存設備との組み合わせ方など、事前に確認すべきポイントがいくつかあります。セイスイ工業では、こうした条件を踏まえながら、Habukiをどのように活用できるかをご案内しています。Habukiの導入やレンタル、活用方法について具体的に相談したい場合は、ぜひお問い合わせください。



